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第20回:大音量だけではない音のリスク

前回までの記事では<Sonic = 音やサウンドがヒトの「感情」を引き出し、動かし、「記憶」を呼び起こし、「行動」を喚起する>ポジティブな側面を述べてきました。すなわち購買・消費行動を導き、売上を上げたり、お店の滞在時間を長くしたり、お客様と企業の間に特別な心のつながりを生み出したり、といった音を使った、言うならば「Sonic Opportunity:音の機会やチャンス」の話をしてきました。

しかしながら、ESG(環境・社会・ガバナンス)に機会やチャンスばかりでなくリスクや課題があるのと同様、SonicにもSonic Opportunityだけでなく、Sonic risk, Sonic issue など、「そのままその音を今のまま出し続けると人の心身の健康やウェル・ビーイングにネガティブな影響を与え、企業として極めてシリアスなリスクを抱え、莫大なコストを負担し続ける」可能性になることがたくさんあります。

筆者はデシベル=騒音や防音のお話をしているのではありません。

もちろん日本には「最低限の」騒音や防音に関する法令があります。筆者なんか、京浜地区の工業地帯の運河っぺりの公立高校に通ってましたから、羽田空港に離発着する飛行機の騒音対策で教室の窓ガラスが二重になっていたりしてましたっけね。窓ガラス割れてたけど。しかもあの時代の公立高校にしちゃめずらしく、教室に冷房なんかもついていたような気もする。窓ガラス割れてたから意味ないけど。その他にももちろん拡声器をつかった活動の規制や工場や工事現場が発する騒音を規制する法令などもありますよね。

しかしながら、それらは人の「最低限の」心身の健全性を担保する「最低限の」レベルの規制です。音のリスクは目に見えず、また日本では音響科学に関しては大学や民間企業の研究開発などで専門研究がなされてきたとはいえ、欧米のように各専門家による横断的・統合的な研究が積極的にはなされて来なかったと理解しています。従ってもちろん「音に対しておざなり」とまでは言いませんが、音に関するリスク・コスト認識と管理、課題改善へのアクション、コンプライアンスの優先順位が欧米に比べかなり低いといわざるをえません。

では、音のリスク、音の課題とは具体的にどのようなものがあるのでしょうか?

次回、ソニック・アーキテクトの考えるSonic Issue/ Sonic Riskをご紹介いたします。

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