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リーダーシップ理論

4つのリーダーシップ理論

リーダーシップとは、集団の中でリーダーがその集団の目標の達成を意図して他のメンバーに及ぼす影響の試みのことをさします。

リーダーシップ理論とは、リーダーが優れたリーダーシップを試みるための考え方です。リーダーシップ理論には大きく分けて『特性理論』『行動理論』『条件適合理論』『コンセプト理論』の4つがあります。

『特性理論』

最も古典的とされるリーダーシップ理論は、1940年代頃まで主流だった『特性理論』です。リーダーシップを先天的な能力(特性)であると考えていました。有能とされるリーダーには生まれ持った共通の個人資質があると考え、その特性の分析を試みることで、リーダーたる者とそうでない者を区別したのです。

『行動理論』

その後、特性理論だけではリーダーシップの実体をうまく説明することができず、リーダーが集団の中でとる行動や果たす機能に注目する『行動理論』が生まれました。

PM理論

『行動理論』の代表は日本発のPM理論です。提唱者の三隅二不二はPM理論の中で、リーダーが果たす機能をP=Performance(集団の目標達成や課題解決に関する行動)とM=Maintenance(集団の維持を目的とする行動)にまとめ、その2軸のマトリクスでリーダーの行動を4つのタイプに類型化しています。

マネジリアル・グリッド理論

アメリカのブレイクムートンはPM理論と類似したマネジリアル・グリッド理論を提唱し、人に対する関心と業績に対する関心の2軸で典型的なリーダーシップの類型を5つに分類しました。

『条件適合理論(コンティンジェンシー理論)』

さらに、リーダーの特性や行動にそもそも普遍的なものなど存在せず、リーダーシップのあり方は課題やメンバーが置かれている状況などその時々によって変化するものであると考える『条件適合理論(コンティンジェンシー理論)』が登場しました。

パス・ゴール理論

『条件適合理論』の代表はハウスが提唱したパス・ゴール理論です。この理論ではリーダーシップの本質は、集団の目標(ゴール)達成のための道筋(パス)を明示することだとしています。集団が置かれた環境と部下の性格や能力の掛け合わせで、有効なリーダーの行動(指示型・支援型・参加型・達成志向型)が決まるとされています。

フィードラ―理論

フィードラー理論も『条件適合理論』のひとつです。LPCスケールを用いて、リーダーのスタイルをタスク(課題)志向型と人間関係志向型の2つの行動に分類しました。

SL理論

ハーシィブランチャードはSL理論で集団に対する有効なリーダーシップはメンバーの成熟度によって異なると提唱しました。人間関係志向による支援的行動と課題志向による支持的行動からなる縦横2軸で4つに分類しました。

『コンセプト理論』

そして、条件適合理論を発展させたのが『コンセプト理論』です。カリスマ型、変革型、EQ型、ファシリテーション型、サーバント型の5つのタイプのリーダーシップが示されおり、現代におけるリーダーシップ理論の主流となっています。

マックス・ウェーバーの3つの「支配」と「官僚制」

リーダーシップ理論が登場する以前の1904年に、ウェーバー(Weber, M.)は、『プロテスタンティズムの論理と資本主義の精神』の中で支配(影響)の成立要因として、支配される側(フォロワー)が支配者(リーダー)に服従する動機がある点に着目し、支配を『伝統的支配』『カリスマ的支配』『合法的支配』の3つの類型に分類していました。
 
伝統的支配は昔からの慣習を正当性の根拠とする支配で、近代社会の中では減少傾向にあります。
 
カリスマ的支配は支配者個人の持つカリスマ性を正当性の根拠とした支配で、ナチス・ドイツ総統であったアドルフ・ヒトラーなどがその一例です。
 
合法的支配は正当な手続きにより制定された法律や規則を正当性の根拠とする支配のことです。近代社会ではこの合法的支配が主要な支配形態であり、典型例として官僚制があります。

官僚制の特徴

ウェーバーは官僚制を肯定的にとらえ、合理化による脱魔術化として近代社会への移行の本質と見ていた一方、個人が抑圧されることも予測していました。官僚制の特徴としてウェーバーは、権限の原則官職階級制による単一支配秩序文書主義の貫徹・公私分離専門性に基づく職務活動の分業化全労働力の要求技術的専門知識の必要性を挙げていました。
 
官僚制は、①標準化:形式的で恒常的な明文化されたルール、②階層性:権限のヒエラルキーが明確で指揮命令系統を持つ、③没人格性:公平無私な組織構成員がルールに従って行動する、という3つの特徴を持ちます。
 
この官僚制による支配では、行き過ぎると画一的で柔軟さや臨機応変さに欠けてしまったり、規則を守ること自体が目的になってしまったり、という本末転倒な状況に陥ることがあります。このような状態のことを「官僚制の逆機能」とよびます。

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