「ピアノの魅力」を肌で感じる。 〜『黒岩航紀 ピアノリサイタル』 聞きどころのご紹介!〜
3月9日(木)、東京・浜離宮朝日ホールにて『黒岩航紀 ピアノリサイタル』を開催いたします!
今回はその見どころ・聞きポイントをご紹介。すでにチケットをご購入いただいた皆様も、購入を迷っている皆様も、これを読めばよりリサイタルが楽しみになる内容をお届けします!
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国内最高峰である日本音楽コンクール・東京音楽コンクールの両コンクールで第1位を獲得し、幅広く活躍を続けるピアニスト、黒岩航紀。
今回「夢の一つだった」という、国内屈指の名ホール、東京・浜離宮朝日ホールでのリサイタルが実現いたしました。
本公演では演奏曲目も黒岩自身がセレクト。ドイツ3大Bとも呼ばれる、バッハ、ベートーヴェン、ブラームスの作品を中心に、小品からソナタ、さらにはコンチェルトまで演奏する、全3部構成のプログラムとなっております。
ポイント① ピアノ曲の可能性を広げたバッハ・ベートーヴェン
第1部では、バッハ:パルティータ第2番 BWV826、そしてベートーヴェン:ピアノソナタ第23番「熱情」の2曲がプログラムに並びます。
バッハとベートーヴェンといえば、それぞれの作品がピアノの『旧約聖書(バッハ:平均律クラヴィーア曲集)』『新約聖書(ベートーヴェン:ピアノソナタ全32曲)』と称されるように、ピアノの発展史にとって欠かすことのできない2人の作曲家です。今回の2曲も、2人の作曲家が楽器の可能性を広げた2曲です。
バッハのパルティータは全6曲。発表された当時から高い評価を得るとともに、用いられた高い技巧が注目されましたが、それは曲自体がもつ音楽性の高さ故といえるでしょう。イギリス、フランス、そして更にイタリアを加えた広い地域の音楽をもとに、約半年に1曲というペースでじっくりと作り上げられたパルティータは、各地域の音楽形式を自在に操りつつ、かつ統一的に見事に構成された作品で、『大作曲家バッハ』の真髄を見られる作品といっても過言ではありません。
第2番は、フランス風序曲を思わせるシンフォニアに始まり、全体を通して厳格な雰囲気に包まれつつも、ロンドーやカプリッチオといった、舞曲メインの一般的な古典組曲にはあまり用いられない楽曲も相まって、充実したエネルギーも感じる作品です。
続くのはベートーヴェンのピアノソナタ第23番「熱情」。当時のピアノが可能な限りの音響を駆使して作曲し続けたベートーヴェン。そのピアノソナタの中でも、『熱情』の副題の通り、激しい感情が爆発するような劇的な内容をもつ作品です。音量の大小の急激な使い分けや、当時の最高音・最低音まで使い切るような、ピアノで出来うる最大の表現を用いて、もはやピアノ曲という枠に留まらないような大きなスケールのドラマが展開されていきます。
第1部はまさに、バッハとベートーヴェン、2人のピアノ音楽の最高峰を味わう内容です。
【参考動画】
黒岩航紀(ピアノ)
ベートーヴェン:ピアノソナタ第23番『熱情』第1楽章
ポイント② ブラームスで今の『黒岩航紀』を聞く
続く第2部は、少し時代を越えてロマン派へ、ドイツ三大Bの最後の一人、ブラームスの作品から始まります。直近ブラームスへ取り組んできているという黒岩。自身もこの第2部前半を『聞きどころ』と意識しているとのことです。
どこまでも美しい『間奏曲 Op. 118-2』に続き演奏されるのは、難曲・『パガニーニの主題による変奏曲』。パガニーニのカプリス第24番を主題に、それぞれ14の変奏からなる2巻で構成される作品ですが、全体を通して常に高い技巧を求められる作品です。今回はその2巻両方を続けて演奏いたします。
ブラームスの様々な楽曲の中から何を演奏するか、全体のプログラムの中でも特に迷いつつ選んだ楽曲とのこと。今後もブラームスを演奏する機会を増やしていく予定の黒岩、これからの黒岩のピアノを聞く上でも見逃せない1曲となりそうです。
【参考動画】
黒岩航紀(ピアノ)
ブラームス:「6つの小品」より 間奏曲 Op.118-2
(下記動画 29:30ごろよりの演奏です)
ポイント③ いつものリストじゃない! 4人目のB、『フェルッチョ・ブゾーニ』
第2部後半は、同じくパガニーニの作品をもとにしたリストの作品「ラ・カンパネラ」へ。これまでにもリストを度々演奏してきた黒岩ですが、本公演は特別、フェルッチョ・ブゾーニによる編曲バージョンでお届けします。
フェルッチョ・ブゾーニは19世紀末・ドイツを中心に活躍した作曲家・ピアニストで、今回の公演としては『ドイツ出身・4人目のB』とも言える存在です。
10代から多くのピアノ曲を作曲しつつ、晩年には「新音楽」と名付けた新たな音楽性へと進んでいった作曲家としても名を残していますが、自身も若い時からヴィルトゥオーゾ・ピアニストとして名を馳せていたこともあり、バッハをはじめとした様々な楽曲のピアノ編曲でも知られます。
今回演奏されるブゾーニ編曲の「ラ・カンパネラ」は、現在ではあまり演奏されませんが、原曲に聞き馴染みのある人からすれば、かなり新鮮。黒岩曰く『はるかに難易度が高いが、よりお洒落さがある編曲』とのこと。原曲の疾走感も大事にしたいという黒岩、どのような演奏になるのかも注目です。
そして続く「メフィストワルツ第1番」は、そのブゾーニに加えて更に黒岩自身のアレンジが加わった「リスト(ブゾーニ=黒岩編)」の特別編曲。リストの原曲も十分に華麗で劇的な楽曲ながら、ブゾーニのアレンジによって『よりアグレッシブで勢いのあるものとなって(黒岩談)』いて、ここにさらに黒岩自身が音を足して、より劇的なものとなっているとのこと。
両曲とも有名曲ではありますが、編曲版が聞けるのはここだけ。
是非公演前にもう一度原曲を予習して、ブゾーニや黒岩自身の編曲の妙を味わっていただくのもいかがでしょうか?
【参考動画】
黒岩航紀(ピアノ)
リスト:パガニーニによる大練習曲第3番『ラ・カンパネラ』
(こちらは原曲の演奏です!)
ポイント④ クライマックスは弾き振りでの協奏曲!
そして公演最後となる第3部では、リサイタルとしては異例ながらオーケストラが参加。再びバッハへと戻り、ピアノ協奏曲第1番 BWV1052 を演奏します。
本曲は指揮者なし、黒岩による弾き振りで演奏予定!公開の場では初挑戦とのことですが、今後も続けていきたいと話す黒岩。3部構成の壮大なリサイタルの最後を意欲的な挑戦で盛大に締めくくります。
オーケストラはタクティカートオーケストラメンバーでお届け。先週・2月23日(木・祝)に開催し好評をいただいた『ラフマニノフ生誕150周年コンサート』にも引けを取らない、通常のオケ公演と同様のベストメンバーでお送りいたします。
【参考動画】
高宮城 凌(ヴァイオリン)、タクティカートオーケストラ
バッハ:ヴァイオリン協奏曲第1番 イ短調
当日コンサートマスターを務める高宮城凌(Vn)によるソロと、タクティカートオーケストラによるバッハの演奏です。
まとめ
ピアノにとって欠かせないバッハ・ベートーヴェン、そして黒岩にとって大事な作曲家・ブラームスというドイツ3大Bに始まり、パガニーニの繋がりから導かれるリストでは、さらにもう一人の「B」・ブゾーニを経由して、最後は再びバッハへと回帰する、壮大かつ重厚なプログラム。
精緻かつダイナミックなピアニズムを持つ黒岩によって、ピアノという楽器の魅力が最大限に引き出されること間違いなしの内容で、ピアノを愛する全ての人にお聞きいただきたい公演となっております。
皆様のご来場を心よりお待ちしております!
(文:藤原健太)
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