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【45冊目】「具体⇄抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問 細谷攻

抽象度が上がれば上がるほど一般的になり、具体性が上がれば上がるほど特殊な個別の事象になっていきます。このために抽象度が高い表現であればあるほどカバーする範囲が広くなり、知的対象の範囲が広がっていくことになるのです。つまり、抽象度が高くなれ ばなるほど言葉の汎用性が上がり、一つの言葉で表現できる対象の数が増えていきます。 


「ざっくりと分けてしまうことで、複数の事象をまとめて扱ってしまう代わりに、個別事象の特殊性を一切無視する」というのが抽象の世界ですから、そこに必ず「抽象化のゆがみ」が生じるのです。



一方、規則や常識を抽象化して考えられる人はそ れをメタの視点からとらえ、なぜそれが必要なの か、その意味するところは何なのかと問いかけるこ とで、その抽象レベルの意味合いを抽出し、もしそ れに変化があるのであれば新しい規則を生み出し、 次世代の常識をゼロベースから作り上げることがで きるのです



抽象レベルの「幹」のメッセージを出したい人は、「極論で言い切る」という手法 をとります。ところが、それを見た具体派の人たちは、切り捨てられた枝葉が気になって仕方ありません。そこで「こんな葉っぱもこんな枝もある」と反論するわけですが、当の言い切った側の人は「そんなこと はわかった上で切り捨てている」わけです。

しかも抽象とは「都合の良いように切り 「取る」ことで幹だけ残すわけですから、前提条件によって何を切り捨てるかは変わってきます。したがって、「都合の悪いため に切り捨てられた枝葉」を大事に思う人からは常に反論が出ることになります。 切り捨てた結果としての抽象にはどんな

他人のことはなるべく具体的で 詳細な事情までを考慮するようにし、 自分のことはあまり特別視せずに引いた目で一 般化してみるぐらいが、他人とのコミュニ ケーションではちょうど良くなるのです

「お前は間違っている」とか「この意見のほうが正しい」といった「正しい」「間違い」 の議論を始める前に、そもそもそれはどういう状況で起こっているのか、それを語ってい る人はどんなことを狙ってその行動をとったのか、その時にどんな制約条件があったのか といったことを十分に確認する。それをしないまま行われる議論は、そもそも議論にすらなっておらず、「自分の正しさを証明する」ためのものでしかないということを自覚すれ ば、世の中の無用な軋轢は減らせるのではないかと思います。

抽象レベルでものごとをとらえている人 にとっては、日常の様々な話が全て「どこかで聞いた話」になってきます。 サッカーの話と演劇の話と職場の人間関係の話が 「全て同じ構造」だと見抜いてしまえば、「またあの話か」となるわけです。こうなれば、なぜそういう人たちが他人の話を聞くのが苦手になるかおわかりでしょう。

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