見出し画像

督夫さん

センチメンタルシティーロマンスの
中野督夫さんが3年間の闘病の末、
旅立たれた。

RJにとっても
そして自分自身にとっても
督夫さんは特別な存在。

そんな督夫さんの訃報に
胸が締め付けられる想いです。

督夫さんとの出逢いは
阪神淡路大震災、そして
RJの前身店、
「そのばしのぎ」まで遡ります。

瓦礫を撤去した後に復興を掲げて
プレハブ店舗でオープンした
洋風居酒屋そのばしのぎ。

そこに歌いに来てくださった
初めてのプロミュージシャン。

それから考えれば
もう四半世紀を越えるお付き合い。

RJをオープンしてからも
数えきれない程
何度もライヴをしていただいた。

年末には恒例のイベントにも
ご出演いただき、
督夫さんのお顔を拝見して
一年を締め括る、
それが当たり前の日常でした。


督夫さんとの思い出と言えば


ライヴ以外にも、
たまたま関西に来られていた時に
ふらっとお越しくださり、
なんと、その日のセッションデーに
飛び入りしてくださったんです!

『ガッツリ聴かせる!』

と言うよりは


『ガッツリ楽しませる!』

そんなステージ。

生歌、生ギターで
楽しいトークを交えながら
ステージで歌っているかと思えば
客席におりてお客さんに語りかける。

こんな言い方が相応しいかはわかりませんが、

まるで素晴らしい

『大道芸』

を見ているようでした。

もちろん歌もギターも最高なのは
百も承知ですが、
場の雰囲気を瞬時によみ
自分が何を求められ
自分が何をすれば
ここにいる全ての人を楽しませる事が出来るのか
それを的確にはじき出し表現する。

実力や経験で


『ねじ伏せる』


のでは無く、あっという間に


『巻き込まれる』


感じ(笑)


たった一曲、というより
たった数小節で惹き込み
巻き込まんでしまう。


終わった後は
まるで何時間も楽しませてもらったかの如く
拍手喝采!


終わって帰られる時には
その時来られていた外国人のお客様から


『素晴らしかった!』


と、チップを手渡されていました。


こんな光景を見たのは
後にも先にもこれ一回でした。


あと、
強烈に残っている想い出と言えば


ある日のライヴで
リハーサル最中、
どうにもギターの調子が悪く
ストレスの多いまま、
オープン時間も近づきます。


とりあえずリハーサルは終了し、
これは共演者のどなたかのギターをお借りして
対処するしか無いなぁ、
と思っていると、
ステージからおりた督夫さんがおもむろに


『マスター、これ、調子悪いんだわぁ

          直しとってくれる?』


と、


ポン、とボクにギターを手渡して
そのまま本番前の


『飲み』


に、出ていかれました💦

こう言っては何ですが、
ボクはギターは弾きますが
修理とかメンテナンスとか
そう言った類いは
全くの無知😅


『え…、いや…、ボクには…💦』


と言う言葉は
全く聞き入れられず(笑)


一人残されたボクは途方に暮れるばかり…。


知識も無ければ
技術も道具も無い😅


でも、
オープン間近だし、
自分の仕事もある。


もう悩んでられない!
やるしかない!


物理的に無理なら
それはそれで仕方ないし
やれる事があるならやってみよう!


と、
ギターを調べてみると
幸運にも単純な配線系の問題。

でも、工具も材料も無い。

そこでハタと思い付き
これは背に腹はかえられない!
と、
自分のギターの配線を引っこ抜き
応急処置だけど何とか問題を解消して
チェックしてみると
バッチリ音が出る!


ホッとする間も無く
オープン準備をしてオープン!


そうこうしていると
督夫さんが帰って来られたので


『ギター、何とかなりました!』


ギターを手渡すと


『ありがとね、サンキューサンキュー!』

と、あっけらかんとしている(笑)


人の気もしらないで…。 


正直少し閉口しつつも(笑)


本番が始まりました。


そして…


そのステージがまた



めちゃくちゃ素晴らしかったんです!



さらに、最後には

『マスターがギター直してくれてね

       ありがとうね!マスター!』

と言っていただきました。


一見すればワガママ?!
と思われるこんな出来事ですが、
これが


『役割』


なんだな、って思いました。


たまたま上手く行っただけかもしれない。
でも、
督夫さんにとってはリハーサルも大事
もちろん自分のギターも大事、
そして、地元ミュージシャンとの交流も大事

そんな中でボクに
店のマスターであり音響マンの自分に
役割を与えてくれた。

もちろんどうにもならなかったら
それはそれで仕方ない、
と思いつつも
最後の頼みの綱とて
ボクに託したんだと思います。

それに応えたボクに対して

最高の演奏で応えてくださった督夫さん。

そして、それをステージで
感謝の言葉を添えて伝えてくださった。


もちろんボクの為だけに
応えてくださったのでは無く
最高のパフォーマンスで
RJにいる全ての人に応えてくださった。

『プロ』


って何だ、って
永遠のテーマですが、


やっぱり
自分の役割として
あらゆる期待に応える事が出来る者


なんじゃないかな?
って思えた出来事でした😊


まぁ、
ご本人は覚えてらっしゃらないかもだし(笑)
ノリで手渡したのかもしれないし(笑)
単なるワガママだったのかもしれないし(笑)
元々原因がわかってて
これくらいならマスター出来るだろ?
って思ったのかもしれないし(笑)

今となっては
本意はわかりませんが

それが意図してでもそうじゃ無くても

ミュージシャンとして

『音楽』

で応えてくださる督夫さんは
まさしく正真正銘の

『プロ』

なんだなぁ!と。


ご本人は、何の気無しでも
こうやって色んなところで
影響力を与えてるんだろうと思います。


それもまた人間力なんだろうなぁ😊


もちろん、
カッコいい話しばかりでなく
破天荒過ぎるエピソードも
沢山ありますが…(笑)
それはここでは言えません(笑)


督夫さんに限らずですが、


残念ながら打ち上げとかでの
いわゆるお酒を酌み交わしたエピソード
はボクにはありません。


この歳になって言うのも
情けないと言うか
お恥ずかしい、と言うか
不甲斐ないと言うか💦

この根深い人見知りの性格で
人とのコミュニケーションを
上手く取ることが出来ず😅


多分、ミュージシャンの方からすれば
なんて愛想の無いマスターと言うか
関わり甲斐のないマスターだ
と思っておられると思います💦


でも、その分人一倍
もちろんその方の出す

『音』

を聴いていますし、
ずっと帰られるまで
その方の存在を

『観察』

しています(笑)
気持ち悪いでしょうが(笑)


そして、ボクの唯一のコミュニケーションは
やっぱり


『音作り』


だと思っています。

偉そうな技術も、
誇れる経歴もありませんし、
こんな事言ったらダメですが
理論も理屈もありません。

あるのは18歳からの
音響の経験と勘、くらい(笑)

あとは人見知り故の

『観察力』

です(笑)


音の良し悪しだけではなくて
ボクにとっての音作りは
唯一のコミュニケーションです。


督夫さんとのそのコミュニケーションは
ボクに多大なる影響を与えてくださり
たくさんの経験を積ませてくださいました。


そう言った意味でも


心の底から督夫さんを
リスペクトしています!

そんな事今更言うなよ、

って事ですが(笑)

督夫さん!


お疲れ様でした!✨


ボクもそっちに行ったら
今度こそ
人見知りを乗り越えてみせます!(笑)


本当に本当に


ありがとうございました!✨


画像は督夫さんのFacebookより。

画像1

画像2

画像3

画像4

画像5

画像6

画像7


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?