ヴァイオリン、ヴィオラの弓の話
弓に関しては若干、荒やすい話題ではあるので避けたかったりしますが
気になってる人は多いと思うので向き合いますね。
弓は基本的にブラジルにしか生息していない絶滅危惧種の
フェルナンブーコという木でできています。
2007年にワシントン条約で輸出制限がされています。
更に2022年に象牙レベルの輸出制限に厳格化されることが決まりました。
そこで代替材としてのカーボン製の弓が開発されました。
カーボン弓は安価で性能が高いので代替材としての役割を超えて
積極的にカーボン弓を選択する人も増えてきました。
実は私も普段はカーボン弓を使用しています。
もちろん勝負弓としての木の弓も持ってはいますが
基本的には疲労に伴い消耗するので温存して普段は殆ど使いません。
カーボン弓の凄い所は価格帯が1~20万円程度の価格帯ながら
フェルナンブーコ弓の20~50万円程度の性能である事ですね。
コストパフォーマンスが2倍近いです。
私は弓を選ぶ時の第一条件としていかに張らなくても
弾けるかで選んでいます。
パンパンに張ると暴れやすくコントロールが難しくなるからです。
いかに張らなくても弓毛と竿部分が接触せず弾けるかで選んでいます。
この性能がカーボン弓は極めて優秀なのです。
とはいえロングトーンのゆったりとしたフレーズはカーボンだと
若干歌わせにくい部分はあります。
性能品質が均一すぎるため
弓元での力強さと弓先での繊細さの使い分けに差がつけにくいのです。
カーボン弓の場合、私はあまり高価な弓を選ぶ必要は無いと考えていて
価格に比例して性能が上がる感じはあまりありません。
3万円ぐらいで充分な気がします。
フェルナンブーコの弓に関してはオールドは一旦除外させてください。
性能価値とは別に骨董価値が付随してしまい100万円を超えてきますので
性能は消耗劣化してるのに値段は高いという現象が起きているからです。
新作弓に関して言えばフェルナンブーコの弓は
純粋に価格に比例して性能が上がります。
これはメーカーさんが完成した弓の物理性能をルッキ値などの測定によって
正確にランク分けして価格帯に振り分け出荷しているので
性能とか価格の相関関係の信頼度はかなり高いです。
最も低ランクに関してはフェルナンブーコ表記をせず
ブラジルウッドと表記されていますが木の種類は同じ材です。
ブラジル製の場合は若干アバウトという説もありますが
日本製のアルシェや杉藤楽弓社さん等は
かなり精度の高い品質管理をしています。
お金に糸目を付けない人であれば高価なフェルナンブーコ弓を
買うのが一番良いのは間違いないのですが
そんな事も言ってられないので
積極的にカーボンを選択して良いと思います。
絶滅危惧種なので今後は全く手に入らなくなる可能性もありますし
そもそもSDG'sの時代です。
フェルナンブーコを使うなんて環境破壊に加担しているのか!
と非難される時代が来るかもしれません。
カーボン弓にも対応できる技術を身につけるのも必要なのではと思います。
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