Galaxy Book関連の情報まとめ(~2022年春)

Galaxy Bookは三星電子が販売するラップトップのブランドである。
日本では(ほぼ)取り扱いが無いためか、まとまった関連情報を掲載しているサイトは日本語では見当たらない。
そのため、公式のリリース記事や海外レビュー記事等を基にして情報を整理した。

厳密には異なるがGalaxy Chromebookの情報も加えている。

Galaxy Bookの特徴

全ての端末に共通する特徴があるわけではない。
他社製品との差別化要素だと考えるものを挙げる。

参考:公式記事

ディスプレイ

三星電子の子会社であるSamsung Display(SDC)ではラップトップやタブレット向けのAMOLED(有機EL)、またはQLED(量子ドット液晶)パネルを製造している。
(おそらく)Galaxy BookはSDC製のディスプレイを搭載した機種が多い。

ただし廉価モデルでは普通のLCD(液晶ディスプレイ)が使われていることも多い。
(SDCはもう中型LCDパネルからは撤退しているはずなので他社製であろう。)

パネルの違いはあれ、基本的には解像度はFHD (1920x1080)である。
Galaxy Tab SシリーズのAMOLEDディスプレイと比べると解像度が低いのはラインナップ上での差別化のためだろうか。

スピーカー

2017年に三星が買収したハーマン・インターナショナルは、Harman/KardonやJBLといったブランドを抱える大手オーディオメーカーだった。
この買収をきっかけに、三星は傘下のブランドのうちオーストリア発祥のAKGによってチューニングされたスピーカーをGalaxy端末に搭載するようになった。
Galaxy Bookも同様にスピーカーにはAKGチューニングが施されている。
(ただし、スペックに記載のある機種のみ)

S pen

Galaxy Noteではお馴染み、ワコムEMRの技術を使ったS penがタブレット・コンバーチブル型の2-in-1端末(の一部)に対応している。
元々、Samsung Notebook 9 Pro (2017)のように S pen対応2-in-1PCを販売していたことがあり、その流れがGalaxy Bookにも受け継がれているのだろう。

ただし、ペン対応のモデルでも例えばActive Penと記載されている機種は、デジタイザからしてS pen非対応の可能性がある。

Galaxy エコシステム

元々三星はMicrosoftと手を組み、GalaxyスマホとWindows PCを組み合わせて使う際の利便性を向上させていた。

スマホ同期アプリ(Galaxy側では「Windowsにリンク」としてOSに機能が組み込まれている)では、接続したPCからスマホのファイルを閲覧したり、通知を受け取ることができる。
これは他社の端末でも可能だが、Galaxyでは加えてスマホのアプリをPC上で起動して操作することもできる。

他にはギャラリーアプリはOneDriveと統合され、スマホで撮った写真や動画を自動同期してPCなどで簡単に共有できる。
また、Samsung Noteのメモを自動同期によりOnenoteからアクセスすることもできる。
さらに、スマホのリマインダーもOutlook等のPCアプリと同期される。

いくつかの純正アプリがWindows向けに提供されている
Samsung note
Samsung Gallery
Samsung Flow(Galaxyのスマホやタブレットと接続)

ただし、ここまで挙げてきた要素はWindows PCならどの製品でも可能であり、Galaxy Book専用ではない。

専用機能としては

Multi Control
Galaxy BookのトラックパッドをGalaxy Tab(OneUI 4.1以降)でも使用可能。

Quick share
画像やファイルを他のGalaxyと簡単に共有できる。

SmartThings
対応するIOT器具の管理ハブとして使用可能。

SmartThings Findで登録してあるGalaxyデバイスの位置をマップ上で確認でき、音を鳴らして場所を確認することができる。

Galaxy Budsシリーズとの接続が容易に
ただし、スマホやタブレットでは可能だった自動接続には非対応。

Multi Controlを除けばGalaxyスマホ・タブレットに備わっている機能(あるいは劣化版)であり、Windows PCという強みを生かした専用の連携機能はまだ不十分であると感じる。
(Multi Controlにしてもタブレット側がジェスチャー非対応でまだ未完成)
ゆえに、以下のようなレビューが出るのも当然だろう。 

とはいえ、連携を考えたときWindows PCにどんな機能があったら嬉しいのかいまいち分からない。

One UI Book 4

2021年10月末に発表された
設定画面などにスマホ・タブレットのOne Ulと似たUIを採用

対応端末として発表されたのは、Galaxy Book (2021), Galaxy Book Pro, Galaxy Book Pro 360, Galaxy Book Flex2とGalaxy Book Odessey
その後発表されたGalaxy Book2シリーズにも適用されている
ただ、公式サイトでも特設ページ等で紹介されておらず、積極的にアピールされている感じがない。

Galaxy Book前史

PCの展開


三星PCの歴史は1983年に遡る。
最初の製品は8bitのデスクトップコンピュータのSPC-1000である。
これにはハドソンソフトが開発したコンピュータ向けBASIC言語のHu-Basicが組み込まれていた。

1994年から新たなブランド名としてSamsung Sens の名称を使用するようになった。
SensとはSamsung Electronics Notebook Systemの略であるが、英語のSenseともかかっているのだろう。
当初は、製品名はSens+三桁の数字であったが、2001年からSens A, T, P, Q, そして Vといったアルファベットでの名称に変わった。
最終的には、E, M, N, P, Q, QX, R, RC, RF, RV, SF, X ,Gとブランドが乱発されるようになっていった。

2011年、Sensブランドは廃止され、新たにSamsung Notebook series 3,5,7,9へと改められた。

ところが2013年にブランドは再び刷新され、ATIVという名称になった。
(由来はラテン語のVITA、生命)
ATIVはラップトップだけなく、スマホのOmnia、デスクトップのMagic Stationといった三星のWindows製品のブランドを統合するものであった。

そのためATIVブランドでは、デスクトップpc、ラップトップに加え、スマホ、タブレットといったバリエーションに富んだラインナップが展開された。


しかし、2015年以降ATIVの名称は使われなくなり、ラップトップは再びSamsung Notebook 5,7,9のブランドへと変わった。


数字は製品のグレードを表している(とみられる)が、そのラインナップにおいてはバラエティ豊かな製品が発売されていた。
例えば、2018年のSamsung Notebook 7 spinはコンパーチブル型の2-in-1端末でアクティブペン対応と、後のGalaxy bookシリーズと共通する特徴を兼ね備えていた。


このSamsung Notebookシリーズは2019年初頭まで続いた後、Galaxy bookシリーズへと引き継がれた。

(ただし、Notebookシリーズ自体は続いているようで、主に韓国国内で流通している。
2021年冬にはGalaxy Book ion2/Flex2と共にNotebook Plus 2が発表された。USモデルとしては2019年6月のNotebook 7/7 Forceが最後となっている。)

もう一つの源流 Galaxy Tab

Galalxyブランドがラップトップにも波及した端緒は、実は三星のAndroidタブレットシリーズであるGalaxy Tabにあった。

2014年に発表されたGalaxy Tab Proは、タブレットラインナップの中でもプレミアムモデルとして位置づけられたものである。
10.1,8.4,12.2インチの三モデルと共に、Sペンに対応したGalaxy Tab Pro Note 12.2も発表された。


しかしながら、Galaxy Tab Proシリーズはその後続くことはなかった。
なぜなら、同年に発売されたGalaxy Tab S 8.4/10.5以降、タブレットのハイエンドブランドはTab Sシリーズに移行したからだ。
そしてTab Sシリーズは2022年のGalaxy Tab S8/S8 plus/S8 Ultraに至る現在も同社のタブレットラインナップの目玉として存在し続けいている。

一方、2016年にGalaxy Tab Proシリーズは思わぬ形で復活を遂げることとなる。
Windows搭載のタブレット型2-in-1PC、Galaxy TabPro Sとして。

Galaxy TabPro Sは前モデル同様にAMOLEDディスプレイを搭載したタブレット端末であったが、キーボードを装着して通常のラップトップとしても使用できる2-in-1タイプのWindows 10 PCとなった。

これがGalaxyと名付けられたのはGalaxy Tabという既存のシリーズの派生モデルとして捉えられたからであり、この時点ではWindows PCのブランド自体がGalaxyに移行したわけではない。
同時に従来のブランドの流れにあるNotebook 9が発表されていることからもそれが分かる。

当時の三星はPCのラインナップをタブレット型の2-in-1とラップトップ(コンバーチブルも含む)の両輪で拡充することを想定していたようだ。
しかし、ここでGalaxyという名称を使用したことが、最終的にラップトップ全体のブランドとしてもGalaxyを打ち出すきっかけとなったことは間違いないだろう。

その翌年発表されたGalaxy TabPro Sの後継モデルがGalaxy Book(初代)となる。

Galaxy Bookの展開

Galaxy Bookの展開は2019年を境に大まかに二つの時代に分けられる。
前半は2017年から2019年までの時期で、Notebookシリーズと棲み分けながら年に1,2個のモデルを発表していた黎明期である。

そして後半は2019年秋(2020年春)から現在に至る。
三星がグローバル市場においてGalaxy Bookをラップトップのブランドとして前面に推し始め、毎年多くのモデルが投入されるようになった。

2017~2019

2017年2月に開催されたMWC 2017において三星はGalaxy Book(初代)を発表した。

Galaxy Book(初代は)Galaxy TabPro Sと同様に2in1のタブレット型PCであるが、S penに対応するなどの変化が見られる。
また、10.6インチと12インチモデルが存在し、それぞれCPUと画面仕様(10.6は液晶、12は有機EL)が異なる。
LTE通信対応モデルが存在するのも特徴だ。

Galaxy Tab S3も同時に発表されたことから、三星はAndroidとWindowsの二つのOSでGalaxyブランドのタブレット端末を展開する予定だったのかもしれない。(しかし、翌年のS4は夏発表とタイミングがずれている。)


しばらく間を開けて、翌年の10月に後継モデルとなるGalaxy Book2 (2018)が登場した。


12インチモデルのみで、S pen、LTE対応、ディスプレイ仕様等は前モデルと同様だが、大きな変更点としてCPUがx86 (intel)からARMのQualcomm Snapdragon 850になった。
これによりバッテリー持ちが改善されたが、性能はダウンし、またx86ソフトが32bitエミュレータでしか動かないなど、ARM版Windows自体の利便性の低さから使い勝手としては先代に劣る。

結果的に言えば、これがGalaxy Book最後の2in1タブレットとなった。


2019年夏のGalaxy UnpackedでGalaxy Note 10シリーズと同時に発表されたのは、ラップトップ型のGalaxy Book Sであった。

CPUはBook2と同じくARMアーキテクチャのSnapdragon 8cxであり、LTE通信に対応している。
QualcommとMicrosoftが推し進めている、LTE通信とARMチップによる低消費電力によって持ち運びに特化したAlways Connected PCというコンセプトで設計された端末のようだ。

一方、ディスプレイがAMOLEDではなくTFT液晶であり、S pen非対応など、価格帯は変わっていないのにダウングレードされた箇所が目立つ。

このようにGalaxy Bookというブランドが登場してしばらくの間は既存のNotebookシリーズとの棲み分けからかトリッキーな製品の展開が続いていた。
しかし、2019年後半に差し掛かり、王道ともいえる製品ラインナップが出現した。

10月のSamsung Developer Conference (SDC19)において、Galaxy Book FlexおよびGalaxy Book Ionが発表された。
(米国市場では翌年の4月末から販売が開始された。)

両端末最大の特徴は、ラップトップとしては世界初のQLED(量子ドット液晶ディスプレイ)搭載機であることだ。
通常のLED液晶は白色LEDバックライトの光をRGBフィルターを通すことによって色を付けている。
それに対し、QLEDでは量子ドットフィルターに青色LEDバックライトの光を通過させることで、波長を変化させてRGBを作り出している。
この発光構造により、QLEDは高い輝度と鮮やかな色彩を実現させている。

Flexはヒンジ部分が約360°回転するコンバーチブル型の2-in-1 PCであり、S penにも対応している。
タブレット型ではなくなったものの、初代Galaxy Bookと同様に絵描きなどのクリエイティブな作業に適した端末となっている。

一方、Ionはタッチ対応ではあるがペンには対応していない。
特徴としては、本体にマグネシウム合金を使用し、13.3インチモデルでは970gと1kgを切る軽量に仕上がっていることが挙げられる。

双方のユニークな特徴として、タッチパットからスマホやアクセサリーなどの無線充電ができるWireless PowerShareがある。

2020

2020年が始まって早々に三星が発表したのはChromebookであった。
元々三星はSamsung ChromebookというブランドでChrome OSの端末を販売していたが、このGalaxy Chromebook以降Galaxyブランドに統一されることとなる。

この端末は「高級Chromebook」というコンセプトで作られている。
Chromebookは、OSの軽さから程々のスペックでも動くという長所を持つため、各メーカーはCeleronやARMのローエンドチップを使用した安価な端末に集中していた。
しかし、このGalaxy Chromebookは1000ドルという価格から分かるように、プレミアムモデルとしての優れたスペックを備えた稀有な端末となっている。

本体はコンバーチブル型の 2-in-1端末であり、Spenが内蔵されている。
搭載されているのはintelの第10世代マイクロプロセッサ(Comet Lake)のモバイル向けCPU、Core i5-10210U/i7-10510Uである。

何より目を引くのが画面であり、13.3インチのAMOLEDディスプレイは何と業界初の4K (3840x2160)パネルを使用している。
他のGalaxy Bookが精々FHDのAMOLEDディスプレイであることを考えれば、唯一4Kの最高級有機ELパネルを備えているのがChromebookだというのは些か奇妙に思える。

ただし、ChromeOSがここまでのスペックを活用できるのかは疑問に思うところがある。
実際、高級Chromebookというコンセプトがあまり市場に受け入れられなかったのか、後継機はスペックと価格を落としたものになった。


同月にはコンバーチブル型 2-in-1 Windows PCの廉価版であるGalaxy Book Flex α が登場した。

ディスプレイはFlexと同様にFHDのQLEDを使用しているが、プロセッサがダウングレードされており、またS penは内蔵されていない。
Wireless Powershareにも非対応である。
(公式に記載がないが、カスタマーレビューを見る限りワコムEMR自体に対応していないようなのでS pen自体非対応の可能性が高い。)

その分1000ドルを切る価格で、Flex/Ionと同じタイミングで米国市場に投入された。


5月末には奇妙な端末が発表された。前年度に発売されたGalaxy Book SのプロセッサをARMからintel Coreに変更したモデルが登場したのだ。

それ以外のスペックは変化がなく、価格が多少下がった。
x64版Windows対応の結果、LTE通信可能のモバイルノートとして利便性がより高くなったように見える。

(思うに、ARM版の評判が芳しくなかったがハードとしては評価されていた、あるいはGalaxy Bookのラインナップの中で安めのラップトップが不足していたことが、この端末を開発した理由ではないだろうか。)


秋にはGalaxy Book Flex 5Gが発表された。

単なるFlexの5G通信対応版ではなく、プロセッサを11世代インテルCoreに変更した新型のコンバーチブル型2-in-1端末である。
後継モデルということで、QLEDディスプレイとSペン対応であることは変わらない。
グローバル発売時にはGalaxy Book Flex2 5Gに名称が変更された。


12月のFlex2 5Gの発売開始と時を同じくして、Galaxy Book Flex2Galaxy Book Ion2が発表された。

基本的にはプロセッサが11世代インテルcoreに変更されたこと以外は先代のモデルと変わりない。

奇妙なことに、5Gモデルを除く二機種がグローバル販売された形跡は見つからない。
韓国では翌年1月に発売されたようだが、それ以外の地域で販売が開始されたという記事を発見することができなかった。

或いは初めから韓国限定で販売される予定だったのだろうか。
確かに、グローバル版・US版の公式NewsroomではFlex2 Ion2に関する記事は存在しない。
しかし、Youtubeの公式グローバルチャンネルには開封動画がアップされている。


コメント欄には、韓国以外の地域から発売を求める多くの声が載せられている。
考えられるシナリオとしては、当初はFlex2の5Gモデル以外もグローバル販売する予定でいたが、急遽取りやめになったという流れだろうか。
その原因は、翌年に発表されたラインナップとの兼ね合いかもしれない。
Flex・Ionの新型が以降出ていないことからも伺える。

2021

2021年最初の製品は年明け早々に発表されたGalaxy Chromebook 2である。

先代のGalaxy Chromebookが1000ドルの高級モデルだったのに対して、こちらは550ドルからの比較的手ごろな価格帯になっているが、その分スペック面の低下がみられる。
ディスプレイは4KのAMOLEDから、FHDのQLEDへと変更された。
(それでも、Chromebookとしては初のQLED搭載機となる。)
コンバーチブル型2-in-1であるのは同様だが、S penは内蔵されていないだけでなく非対応で、USIペンでの対応となっている。


4月28日にオンラインで開催されたGalaxy Unpackedイベントにおいて4種類の新型PCが発表された。

Galaxy Book (2021)はタッチ対応のLCDディスプレイと11世代インテルコアプロセッサを搭載したベーシックモデルである。

Galaxy Book Odesseyは、三星のゲーミングブランド Odesseyの名称が付された、Galaxy Book初のゲーミングモデルである。
NVIDIAのグラフィックボード GeForce RTX 3050 Ti Max-Qを搭載している。


Galaxy Book ProGalaxy Book Pro 360はIon/Flexを引き継いだかのようなモデルである。
ただし、双方ともQLEDではなくAMOLEDディスプレイを使用している。

Proは13インチが870g(Wi-Fiモデル)とIonよりもさらに100g軽量化されていたモデルである。持ち運び用途のセルラーモデル(LTE、5G)も用意されている。
Pro 360はその名の通りヒンジが約360度回転するコンバーチブル型2-in-1端末であり、S penが同梱されている。


また、その翌日にはUS版のサイトでこっそりとGalaxy Book Flex2 alphaがラインナップに追加された。
先代と同様にQLEDディスプレイ搭載のコンバーチブル型2-in-1モデルである。CPUは11世代intelコアに更新されている。


6月3日にARMチップを使用した廉価モデルであるGalaxy Book Go及びGalaxy Book Go 5G発表された。
(発売は前者が6月、後者は年末)

前者はSnapdragon 7c gen2、後者はSnapdragon 8cx gen2を搭載している。
どちらにもセルラーモデルが用意されている。


同月にはChromebookの廉価モデルGalaxy Chromebook Goが発表された。
スペックは低いが300ドルという低価格が特徴である。


2022

2月末、MWC Barcelona 2022に際してGalaxy Bookの2022年モデルが一挙に登場した。全てのモデルが第12世代 iCoreを搭載している。

スタンダードモデルであるGalaxy Book2には新たにコンバーチブル型2-in-1モデルGalaxy Book2 360とビジネス用にセキュリティが強化されたGalaxy Book2 Businessの2モデルが加わった。

無印と異なり、Book2 360はAMOLEDディスプレイを搭載している。
Book2 businessはハードレベルでのセキュリティが確保されており、さらにインテルv Proプラットフォームに対応している。(非対応モデルあり)

(ただし、Galaxy Book2無印は市場に出回っているか不明。US一般向け市場では360のみ)

Proシリーズも更新され、Galaxy Book2 Pro及びGalaxy Book2 Pro Flexとして発売された。

スペックはCPUの世代を除けば前モデルとほぼ同じである。
他にはインカメラのスペック向上(720p→1080p)、セルラーオプションの削減(5G: Pro 15.6のみ)、外部グラフィック(Intel Arc Graphics: Pro 15.6のみ)が変更点として挙げられる。


Chromebookでも廉価版コンバーチブルモデルが登場した。
Galaxy Chromebook2 360は公式記事の内容からして教材としての用途が想定されているようだ。
キーボードは液体をこぼしても大丈夫な設計となっている。
CPUはChromebook Goと同じCeleron N4500である。
コンバーチブル型ながらペンには非対応。


日本での展開

三星は日本市場においては家電事業を早々に撤退させたため、PCの展開を積極的に行うだけのリソースは残ってないとみられる。
それでもGalaxy Bookが全く日本で出回っていないというわけではない。

個人向け販売

Galaxy Book(初代)は日本で一般向けに発売された今のところ唯一のGalaxy Bookである。
10.6インチモデルはシネックスインフォテックおよびダイワボウ情報システム、12インチモデルはコストコから発売された。

しかし、その後は新モデルが発売されることはなかった。

販路とサポートを自社で確保できない(正確に言えば自社構築に消極的な)日本三星の体制がネックになっていると考えられる。
スマホと異なり、この二点を代わりに提供するキャリアのような存在がPCにはない。


法人向け

Galaxy Book(初代)が法人向けページに記載されている。

ただ、5年前のこのモデル以降ラインナップは追加されおらず、事業としては形骸化している。


Galaxy Harajuku

原宿にある世界最大のGalaxyショーケースGalaxy HarajukuにはGalaxy Tab S4やS7などの国内未発売端末が業務目的で配置されているが、

地下一階のスマホ診断ブースではタブレット型の2-in-1端末が使われている。
おそらく国内で正式に取り扱われたGalaxy Book (初代)だと考えられる。

また、Windows連携の紹介コーナーに置かれていたのはCPU情報からしてGalaxy Book Flexだろう。
(うまく活用できているとは思えない。)

背面
例に漏れずSamsungロゴが隠されている
正面
左上にはAKGマーク
システム情報
i5-1035G4搭載なのでGalaxy Book Flexだと考えられる
ペン対応であることも確認

個人的な意見としては、もう少しアピールを強めたり、新製品を置いて来場者から反応を募ればいいのではないかと思う。

とはいえ、三星日本自体が自力での端末販売、サポートに消極的であるのを見ると市場再参入は望めそうにもない。
日本でGalaxy Bookを使いたい人は海外からの輸入に頼るしかない。

追記
Galaxy Harajukuの端末がSurfaceに変更されたという情報

Microsoftとのコラボを強調する意味では正しいが、それより日本でGalaxy Bookを投入する意思の無さの表れだと感じた。

技適について

スマホの場合、日本で発売されない限り(もしくは発売する予定が無い限り)端末は技適未取得であるのが普通で、日本国内で一定の手続きを行わなずに使用すると電波法違反となる。

一方、PCのように無線機部分がそれ以外と容易に分離できる端末の場合、技適認証(TELEC認証)は本体ではなくその無線機(この場合無線モジュール)において取得されていれば十分である。

そして、無線モジュールは汎用品で複数の端末に使用されている場合がほとんどである。
もし、日本で発売されていないPCであっても、日本市場に投入されるモデルで同じ無線モジュールを搭載したものがあれば、その場合モジュールの技適は通っていると考えるのが当然であり、技適問題はクリアできるはずである。


Windowsのデバイスマネージャーからネットワークアダプターを検索すると、搭載されている無線モジュールの名称が分かる。
これを総務省の「技術基準適合証明等を受けた機器の検索」から調べて、技適通過の有無を確認することができる。

ただし、技適が通っている無線モジュールであっても、表面に技適マークが確認できず、また画面上で表示する等の代替手段を取っていないものに関しては、電波法上の適合表示無線設備とみなされず、運用すると違法となる可能性がある。

(とはいえ、日本で発売されていた日本メーカーのラップトップですら技適マークが表示されていない無線モジュールを搭載していた。
画面上での表示で代えているかもしれないが、今のところデバイスマネージャー等を見ても確認できていない。)


端末一覧

Galaxy TabPro SからGalaxy Chromebook2 360までの簡易スペック(OS,CPU,ディスプレイ仕様,その他)と価格を整理した。

スペックは公式のプレスリリースやメディア記事、実製品のスペック表、レビューサイトを参考にした。
プレスリリースと実製品の展開状況が異なる場合は、原則実製品を優先して記載。
(例:Galaxy Book (2021)は発表時Celeron,Pentiumモデルが存在するとされていたが、実際に市場に出回っていることを確認できなかったので省略した。)

価格は基本的にはUS版の直販価格を記載しているが、モデルのバリエーションが限られていることに注意。
(例:Galaxy Book Ionはi3/5/7モデルが存在するが、US版はi7のみ)
既に公式販売が終了している製品の価格はレビューやメディア記事に掲載されていた定価を記載。
その他、米国版が存在しないものに関しては、EU、UK、韓国での価格を記載している場合あり。

また、韓国のECサイトであるDanawaからもスペックを引用している。
(i3モデルは韓国国内にしか投入されていないことが多いようだ。)


2016

Galaxy TabPro S
Windows10/10 pro 
2-in-1 Tablet
intel Core M(m3-6Y30)
12 inch AMOLED QHD(2160x1440)
$900

2017

Galaxy Book (初代)
2-in-1 Tablet
Windows 10
10.6 intel Core M (m3-7Y30)/12 intel Core i5 7200U
10.6 TFT FHD (1920×1280) /12.0 sAMOLED QHD (2160×1440)
Wi-Fi/LTE(12インチのみ)
S pen+Keyboard
Wi-Fi $630/$1130 LTE $1300
日本でも発売
12インチ 139800円 

2018

Galaxy Book 2
2-in-1 Tablet
Windows 10 on ARM
Qualcomm Snapdragon 850
12.0  sAMOLED QHD(2160x1440)
LTE
S pen+Keyboard
$1000

2019

Galaxy Book S
Laptop  (touch screen)
Windows 10 Home/Pro on ARM
Qualcomm Snapdragon 8cx
13.3’’ FHD TFT
LTE
960g
$1000

Galaxy Book Flex
Convertible 2-in-1
Windows 10 
intel Core i3-1005G1/i5-1035G4/i7-1065G7
NVIDIA GeForce MX250オプション
13.3/15.6 QLED FHD(1920×1080)
S pen
13.3 $1350/15.6 $1400 (USはi7 内蔵グラフィックモデルのみ)

Galaxy Book Ion
Laptop (touch screen)
Windows 10
intel Core i3-10110U/i5-10310U/i7-10510U
13.3/15.6 QLED FHD(1920×1080)
マグネシウム合金による軽量モデル
13.3 $1200/15.6 $1300 (USはi7モデルのみ)

2020

Galaxy Chromebook
Convertible 2-in-1
ChromeOS
intel Core i5-10210U/i7-10501U
13.3” 4K AMOLED Display (3840x2160)
S pen
$1000~

Galaxy Book Flex alpha
Convertible 2-in-1
Windows 10
intel Core i5-10210U/i7-10510U
13.3″ QLED FHD Display (1920 x 1080)
Active pen
$850/$1000

Galaxy book S(Intel)
Laptop (Touch screen)
Windows 10 Home/Pro
intel Core i5-L16G7
13.3 TFT FHD (1920 x 1080)
LTE
950g
$950

Galaxy Book Flex 5G/Galaxy Book Flex2 5G
Convertible 2-in-1
Windows 10 Home
intel Core i5-1135G7/i7-1165G7
13.3 QLED FHD (1920×1080)
5G(sub6) LTE 
S pen
₩2725000(i7モデル)
€1749/€1949

Galaxy Book Flex2
Convertible 2-in-1
Windows 10 Home
13.3 intel Core i5-1130G7/i7-1160G7
15.6 intel Core i5-1135G7/i7-1165G7
NVIDIA GeForce MX450オプション(15.6モデルのみ)
13.3/15.6 QLED FHD(1920×1080)
S pen
₩1845000~

Galaxy Book Ion2
Laptop (Touch screen)
Windows 10 Home
intel Core i3-1115G7/i5-1135G7/i7-1165G7
NVIDIA GeForce MX450オプション(15.6インチのi5,i7モデルのみ)
13.3/15.6 QLED FHD (1920×1080)
最軽量モデル 970g
₩138000~

2021

Galaxy Chromebook 2
Convertible 2-in-1
ChromeOS
intel Celeron 5205U/Core i3-10110U
13.3 QLED FHD (1920×1080)
USIペン対応
$549/699

Galaxy Book (2021)
Laptop (Touch screen)
Windows 10 Home/Pro  Windows 11モデルあり
Core i3-1115G4/i5-1135G7/i71165G7
NVIDIA GeForce MX450オプションあり
15.6 TFT FHD (1920×1080)
i5 $750~/i7 $1000~

Galaxy Book Odyssey
Laptop (Gaming)
Windows 10 Home/Pro  Windows 11モデルあり
intel Core i7-11600H (i5搭載モデルも発表されたが実売されたか不明)
NVIDIA GeForce RTX3050 Ti Max-Q
15.6 TFT FHD (1920×1080)
$1399~

Galaxy Book Pro 360
Convertible 2-in-1
Windows 10 Home/Pro Windows 11モデルあり
intel Core i3-1115G4/i5-1135G7/i7-1165G7(USはi3モデルなし)
13.3/15.6 sAMOLED FHD(1920×1080)
Wi-Fi/5G(13インチモデルのみ)
S pen
13.3 (i7) $1200~/13.3 5G (i5) $1400/ 15.6 (i7) $1300~

Galaxy Book Pro
Laptop (Touch Screen)
Windows 10 Home/Pro  Windows 11モデルあり
Wi-Fi intel Core i3-1115G4/i5-1135G7/i7-1165G7(USはi7モデルのみ)
5G     intel Core i5-1130G7/i7-1160G7
13.3/15.6 AMOLED FHD (1920×1080)
Wi-Fi/LTE (13インチモデルのみ)
13.3 $1000~/15.6 $1100~
13.3 LTE £1100

Galaxy Book Flex2 alpha
Convertible 2-in-1
Windows 10 Home/Pro  Windows 11モデルあり
intel Core i5-1135G7/i7-1165G7
13.3 QLED FHD (1920×1080)
pen (sold separatly)
i5 $850~/i7 $1050~

Galaxy Book Go 
Laptop
Windows 10 Home on ARM  Windows 11モデルあり
Qualcomm Snapdragon 7c Gen 2
13.3 TFT FHD (1920×1080)
Wi-Fi/LTE
$350~

Galaxy Book Go 5G
Laptop
Windows 10 Home/Pro on ARM  Windows 11モデルあり
Qualcomm Snapdragon 8cx Gen2
13.3 TFT FHD (1920×1080)
5G (sub6)
$800

Galaxy Chromebook Go
Laptop
Chrome OS
intel Cerelon N4500
14 TFT HD (1366×768)
Wi-Fi/LTE
$300~

2022

Galaxy Book2
Laptop
Windows 11 
intel Core i3/i5/i7
15.6 LCD FHD(1920×1080)
価格不明(現状取扱してない?)

Galaxy Book2  360
Convertible 2-in-1
Windows 11 Home
intel Core i5-1235U/i7-1255U
13.3 AMOLED FHD (1920×1080)
pen (sold separately)
i5 $900/i7 $1100

Galaxy Book2 business
Laptop
Windows 11 Pro
intel Core i5/i7 12th Generation
14 anti-glare LCD FHD (1920×1080)
intel vPro 
LTE(ヨーロッパのみ)
価格不明(法人向け)

Galaxy Book2 Pro  
Laptop 
Windows 11 Home
intel Core i5-1240P/i7-1260P
Intel Arc Graphics搭載オプションあり(15.6モデルのみ)
13.3/15.6 AMOLED FHD (1920×1080)
870g/1.1kg
5G(15.6モデルのみ)
13.3 i5 $1050/i7 $1250
15.6 i5 $1150/i7 $1350
(どちらもWi-Fiモデル)

Galaxy Book2 Pro 360 
Convertible 2-in-1
Windows 11 Home
intel Core i5-1240P/i7-1260P
13.3/15.6 sAMOLED FHD (1920×1080)
S pen
i7 13.3 $1250~/15.6 $1350~

Galaxy Chromebook 2 360
Convertible 2-in-1
Chrome OS
intel Celeron N4500
12.4 LCD WQXGA (2560×1600)
LTE (オプション)
$430~

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