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調弦の話 (前編)

オーケストラが始まる時にホールに響き渡るAの音
客席にワクワクの雰囲気が広がり儀式的でもある演奏会の一部ですよね。
じつはあの風景は実際に演出的な側面が有り舞台上では最終確認だけ
ステージ裏でチューニングは済ませてから舞台に出てきています。
とはいえ舞台照明で気温が上がると金管楽器は音程上がるらしいです。

調弦に関しては私のジュニオケ時代と今では意外に色々変わってます。
ジュニオケ時代はまだ昭和だったので
弦の種類はドミナントとオリーブの二択でした。
最近流行りのハイテクナイロン弦はまだ出ていないので
舞台照明で気温が上がるとやはり音程下がりました。
本番ではオリーブが常識の時代でしたので安定しませんでした。

あと当時はまだチューナーが普及しておらず
弁当箱のように大きく何万もする機械だったので
音叉を使うのが一般的でした。
そして更に当時はA=440Hzでした。
今では当たり前のようにA=442Hzだと思われていますが
国際標準化機構のISO16として定められており
クラシック以外の音楽では440Hzで統一されています。
クラシック音楽で音程を上げるのが流行り
442Hzが標準になってしまいました。
少し高めに調弦したほうが弦の張りが強くなる分
音量も上がり音色も立つという事で
コンクールで勝つための秘策としてしれっと上がっていきました。
吹奏楽にも波及して442Hzの吹奏楽団も増えてきました。
ジュニオケ当時使っていた440Hzの音叉は今ではもう出番がありません。

ポピュラーミュージックの世界では普通に440Hzで調弦しています。
シンセサイザーの初期設定はISO16基準で出荷されるので
440HzでAが鳴りますし、チューナーも440Hzが初期設定です。
ライブハウスのピアノも当然440Hzで調律されています。
町中に流れるヒットチャートのナンバー全て440Hzです。
私はジュニオケ440Hz→バンドでギター440Hz →アマオケに帰ってくる442Hz
という流れなのでクラシックの世界がいつの間にか442Hzになっていた事に
かなり困惑しました。
せっかく世界標準規格を定めたのに勝手にルール無視すんなよと
今でも思ってます。
特に私はバンドでも弾く事がありますので
442Hzには違和感バリバリです。

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