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第9回:すべての経営者、政治家、ビジネスマン必見!徹底(的に科学的に)解説!なぜオバマ大統領のスピーチが素晴らしいのか?

さて本日は「なぜ、オバマ大統領の広島でのスピーチが素晴らしかったのか」についてソニック・アーキテクトの「音=周波数」視点から解説します。ぜひ経営者のみなさま、IRご担当者様、会社を代表してセミナーやシンポジウムなどにご登壇されるビジネスマンのみなさま、そしてすべての政治家の皆様にお読みいただきたいと思っています。

なぜならずばり、「信頼と信用、カリスマ性はスピーチで表現できるから。」です。

そしていつもの「帝釈天で生湯を使い」方式で言うと、音やサウンド」=周波数の表現はヒトの「感情」を引き出し、動かし、「記憶」を呼び起こし、「行動」を喚起する。

つまり、素晴らしいスピーチは、話手と聴衆の間に「感情的なつながり」を生み出すことができるというというわけです。

したがって「企業トップ、政治家、IRがカリスマ性や信用・信頼を高めるスピーチのアドヴァイス」とは言うものの・・

ただのスピーチの練習ではありません。

オバマ大統領が2016年に広島でなさったスピーチが好例です。まずはちょっと長いですけど、英語のリスニング練習も兼ねて視聴してみましょう。

オバマ大統領は広島に投下された原子爆弾の被爆者をvictim of the atomic bombとはおっしゃいませんでした。その代わりに、「hibakusha = ヒバクシャ」という日本語をお使いになりました(8分20秒付近)。

ヒトは理解できない外国語を聞いていたり囲まれている際に、母国語を聞くととっさに反応してしまいそちらに注意を喚起されます。外国の下町で「コンニチワ!」と言われるととっさにそちらを向いてしまうのと同じ原理ですね。

更には、オバマ演説のこのコンテクストにおいては victim of the atominc bombではなく、「ヒバクシャ」でなくてはならなかった。なぜならば、ノルマンディー上陸作戦の犠牲者でもなく、アウシュビッツ強制収容所の犠牲者でもなく、レニングラード包囲戦の犠牲者でもなく、ほかならぬ日本、ほかならぬここ広島での戦争の犠牲者と言えば「ヒバクシャ=被爆者」であり、この言葉を選択することで、オバマ大統領はわたしたち日本人の気持ちに心から寄り添って下さった、と感じることができたわけです。

また、同じ内容を話すにしても、アクセントやプロソディ(ダイナミクスや抑揚)によって聞き手に更に伝わりやすい表現に変わります。

伝えたいセンテンスや言葉の前に、あえてポーズ(一時休止)を入れて、聞き手のアテンションを惹きつける手法もあります。

音楽と同様、クレッシェンド、ディクレッシェンド、p ピアノ、f フォルテ、mp、mf、pp、ff、アクセント、休符(長い全休符や1拍の4分休符、短い8分や16分休符など)などのプロソディを用いる場所を設計していきます。更にはpピアノ(小さい)サウンドには声楽家のように、口腔内スペースを有効に使って適切に音を響かせる、胸に響かせる低音、また、壮大なテーマで雄大な抑揚が必要な場合は、虹や橋をかけるようにや腹筋・背筋をしっかり使うなどの様々なテクニックをもって戦略的にスピーチのコンサルテーションを行うのがソニック・アーキテクトです。

もう少し申し上げると・・

「ヒバクシャ」というその言葉の持つサウンドは、そこからの感情の引き出しや動かし、記憶の呼び起こし、行動喚起の効果を期待することができますので、言うまでもなく、この「言葉の選択」はもちろん大切です。

しかしながら、言葉による訴求力を戦略的に活用することもさることながら、このスピーチでは、プロソディに加え、極めてきめ細やかな配慮を払って設計されているのは休符(ポーズ:一時停止)であったと言えるでしょう。

「ヒバクシャ」のセンテンス開始前は5秒の休符(BPM60、♩=60)があります。これは聞き手の注意を意図的に一層惹きつけるために差し込まれた休符です。

良いお知らせとしては、テンポ感の訓練はそうそう難しいことではありません。オバマ大統領でなくても大丈夫。♩=60つまり時計の1秒間感覚と同じですから、訓練により身に着けることができるようになります。

聴衆は同じテンポのスピーチだと段々飽きて注意力散漫になったり、心に響かなくなりますよね。小学校や中学校の校長先生の朝のお話で飽きてしまってユラユラしてしまう生徒が続出するのと同じ原理ですね。

ですから、「言葉の選択」に加えて、緩急やアクセント、クレッシェンドやディクレッシェンド、強弱も大切で、加えてセンテンス間の間合い、休符ポーズも非常に重要且つ効果的なものであると言えるのです。

このように、スピーチの戦略と実践とは活舌のお話だけではなく、細心の注意を払った一つの言葉の選択も重要で、抑揚などとあわせることで、聞き手の心からの共感や尊敬・信頼を得ることができます。

従って、今回のオバマ大統領のような素晴らしいスピーチは、国を代表する政治家だけが用いる例外的なテクニック、というわけではなく、経営者やIR、タレントや司会者など、ソニック・アーキテクトのスピーチ・コンサルテーションを受けている方の「話し方」というものは、同様に「科学的・戦略的に」構築されているものなのです。

それでは次号、少し角度を変えながらソニック・アーキテクトの核心にせまってみます。

「なぜだろう、フランスワインが飲みたい。」と題して、レストラン、小売り店舗、CMなどのBGMが消費者の心理に対し、いかに「ヒトの「感情」を引き出し、動かし、「記憶」を呼び起こし、「行動」を喚起している。」か、について少しづつご紹介してみたいと思います。お楽しみに!

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