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弾くロケーションによって弾き方を変える話

昨日は室内楽の演奏会でした。川崎市平和館という会場を選択したのですが
ここは本来は音楽ホールではなく催し物会場です。
しかし音響効果がなぜか良い会場なので気に入って使用しています。
ところがですね。響きの良いホールでは普段通りの弾き方をしていると
アンサンブルが崩れてしまうんです。
発音した後にしばらくホール鳴りが帰ってくるので
本来の音価より長めで拍頭もわかりにくいんです。
ぼんやりとモコモコした感じの演奏になってしまいます。
弾くロケーションによって弾き方を変える必要が有る訳です。

会場にリハーサルで入った時は普段の練習会場とのアンサンブルの違いに
かなり困惑しているメンバーもいました。
ホールでリハを繰り返し弾き方を矯正していく事で
格段にアンサンブルが良くなり本番ではベストの演奏ができました。

私がホールで弾く時にコッソリやっているコツですが
・拍頭はタッチノイズに臆せず強めにアタックを入れて弾く。
ホールではタッチノイズは客席には届かないです。
気にしないで良いです。臆せず強い心でガツンと弾くことが大事です。
・発音が始まったら早めのヴィブラートを下から上に1往復だけ入れる。
試してみるとわかりますが指板を押さえてピッチカートして
指を滑らせて3度分程弦長を短くするとキュイーン!と
音程の上昇と共に音量も上がります。
逆に弦長を長くするとデューン・・・と音程と共に音量も下がります。
つまり一往復だけ素早くヴィブラートを入れると発音直後に
一瞬音量の山ができるんです。これがホールでは拍感を出してくれます。
・音価より少し短めで発音を止め残りはホールの残響を使う。
少し短めで音を止めて上げないと
次の拍頭に残響が被ってしまいモコモコした演奏になってしまいます。
アタマをガツンと行った分、続きはホールに委ねてしまうイメージです。

定期的にホールで弾かないと家での録音に最適化した
演奏のクセがついてしまうんですよね。
響きのない環境で至近距離から取った演奏は
タッチノイズをガンガン拾いますから優しく入るクセが付きますし
残響がない分を音価一杯に長めにヴィブラートを入れて
歌わせ響き感を作りがちです。
コレがクセになってしまうとホールでは元気のない
パートナーも拍感が希薄で合わせにくい
綺麗だけど躍動感の無い演奏になってしまうんですよね。


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