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【お題note】洋服の話

診断メーカーにお題を十個出してもらって、そのお題の記事を書くという試みです。

今回は「洋服」について。
洋服なんて、ここ最近買ってないんですが、まあなんとか書いてみたいと思います。

僕は洋服に興味がない

お題にしておいて、ここでこんなことを書くのはなんだけど、正直僕は服に興味がないし、金もかけない。

基本的に服なんてものは消耗品で、着ていけばそのうち破れたりほつれたりして、繕えば長く着られるのだろうけど、いつかは着られなくなってしまう。

そこに大枚をはたく人の気持ちが、僕にはよくわからない。

他人へ抱く感情は、ファーストインプレッションでほぼ決まるらしいけど、別に誰にどう思っていただいても、特に気にしようと思わないから、何を着てても構わんだろうと、面倒くさがりの非モテコミュ障が理屈をこねて、適当に済ませているというのが本音である。

でも、それだけではなくて、ファッションにこだわる人のヤな部分を色々見てきたからだと思う。

父親のコレクション

僕が着るものを気にしなくなったのは、父親と兄の影響だろう。

父親は、今でいうところのテキスタイルデザインを仕事にしていた。

紳士服売り場に並ぶスーツなどの柄を考えては、知り合いの機屋(はたや。スーツなどに使う反物を折る人)さんと打ち合わせでサンプルを作ってもらって、紳士服メーカーに売り込むことを仕事にしていた。

そのせいもあって、我が家は公団の3Kの小さな部屋にしては、やたらとスーツが多くて、父親は毎日のように違うスーツで職場に出かけ、出張に行く際には、どこかのチンピラみたいな様相のド派手なスーツで「いざ出陣!」みたいな感じで家を出ていっていた。

それが、子供心に、なんとなく恥ずかしかったんだろう。

スーツの上の裏地が煌びやかな糸で縫われた「鯉の滝登り」だったり「昇龍」だったり「吠える虎」だったりして、今にして思えば「スカジャンしゃねえんだからよ」とツッコミの一つも入れるべきだったのかもしれないんだけれど、ファッションに疎い当時の僕がスカジャンなど知るはずもないし、ひょっとすると顧客の野球の趣味に合わせていただけなのかもしれないので、理由は問わない方がいい気もしなくはない。

ただ、当の本人は既に他界しているため、本当の理由は知らずじまいだし、複雑な事情もあって、まだ墓参りができていないから、あれだけあったスーツの山がその後どうなったかはわからない。

まあ、服の類は処分に困るから、何かの拍子に大量の「おさがり」が届く可能性も無くはないので、散らかった部屋を片付けなければと、今にして少し思った。

おマセな兄のおさがりだらけ

僕が服に頓着しない理由はもう一つある。

自分で選ぶ暇もなく、次から次へと新しい服が向こうからやってくるのだ。

というのも、兄がやたらと服を買い、いらなくなったものから「これやるよ」と僕に押し付けてくるわけだ。

兄は僕よりもはるかに体格が良く、やたらとモテた。

小学生の頃から恋人がいて、交際相手に不自由していない人で、身体もそうだが靴のサイズも僕より大きい(中学の頃からひときわ大きく、学校の靴箱から一つだけかかとの部分が外に出てた)ので、押し付けられたものは、基本的にブカブカのポカポカで、ジーンズの類は松之廊下を歩く誰かのごとく、ズルリズルリと裾を引きずる始末で、それを履くには裾を幾重にも折る必要があって、「なんで兄弟なのにこんなに足の長さ違うんやろなぁ」と屈辱を感じながら履いてたのを未だに覚えている。

兄も、きっと心のどこかで笑っていたことだろう。

当時、兄はいわゆるDCブランドの洋服が好きで、そういう服を買い漁っていて、そのためにバイトに勤しんでいたんだけど、僕には何が良いかサッパリわからず、押し付けられるものを適当に着ていたんだから、着こなしというものがまるっきりわかっていなかった。

周りの連中からは「似合ってねえなあ」「身体にあってねえ」と言われたが、タダだから着てるだけだから、全くもって仰る通りなんだから、反論できない。

それもあってか、ドンドンと洋服というものが苦手になっていった。

で、初めて僕が自分で服を買ったのは、兄が他界してからになる。

当時の僕を見てどう思っていたかは、やはり聞けずじまいになっているが、今となっては聞かない方が幸せなのかもしれない。

もっぱらワークマンで買ってる

兄が他界して、とうとう自分で自分の服を買わなければいけなくなり、ユニクロなんかで適当に服を見繕うわけなのですが、それまでファッションだとかに対する経験値をあげてこなかったので、適当に選んだ結果、夏も冬もチェック柄オンリーになっていた時期があったり、というか、基本チェック柄しか買ってなかったり、いやむしろチェック柄こそ至高だと勘違いし始めたりして、この歳に至ります。

兄の形見ともいえる服がかなりあったのですが、僕が着たら七五三の支度にしか見えなくなりそうで、ほとんど兄の友人たちにもらって頂きました。

のこりのTシャツだとかは適当に着ていたのですが、流石に四十年近く経っているので、着れなくなるものばかりになって捨ててしまいました。

今では、ワークマンで適当に服を買っています。

普通の服も売ってるんですよ、ワークマン。

多分、一番コスパいいと思うんですよね、ワークマン。

暮らしわくわくワークマン!

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