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【登山記】日蓮上人が見守る富士のまち 岩本山~明星山

日蓮上人といえば過激な主張や行動を私は思い浮かべてしまう。激動の時代にあって、既存宗教を鋭く攻撃し、自身の教えをまさに「切り開いていった」激しい性格の人物。
うちは日蓮宗の檀家なので、幼いころからその名に馴染みはあるが、その足跡や関連の聖地巡礼をしてはいなかった。
今回の岩本山は富士市にある。どちらかといえば、岩本山公園として認識されていて、山頂まで容易に車で行くことができ、週末には行楽客やスポーツを楽しむ人であふれている。
しかし、その麓には日蓮上人が「立正安国論」を著わしたと伝わる実相寺があり、そこからのハイキングコースも親しまれているようである。
総門や仁王像も文化財的価値があり、境内の一角に立つ日蓮上人像は、厳めしい想像通りの顔で富士の町を見下ろしていた。

日蓮上人のゆかりの地であるため、寺の格式が上がったということか。
手前の梅(桜?)がもっと咲けばかなり絵になる。このままでもよいが。
安国道場と読むのであろうか。
この柳も素敵である。

さて、前置きが長くなったが、ハイキングコースである。
実相寺の境内内の階段もそれなりの段数があり、少し息を切らす。総門を潜り、本堂前に屹立する日蓮上人像を拝み、さらに祖師堂や一切経が納められている一切教堂を過ぎると登山道が始まる。登山道の道々には、天神堂や七面大明神を祭った七面堂がある。
今回の実相寺のことを調べようとしたのだが、公式ホームページはどうもないようだ。日蓮の霊跡鮮かなこの寺院だが嘗て焼失したこともあり、そのほとんどは江戸期の再建であるようだ。そのためか、日蓮所縁の寺としては、そこまで知名度が高くないようだ。
なので、個人のページでよいのがあったので、ここに貼っておく。
個人的には、七面山には興味があり、いずれ詳しく調べてみたいと思っている。

この総門の両脇に市指定文化財の仁王像がある。
鐘楼も立派だ。
途中の見晴台から、富士の町を望む。

さて実相とは「まことのすがた」と読み下すこともできるらしい。世のまことのすがた、を見ることが出来たらどんなにか幸せだろうか、いやまことのすがたがきれいとは限らない・・・などど考えながらではないが、あっという間に岩本山の山頂に着いた。
山頂は、冒頭にも書いたが、行楽地である。この日も山頂の梅園を目当てなのか、多くの観光客が訪れていた。
我々も展望台から素晴らしい眺めを楽しんだ後、梅園に向かう。この日はまだ満開というほどではなかったが、それでも三分咲き程度の紅白の梅を存分に楽しむことが出来た。桜の華やかさもよいが、梅の渋さもよい。
この日は富士の頂に傘雲がかかっていたが、写真を撮った際には得も言われぬ彩雲となっており、まさに「晴れてよし曇りてもよし富士の山 もとの姿は変らざりけり」である。

岩本山の梅園から。富士市はさすがにいたるところに富士見の名スポットがある。
岩本山の展望台から。雲の形が面白く美しい。

さて、ここは人込みもあり、時間もまだ昼に早かかったため、次の明星山に向かう。明星山は、富士宮市に入るらしい。岩本山からは、万野地区に下り、そこから30分ほど歩いた場所にひょっこりと登山口が現れた。
地獄の木段と言われる(笑)急登の階段を20~30分ほど登ると明星山の山頂に着く。展望台や二等三角点があった。
残念ながら、山頂は桜の木なのだろうか、まだ芽吹きもまばらなほどであり、花見とはいかなかったが、そこは花より団子。
酒宴を催し大いに楽しんだのである。

看板が見にくいが明星山登山口。ここから地獄の木段 30分
三角点を踏んづけると、ちょっと制覇した気分になる。

行程としては、この後富士宮駅まで徒歩きしたため、この日は二万歩を超えるハイキングになった。流石に足がくたくた、というより痛くなってきた。
帰りは、酔いも回り、私は二駅ほど夢見心地で過ぎて後悔することになる。
が、それもまた春の転寝の心地よさ・・・ということで。

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