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近い人と遠い人(1)

近い人と遠い人って

近い人と遠い人。特に近くに住んでいる人、遠くに住んでいる人を指すわけではありません。
貴方の心の中で、24時間ずっと大切にしたい人。これが一番近い人。
一番遠い人は、知らない人です。
多くの人にとって一番近い人は最愛の人。自分の家族ですね。そこから親戚だったり、親友だったり。
あとは、信用信頼してくれる人というのが近い人という定義があるでしょう。自分をどのくらい信用信頼してくれるかという度合いです。

貴方はどちらが大切ですか?と問われたときには、ほぼ100%の人が「近い人」が大切だというでしょう。当たり前です。

ビジネス社会ではどうだろう

近い人はすごく信用信頼できて、遠い人は信用信頼できない。これは当たり前のことです。
基本的に私の知らない人は信用信頼はできません。だってその人がどんな人だかわかりませんし。正直者なのかうそつきなのかわからない。

だから、私たちは知らない人になにか自分の財産を切り分けるときは何らかの条件を出します。切り分けるというのは贈与するっていう意味じゃないです。自分の商品を売る。お金を出して相手の商品を買う、情報を伝える、知恵を授けるなんていうすべての経済活動が含まれると考えてください。
商品を販売するときに信頼できない人には「掛け払い」なんてことはしません。絶対現金引き換え(いまはキャッシュレスの時代ですが)ですよね。
お金を貸すときも、近しい人にはあまり条件をつけません。でも遠い人には契約書、保証人、担保、利息などあらゆる条件をつけて貸すわけです。

そういう意味では、近い人と遠い人の大切さとビジネス社会のルールは同じだということが言えるかもしれません。

うまく回らないときには大切さが逆転する

ここからは会社を経営する中小企業の経営者という視点になります。
会社の株は全部自分が持っている。借入金の保証人は全部自分だ。そんな会社の経営者という視点で考えてみます。
うまく行っているときには、特に問題はありません。仕入があり売上があり利益がありその上で仕入先さんにお支払いをし、社員さんに給与を渡し、借入先に返済を行い、社員さんの給与から預かった厚生年金や健康保険を支払う。当たり前のことが当たり前のようになります。

しかし、何らかの事情でその回転がうまく回らなくなったとき、状態は一変します。
支払ができないという状況に陥ったときです。これは私の経験なのでそんなことはないよという人もたくさんいるかもしれませんが。。
お金が足りないわけですから、銀行に借り入れをお願いします。与信の範囲内ならいいかもしれません。しかしそれでは足りない場合、銀行は貸してくれません。
さてどうしよう。
まずこのときに私にとって大切さの順番が一つ変わった瞬間です。
まだ存命だった祖父にお願いしました。祖父がコツコツとためていた1000万円を借りました。借りたお金はどうしたか。
銀行の返済にあてました。
返さないと全額返済しないといけなかったからです。
近い人に無理をさせて、遠い人の信用を維持させようとしたわけですね。
私は会社をたたむ決断をするべき瞬間の一つです。

それでも会社の資金はまわりません。銀行にお願いをします。
銀行はどうしても貸してほしいなら、リスクに見合った金利と、追加の担保を差し出したらいいよという話をします。
つまり、この段階で今の会社の体力ではもう無理じゃない?という宣告を受けたことと同等です。それでも銀行側は選択肢を与える分いい条件かもしれません。

私がとった選択肢は、祖父母の家屋、そして義父の家屋を担保にいれさせて欲しいというお願いをして受け入れてもらい、資金を借りることができました。
その時は今後の勝算があったわけではなく、今を乗り切らないと約束手形が落ちない、つまり倒産するぞという危機感だけでした。
つまりはホッとしたわけです。

しかし、この瞬間に自分が会社を倒産させたら、祖父母も義父も住む家がなくなるという、一蓮托生の状態に引きずり込んでしまったのです。

長くなりました。投稿を分割します。

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