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「いいものなら売れるなどというナイーヴな考え方は捨てろ」

昨日のTXP勉強会はインターンのF君が会社の内容を俯瞰するためにと、自社と競合を調べてくるという中々の資料作りを見せてくれました。彼が「せっかく伸び盛りのベンチャーに入ったのに、自分の中で会社の目的や全体像が整理できていないのは勿体無いから」と自発的に行ってくれたことには心から賞賛したいです。ちなみに会社としてこういう事をやってくれるとやっぱり嬉しいし、上からの覚えは良くなる。実際。

競合の話は思いっきり会社事項なので割愛しますが、TXPはPRが弱いのでは?という点を指摘されました。これは重要な指摘です。論文大量生産時代なので研究もちゃんとアピールしないといけない時代になりつつあります。ちなみにNEJMに掲載されたらアピールしなくても読まれます。

僕も大好きラーメンハゲこと芹沢さんが常々言ってます。「いいものなら売れるなどというナイーヴな考え方は捨てろ」。僕は全シリーズ持ってますが、一人でラーメン食べながらこの漫画を読んでる時は至福のひと時です。

『ラーメン才遊記』9巻、第88話「濃口ラーメン・解!!」より

最近はマーケティングやプロジェクトを実装する方法を少し学んでるんですが、本来そこには明確な戦略や戦術がある一方、医者をやっていると結構上のような性善説と言うか、良いことをすれば報われる的な考え方がある程度ある気がします。でも現実はあまりそうではないと思うんですよね。考え方自体は僕も好きだし報われて欲しいのですが(ちなみに会社として上記は理解しています。念の為。)


後半はTXP Research Seminarで井上先生・津川先生に講演していただいたHeterogeneous Treatment Effectに関して、3月に出版されたJAMAの論文をS君が発表してくれました。今月はHTE祭りです。

セミナーでも話があがりましたが、HTEにはいくつか大事なポイントがあって、そもそもlarge RCTでないと厳しいという点、各leafでpositivityが担保されていないといけないという点、そしてHTEを求めた後、次のstepは何か?という話で盛り上がりました。

HTEでindividual treatment effectを求めたのに、またhigh-benefit groupにRCTを行いATEを求めるのか?TXPの疫学統計学の柱である原先生は「Yes」でした。皆さんはどうでしょうか。僕はyesなんだろうけど、それでいいのかな?という気持ちもなくはないです。ちなみに手法論的な話としてHTE自体は様々な求め方があるんですが、それはまたその内。この辺り、もう少しAI寄りにしていくとvan der Schaarらのlabが色々やってると思うので、誰かインターンに留学してきて欲しい。


さて、最後。色々経緯があり、インターンの一人がとある事に対して「そういう行為はずるいですよね…」とコメントしました。

人はなぜずるいと思うのか。参加者の先生が「ずるいと思うのは嫉妬に近い」と発言してましたが、その通りだと思います。芹沢さんの名言にも通ずるところがあるでしょうか。

ちなみに、自分が何も悪いことをしていなくても「ずるい」と言われることはあります(という話題になった)。その人は結果しか見てないからそう見えているのか、本当に自分が気づいていないだけでずるいことをしているのかは分かりませんが、当人からすると何故ずるいと言われないといけないのか不思議でしょう。研究であれば、「お前はあのデータベース使えてずるい」なんて言う人もいます。

書いた通り、純粋に誠実に頑張っていたらそれが報われる社会であって欲しいと思いますし、自分もそう思います。お天道様が見てる、は良い言葉です。僕は大好きです。まあでも(残念ながら)研究もビジネスもそういう世界ではないという側面はあります。

自分を守るためにも「賢く」立ち回って欲しいという気持ちと、「お天道様が見てる」という心を忘れないで欲しいという気持ち両方あります。普通に考えれば両立するのですが、両立しないギリギリに立つこともあるかもしれません。ただ、自分の軸というか信念を曲げると、それはきっと後悔するので、そこはキープして欲しい。

あと、ずるいとかずるくないとか、そういうのは自分のやるべき事と今に集中しきれていない時、すなわち現状に不満がある時によく思うので、そういうものを見つけて取り組めると良いなと自分を振り返って思います。

いつも以上におっさんくさい記事になってしまったので反省します。

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