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【紀行文】牧歌的な田園風景が心を癒す〜伊豆の国韮山真如の里でキャンプ

 伊豆の国韮山は牧歌的な田園風景が広がる場所だ。遠くに富士山が姿よく見え、また近景には、葛城山や城山などの伊豆の山々が美しく配置されている。近くには世界遺産となった韮山反射炉のほか、パンの祖とされる江川太郎左衛門の屋敷、そして近年、鎌倉殿の13人で一躍、脚光浴びた源頼朝ゆかりの地が各所にある。
 また戦国の雄、北条早雲(当時は伊勢宗瑞)が築いた韮山城があり、今も遺構が残っており、韮山城跡は歩くことが出来る。韮山の地形を生かした砦なども残っている。

真如の里の畑

 この韮山城跡近くには、今は韮山高校や中学校があり、一種の文教地区となっており、落ち着いた場所となっている。
 この南に和田土手があり、その先山の懐に入ったところに真如と言う地区がある。
 ここで、西村さんという方が真如の里を運営している。趣味のと言うが、畑の作物の収穫体験や花摘みができ有料だが持ち帰りができる。そして最近はキャンプ場として供用すべく整備を進めている。

真如の里の案内図より

 西村さんと知り合いなので、真如の里に定期的に訪れ、タケノコ狩り、畑の収穫体験などをさせてもらっていた。
 そして今回キャンプ場としての整備が大分できてきたとお聞きしたので、このGWにモニターとしてキャンプをすることになった。

いきなりタケノコを茹でる、そしてピザ窯だ! いずれも絶品。

 昼過ぎに着いたところで、採りたてのタケノコが3本用意してあった。今回家族3人で訪れたため、3人分のタケノコということである。大鍋に湯がぐらぐらと沸かして用意されていた。
 ここにタケノコの皮をむき、適当に切ったものをポンポンと入れて、灰汁抜きをする。結構な大きさのタケノコであったが、西村さんから「夕飯に夕飯に山椒入りの酢味噌和えどうぞ」と教えてもらった。その旨さよ! 絶品だった。

灰汁抜きはいろいろ方法があるが、米糠と唐辛子を入れた

 農園内には様々な作物が植えられており、まずは枝豆とにんじんを少しもらった。
 ネモフィラやシャクヤクなどの花が咲き乱れ、花摘みだけでも楽しめる。

ネモフィラが咲いていた

 この日はまだ昼食を食べていなかったため、まずは昼食の準備。
 事前に予約をしたときに、ピザ窯ができたからそれを使うといいよと言ってもらっていた。
 耐火モルタルを使った半球型・ドーム状のピザ窯があった。これはこの農園を手伝っている牧野さんと言う方の手作りだ。
 何度か試しでやっているが、美味しくピザが焼けているよ、と言うことで、私たちもこのピザ窯にチャレンジ。もちろん初体験である。

ピザ窯の中に薪をどんどん入れて火を強くしていく
当然薪は自分で割っていく 薪は農園周辺のヒノキ等を伐採したものだ

 近くのひのきを切り倒して薪が積んであった。この薪をさらに細かく割り、このピザ窯の中に入れて行く。少し湿っていたせいだろうか。最初はなかなか火がつかなかったが、一時間後にはもうもうたる煙と火が窯内を渦巻き、窯がどんどん熱くなっていった。
 牧野さんには、この石窯に触れていることができなくなる位熱くなれば、ちょうどいい温度だと言われた。
 窯内の温度はどんどん上昇し、ついには私が手を触れるのがためらわれるほどの熱さになった。
 窯の中の炭を左右に避け、スペースを作ったところに鉄板の上に乗せたピザを差し込んだ。牧野さん曰く、すぐに焼けるが、窯内の左手から右手に熱が流れる関係で、温度にムラがあり、途中で回したほうがうまく焼けるとのコツを教えてもらった。

窯の中にピザをセットし、入り口を塞ぐ
待つこと数分で、チーズがきつね色に焦げ始めた。
ぐるりと半周回し、全面が程よい色になったところで出す。うまそう。

 さあ、ピザの焼き時だ。持参した冷凍ピザ(ちょっとお高めのやつ)を三枚焼いた。あっという間に狐色になっていく様が面白かった。
 ピザの後は、先ほど収穫したにんじんをホイルに包み、蒸し焼きにすることにした。これはすぐにはできないので、夕飯の楽しみに取っておく。
 どれも熱々でおいしかった。アウトドアで食べるものはどうしてこう旨いのだろう。牧野さん曰く、この畑でとれたサツマイモを蒸し焼きにすると、とてつもなく美味しいそうだ。秋にもまた来たい。

続いてキャンプ地にテントの設営

 キャンプ地は、この畑からやや南に行ったところに荒神社があるが、その近くに開けた場所を整備してあるとのこと。
 西村さんが小型ショベルカーで、竹藪を削り、道を作ったばかりなので、ショベルカーのわだちが残り、少し歩きづらいが、畑からは五分もかからないところにある。
 キャンプスペースに、荷物を運びこみ、できるだけフラットな場所を探し、ビニールシートを敷いた。そこにテントを設営していく。
 西村さんから夜は動物が来るかもしれないので、ラジオやスゥエーデントーチを置いておくといいよと言われた。
 実際我々はキャンプ中にある出来事に遭遇することになる。それはまた後で。

道はまだ整備中
キャンプ地はこんな感じだ

 テント簡易的なものなので、設営を妻と子供に任せ、私は西村さんから教えていただいた、ここから江川邸に続く山道の探検に出かけることにした。江川邸とは、韮山の反射炉を作ったパン祖としても知られる江川太郎左衛門の屋敷である。その屋敷裏まで通じる道が山の中を走っているようで、そこを一度モニター的に探索してほしいということだった。
 この探検記録は、こちら。

真っ暗な中BBQと星座を楽しむ

 探検から戻り、まず温泉に行くつもりだったが、GW最中、どこも混んでいて入れなかった。ちなみに近くには、日帰り温泉施設はいくつもある。ユートピア函南、畑毛温泉、伊豆長岡温泉など。普段は温泉を楽しめる。
 近くのスーパーで食材を購入し、里に戻って18時半ごろから夕飯の準備となった。BBQコンロに、昼間ピザ窯で使った残りの炭と薪を入れ点火。

 そして、事前に西村さんからスウェーデントーチを2つ頂いた。
 このスウェーデントーチが優れものであった。私は使うのが初めてであり、本当に使えるのか半信半疑だったが、この中央の切れ目に着火剤を入れ、火をつけると瞬く間に炎が昇り、その後約4時間ほど燃え続けた。素晴らしい!
 このスウェーデントーチの上に鍋を置き、ウィンナーや鶏肉を焼いた。
 辺りが暗くなってきた。BBQコンロの火の光とスウェーデントーチの炎の光が良い雰囲気だった。

今回大活躍のスウェーデントーチ
炎を眺めながら肉を食らう、酒を飲む・・・うーん最高

 真如の里はとても静かだった。いや、虫や獣の鳴き声が辺りによく響いた。その中で、すこし電波状況の悪いラジオを流す。このラジオは、獣避けにもなるそうだ。
 空は余分な明かり一切ないためよく星が見えた。この日、北斗七星(おおぐま座の一部)がよく見えた。

画面左上↖️わかるだろうか。ちなみにiphoneで撮影し、一切加工なし
持ち込んだ花火を楽しんだ

 肉を焼き、酒を飲み、まったりとしたところで、スウェーデントーチの火も弱くなってきた。最後に持ってきた花火をやった。真闇での花火はきれいだった。美しかった。
 花火が終わった。そろそろ寝ることにした。時間は21時過ぎだった。

ラジオを流しながらキャンプで就寝

 もう一つのスウェーデントーチとラジオを持ってキャンプスペースに上がった。このスウェーデントーチをテントの前に置いておけば、獣が近寄ってこないそうだ。
 先ほどと同じ要領で火をつけると、直ぐに炎が上がった。静かな中で炎を眺めているのは気持ちよい。うっとりしてしまう。長く続いた縄文人の記憶が呼び覚まされるのではないだろうか。
 娘も気に入ったようでしばらく眺めていた。

炎の揺らぎをうっとりと眺めた

 テントの中でゲームなどをする予定であったが、疲れていたためか、3人とも直ぐに寝入ってしまった。ラジオは静かに流れていた。

気持ちの良い朝 鳥の鳴き声

朝露にしっとりと濡れた農園

 私は明け方ラジオの音で目が覚めた。そして徐々に獣や鳥の鳴き声が大きくなっていくのが分かった。
 妻も目を覚ましていた。妻に聞くと、どうやら夜中にテントを押すものがいたようである。小さな動物が落ち葉を踏み近寄ってきて、テント脇のビニール袋を突っついたようである。
 昼間目撃したうりぼうであろうかと見当をつけた。よく出没するようで、ここの近所の人たちにも、「そんなところにいると、ボタン鍋にしちゃうぞ」と笑われている、人懐こいうりぼう。彼奴だったろうか。

 鳥の鳴き声がいよいよけたたましくなり、私は起きることにした。朝5時だった。朝の里の風景もよかった。思ったよりも寒暖差が激しく、朝露にあらゆるものがしっとりと濡れていた。
 私はバーベキューコンロに再び火を入れることにした。昨晩使ったスウェーデントーチを割りそれを炭にして火を興した。

 しばらく焚き火のようにして温まる。妻と娘も起きてきた。
 朝食はホットサンドメーカーでいろいろなものを焼いた。こちらもうまかった。

ホットサンドメーカーで朝食

素敵だった真如の里キャンプ

 最後に、こちらのトイレ事情であるが、近くに西村さんのご親戚の方が土日だけ滞在する家があり、そちらのトイレを借りた。いずれは、キャンプ専用に綺麗なトイレを整備する予定らしく、実際はそちらを使うことになりそうだ。
 また、水場はいくつかあるが、この日は、同じお宅の庭先の水場をお借りした。畑の中を少し歩いたところにある。
 ちなみにキャンプ場の方には水場はない。
 朝食を食べ終わり、一息ついた後片付けに入った。
 最後にトイレと水場をお借りした西村さん宅にお礼を言って真如の里を出た。帰りには花束や野菜をいただいた。親切な方々とおもてなしもこちらの里の魅力だ。

 西村農園 真如の里は💁こちら

お土産にいただきました

参考に。2年前の記事です。

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