Google Playストアの大画面向け改修は機能していない?


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デバイスごとのレーティングがまだ未実装だったのにもかかわらず、別のソート機能をそれだと思い込み誤った記述をしてしまいました。
訂正致します。

概要

2021年からGoogleはAndroidの大画面端末向け対応をプッシュしており、10月には大画面向け機能を拡充したAndroid12Lを発表、先日リリースされたAndroid13でもその機能が引き継がれている。

OSや開発環境整備などの策に加えて、Googleは大画面向けアプリ開発を促すためにPlayストアのアップデートを行うと発表していた。

具体的には

  • (使用中の)大画面端末に最適化されてたアプリをハイライト表示

  • ガイドラインに基づいた最適化の評価と、非最適化アプリへの注意表示

  • デバイスの種類ごとのレーティング導入

の三点である。
これらの変更点により、大画面端末のユーザーは最適化されたアプリを優先し、その結果として開発者側が対応を行う動機を得る、という筋書きをGoogleは描いていたのだろう。

しかしながら、確かにこれらの変更点は導入はされたものの、機能しているとは言い難い。
中にはGoogleが既に放棄してしまったと思われる機能も存在する。

アプリのハイライト表示

タブレット端末でPlayストアを開き、「アプリ」を選択すると「タブレット向けベストアプリ」が表示される。
これが大画面向けアプリのハイライト表示だと思われる。


しかし、詳細表示をしてみるとハイライトされているアプリは三つしかない。
いずれも対応を強調されるまでもなくユーザー数が多いアプリに見える。

元の構想を踏まえると、タブレット最適化済みとして紹介されるアプリはそうでないアプリより優先的に選択されるように強調すべきなのだが、元々メジャーなものを強調する意味はあるのか。
三つしか表示しないとなると、却って対応の遅れを強調しているだけに見える。
最適化されているアプリなら他にもあるはずだが、どのような基準で三つだけ選ばれているのか不明。

新たに対応が進んだアプリを紹介するように改善したほうがいい。

非最適化アプリへの注意表示

大画面アプリの品質に関するガイドラインに基づいて各アプリは大画面対応の進み具合をチェックされ、最適化が進んでいないものは大画面端末において個別ページに注意書きが表示されるようになった。

例えばWeChatはタブレットでも縦画面起動となるなどUI面で最適化が進んでいないためか「このアプリはお使いのデバイス用に最適化されません」という表示がページに表れていた。

しかし、ある時から注意書きが消えてしまった。

大画面対応が完了したから表示が不要になった、という理由なら歓迎するが、現在でもUIは最適化されていない。
(WeChatはLINEと異なり既存アカウントでもタブレットログインが可能なので比較的タブレット対応が進んでいるSNSではある。)

実はWeChatだけではなく他のアプリでも同様で、Google Playストア全体からこの注意表示が消えてしまった。
事実上Googleはこの方針を撤回したと見ていいだろう。

注意表示を廃止した理由としては、最適化されていないアプリがあまりにも多く意味を成していない、或いはタブレットユーザーに使用自体不可であるかのような誤った印象を与えるから、などが考えられるが、方針転換の事実を含めGoogleはこの点に関する声明を一切出していないため真相は謎のままである。

大画面向けアプリ最適化のガイドライン自体は有用であるため、廃止するのではなく逆に対応が進んだアプリに「大画面向け」の表示を付ければ良かったのではないか。

デバイスの種類ごとのレーティング

ユーザーが付けた評価や投稿したレビューはスマホやタブレット、Chromebookのデバイスごとに集計され、開発者はデバイス別に評価とレビューをチェックすることができる。
これにより大画面向けレイアウトやマウス・キーボード対応などの最適化を行った後に、ユーザーからの感想をを容易に確認できる。
また、大画面向け対応に消極的な態度に対して低い評価が付けられた場合、開発者側は真摯に受け止め対応に動き出すかもしれない。

この機能は2022年9月に正式導入された。

試しに、あるゲームアプリをスマホ、タブレットのPlayストアから確認すると、レビューの総数が端末ごとに異なっている。
レビューの欄を見ても、スマホとタブレットでは異なる投稿が表示されている。

タブレットでのレビュー数は9581件
スマホからだと8万件となっている

ただし、タブレットからのレビュー数はスマホの1割程度である。
これはユーザー数の違いを反映していると考えられるが、同時にレビューの仕様が影響していると思われる。

以前はPlayストアのレビューは同一アカウントからだとアプリごとに一回までしか投稿できなかった。
同じアプリをスマホやタブレットで使うユーザーは片方のデバイスからの評価を残していたが、おそらく使用頻度の高いスマホからの投稿が優先されたと考えられる。
その結果、積みあがったレビューを分別すると実際のユーザー数の差以上にスマホ側に数字が偏ってしまう。

デバイスごとのレビュー表示が導入された後は、同一アカウントからでも異なる種類のデバイスごとに複数回レビューの投稿が可能となった。
これにより、タブレットユーザーからのレビューが増加し、数字のギャップも徐々に埋まっていくものだと考えられる。



※以下の文章は初稿にあったものだが、決定的な誤りを含んでいる。
訂正箇所を明確にして残す。

この機能は実際に導入されており、アプリのレビュー画面からすべてを選択、このデバイスの機種でフィルタリングをすれば、タブレットならタブレットからのレビューだけを見ることができる。

※誤り
「このデバイスの機種」によるソートは文字通り使用機種からのレビューを抽出するものであり、デバイスの種類(タブレット等)ではない
この段階ではまだ機能自体が導入されていない

しかしながら、実際にタブレットユーザーからのレビューを確認すると、地域やアプリにもよると思われるが、あっても2~3個、大抵のアプリは一つもない。

※レビューが少ないのはタブレットユーザーからの投稿が少ないというより、この端末(Galaxy Tab S5e)の日本におけるユーザーがほとんどいないことを意味している。

これはタブレットユーザーが少ないという現状の反映として説明できるかもしれないが、そもそもPlayストアの仕様がこの仕組みの機能を妨げている面がある。

Playストアのレビューはデバイスに関係なく1アカウント1アプリ1つまで投稿できる。
これはつまりスマホからレビューを付けたアプリを改めてタブレットから評価しようとする場合、既存の投稿を修正する必要がある、ということだ。
ほとんどのユーザーはレビューを手元で一番使う端末=スマホから行っていると思われるので、結果的にタブレットからのレビューを行う余地が少なくなる。

同一ユーザーでも異なる種類の端末から複数回レビューすることを許可すればアプリ対応のためのフィードバックを得る機会を増やせるかもしれない。

※機能が正式導入された後、デバイスごとに複数回レビューが可能となっている。



まとめ

特に注意表示の廃止がそうだが、Googleは一度決めた方針をすぐに諦めてしまう傾向があるのではないか。
発想は良くても最初のプランがうまくいかないことはよくあるので、駄目そうでもやめるのではなく修正に留め、方針を継続する態度を取ることが成功の鍵ではないかと思う。

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