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【紀行文】国のまほろば、万葉集の心が生きる飛鳥路を旅した

飛鳥(明日香)は日本人の心のふるさとだ

私が住む静岡県から車で約5時間。伊賀山中を越え、宗教都市天理を抜けるとそこには万葉の時代を今に受け継ぐ明日香村があった。
万葉集が日本人の心象風景を語ったものならば、明日香村はまさに日本人の心のふるさとだ。

「万緑の中や吾子の歯生え初むる」という有名な中村草田男さんの俳句がありますが、新緑の勢いが著しい中、明日香にはいると緑と白と空の青が視界いっぱいに広がる。
この白というのが、明日香村の道だ。
明日香村は、サイクリングロードの整備をしっかりとやっており、車道は黒いアスファルトだが、歩道やサイクリングロードは黄土色の舗装を使っている。これが遠目には、白く見えて緑と白のコントラストが気持ちよい。

亀石付近でレンタルサイクル~石舞台古墳へ

明日香村の亀石は、ユニークな形で有名だ。何か伝承があるのかもしれないが、特に解説はなく観光客が和やかに写真を撮っている。

亀石はかわいい

その亀石近くの駐車場に車を停め、自転車で明日香路を巡ることにした。まず向かったのは、石舞台古墳。私は小学生のころ、つまりは30年以上前にここに来たことがある。その時の記憶はおぼろだが、こんなにも公園化していなかったと思う。
今は、周辺がしっかりと整備され、観光客というよりも奈良に住む人々の憩いの場となっているようだった。
明日香村全体に言えることだが、国営の管理が隅々までしっかり行き届いている。おそらく古都保存法や明日香法により保護されているのだろう。
※これはまた別途勉強してみたい。
石舞台古墳は、昔の写真にあるようにその上には乗れなくなってしまっているが、適切な保護や解説が施されている。文化財行政にかかわった身からすると、ものすごく好事例だし、素晴らしいことだ。

さて、石舞台古墳である。
巨石がバランスよく積まれている。中に入るとわかるが、隙間には石が挟まれており、乗せる過程で調整しながら工事をしたに違いない。
工法の想像図があったが、大王(天皇)の御業により積まれたということでよいのではないか(笑)
明日香の地には、巨石文化が息づく。

石舞台古墳の石組み具合。巨石がバランスよく積まれている。


雲が巨人が息を噴出したように広がっている。
石室内へ
巨石と巨石の間に隙間を埋めるような石がある。
中はひんやりと涼しかった。
復元石棺の模型

酒船石遺跡と導水施設

石舞台古墳からやや南に下ると酒船石遺跡がある。
自分の小学校時代の記憶では、酒船石だけだったが、そのあとこの亀形の導水施設が発見され、合わせて酒船石遺跡として公開されている。
なお、有料である。

酒船石だけであれば、いろいろな想像を掻き立てられる。曰く、宇宙人の設計図、ゾロアスター教の関係物等々・・・ロマンがあるものだった。
小学生の自分がここを胸を躍らせて訪れたのは、当時ドはまりしていた超古代文明の関係で、失われた古代のロマンを掻き立てられたからである。
主に飛鳥昭雄氏の本とかの影響なのだが・・・(笑)

近年(平成12年)発見された導水施設
竹林の中にひっそりとたたずむ酒船石
江戸時代には石材として割られていたという過去がある

大人になって冷静に見てみると、導水施設が近くにあることやここが小高い丘にあり、下ったところで近年発見された富本銭の制作現場である飛鳥池遺跡(現 県立万葉文化会館)があることで、私は導水施設のミニチュア見本、設計図であったと思う。
が、そうでないロマンは依然として残る。不思議で魅力的な場所だ。

長くなったので、次へ続く。


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