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日本最高峰の博物館「歴博」はすごいぞ!

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千葉県佐倉市にある国立歴史民俗博物館を訪れた際の感動を書き留めた紀行文 私自身の民俗学に対する考察、とりとめもない考えを書き留める場所でもあります。ときおり、ブラッシュアップのた…
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2023年3月の記事一覧

国立歴史民俗博物館はすごい!

千葉の佐倉市に、国立歴史民俗博物館はある。 歴史と民俗に特化し、コンセプト的には本物よりもレプリカを使って臨場感や感動を伝えるところにあるようだ。 本物が放つ光やオーラみたいなものは、東博に行くとひしひしと感じるのだが、私はいつも半分くらいで結構疲れてしまう。 芸術作品と対峙する精神的な戦いみたいなものがあって、これは美術館とかに行っても感じるものなのだ。  ところが今回の国立歴史民俗博物館は、そういった「堅苦しさ」がない。レプリカによるものだったり、また本物であって

国立歴史民俗博物館はすごい2

これは、各展示室の紹介パンフレットと博物館を紹介した小冊子である。 一つの展示室が、地方の博物館以上の展示物を扱っており、そのボリューム×6部屋+αである。この物量だけでも圧倒されるといえよう。 第一展示室は、「先史・古代」がテーマだ。 歴博がもっとも力を入れているんじゃないかと思われる、迫力あるレプリカや再現模型が迎えてくれる。 下の写真の一枚目は、エントランス部分だが、先史・古代へのタイムスリップを演出してくれる粋な計らいがある。 出土した人骨を丁寧に解析して、最先端

国立歴史民俗博物館はすごい3

第2展示室は中世、第3展示室は近世である。 第1展示室に思わぬほどの時間を要したので、構えて第2展示室に入った。 自分の正直なところで、中世や近世については、関心が相対的に薄いのだろう。そして、中世と近世は資料も豊富だ。 なので、展示も再現スケールが大きくなっていた。 かなり大きなスケールで再現した京の都、王朝文化における寝所の再現、十二単を着た人形など、ほかでも見たことのあるもの。 もちろん、その再現スケールや精密さは群を抜いているのだが、第一展示室でお腹いっぱいになって

国立歴史民俗博物館はすごい4

第三展示室の近世について書こうと思った。 しかし、かの博物館に行ってから、かれこれ2週間ほど経とうとしている。歴博の感動は忘れまいと、自分の一番好きな民俗のコーナーについては後回しにする予定だったのだが、なかなか時間が取れず記憶ばかりが消えていくので、やはりここを先に書いておくとしたい。 民俗のある第四展示室に入ると、まずはおせち料理が迎えてくれる。 「お節」節目を祝う日本の文化の現れとして三越デパートのお節の変遷が並んでいた。目を疑うような金額のお節料理・・・でも売れたん

国立歴史民俗博物館はすごい5

狂騒曲がふさわしい近代 第5展示室は「近代」、第6展示室は「現代」というテーマである。 近代は、平たく言うと明治から大正期となるのだろうか。 明治政府が進めた西洋化について、その功罪が光と闇が展示されている。 そのまなざしはどことなく冷たく感じた。 鎖国下の日本が意外と西洋文化も取り入れながら、独自の日本的なモノを醸成していった過程は、第3展示室の「近世」でよくわかる。 平和な時代に職人さんが、ものすごく精巧な細工品を作り、それが現在の日本の産業に続いているなんて話は、