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【紀行文】本の聖地で本に溺れる ~神田神保町BookHotel その2~

いよいよBOOKHOTELの中へ

 この日のチェックイン可能時刻は15時だった。古書店巡りにも少し疲れ、15時少し前にホテル前にたどり着き、ほぼ時間通りに入った。
 タイトル写真の通りお洒落な外観のホテルだが、間口は狭く、もしかしたら元は古書店だったところなのかもしれない。
 入って直ぐに受付があるのだが、その前に何冊もの本が目に飛び込んでくる。ぐるりと見渡すと、棚ごとにテーマを持って並べられたと思われる本が出迎えている。

スタッフセレクトの本棚
誕生日ごとの本


 受付を済ますと、事前に登録した内容に沿ったお薦めの本が手渡された。
これがこのホテルの売りの「ブックマッチングサービス」だ。
 有料サービスだが、事前にアンケートに答えるとスタッフである本のソムリエさんが本を手渡してくれるのだ。
 私へのおすすめ本は「マナーはいらない 小説の書き方講座」と「汚れた手をそこで拭かない」の二冊だった。
 正直読んだことがある本が紹介される可能性が高いのではと思っていたが、両方とも知らない本だった。このほか、サービスで一冊プレゼント本があり、都合三冊の本を私たち家族はそれぞれ持って宿泊ルームに向かった。

私へのおすすめ
そして妻へのおすすめ


 エレベーターホールにも、廊下にも、本がディスプレイされている。そのどれもがテーマを持ち、そして自由に借りることが出来る。まさに本の海にいるようだ。といっても図書館のような圧迫感はなく、本のジャンルも比較的軽い本(一晩かかっても読み切れないような本はなさそうだった)ということもあり、心地よく揺蕩っている、という感じだろうか。

 宿泊室の中は、実に簡素でテーブルすらも物置と一体化し、あとはユニットバス、ベッド、そしてマッサージチェアだった。
 ベッドの宮にも本が10冊ほど並べられていた。
 心地よいベッドに寝転がりながら、さっそく本を吟味する。どれから手を付けていこうか・・・。この楽しみはこれからだれにも邪魔されず翌朝のチェックアウトまで続くのだ。

 マッサージチェアもベッドも、おそらくはスタッフが読書用に選び抜いたものなのだろう。特に枕は私は大変に気に入ってしまい、今現在同じものが手に入らないか、探しているところである。

 このホテルは、本を読むためのホテルというだけあって、防音は完璧であった。何人の客が泊まっていたのかは知らないが、一泊の間ほかの部屋の音が聞こえることは全くなかった。
 そして部屋には余分なものが全くなかった。
 もしかしたらマッサージチェアは不要という人がいるかもしれないが、ゆったりと体をほぐしながら読むのも実に気持ちよかった。
 自宅やカフェで本を読むのも好きで、自宅にはそれなりに読書環境を作るための投資をしているが、どうしても音の問題は解消されなかった。
 カフェでも同じで、適度な雑音が心地よい時もあるのだが、雑音程度の会話でとどまる幸運はまれである。大抵は、不快な会話が耳に入ってきて心を悩ませたり、客の癖のような音がいらだたせたりするのだ。
 こうして防音が完ぺきなホテルで完全な読書環境を提供してもらうのは、なかなかできることではなく、貴重なサービスであるといえよう。

神保町の古本屋外の中にある。

リピートしたい

 今回家族で泊まったが、大変に満足度は高く、またリピートしようという話になっている。一泊二日で良いのだから、週末に籠るのも悪くないと思った。ただでさえ、読みたい本が積まれていく日々である。
 こうしてまとめて解消できるホテルは、とても貴重だ。
 ただ、このホテルや古書街に来ると、結局それ以上に読みたい本が増えていく・・・・・・。まあ、またそれもよしか。



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