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熱波師「タイタイ」さん、早くも念願の小田原デビュー!

小田原、夏の陣。
先日、平塚のホテル『3S』にて、熱波師デビューを飾った元総合格闘家の土屋大喜さん(タイタイさん)。その時、今後の目標の一つを「ホームの小田原『万葉の湯』でタオルを振ってみたい」と口にしていた。
そのデビューから2ヶ月足らずで、有言実行、早くもその舞台を実現させた。7/9(日)、その勇姿を拝むべく、小田急線に揺られ、小田原に向かった。

7/9、7/23
タイタイさんの名前がある

小田原お堀端『万葉の湯』は、小田原駅から徒歩5分。館内は温泉、サウナだけでなく、宴会利用ができる食事処や休憩施設を備えた、一大温浴アミューズメントだ。ここを運営する万葉倶楽部は、日本全国に温浴施設やホテルを展開する会社である。特に神奈川県にゆかりが強く、小田原駅直結の商業施設のミナカや、ホテル天成園もその傘下にある。
元々、熱波師タイタイさん自身も、小田原お堀端『万葉の湯』に足繁く通う常連客のひとりだ。彼がサウナ好きになった原点とも言えるこの施設で、タオルを振ることをとても楽しみにしていたと言う。
万葉の湯のサウナは、上に3段。決して広くはないその空間に、METOS社のisnessストーブが中央に堂々と鎮座する。1時間に1回の頻度でオートロウリュが走る。最上階では、その凶悪とも言える程の熱さで、客が一斉に一段下に降りる様を、筆者も何度も目にしている。サウナ室に対して、完全にスペックオーバーなエンジンを積んだ空間だ。その空間で、デビュー間もないタイタイさんは、一体どんなパフォーマンスを見せるのか。
今回、私は18時からの回に参加させてもらった。

決して広くない室内にオーバースペックなストーブが鎮座する

開始5分前から、サウナ室前には多くの客が並んだ。当然、みなアウフグースイベント待ちだ。客同士、談笑が見られる。コロナが明け、この風景がやっと当たり前になりつつある。
18時ジャスト、イベントスタート。
サウナ室は、文字通り満席だ。タイタイさんの登場に、サウナ室が沸く。やはり、彼の小田原凱旋デビューを聞きつけた知人友人が、多く参席しているようだ。冷やかしの声が飛ぶ中、タイタイさんはいつもの歯に噛む笑顔で答える。しかし、目は、真剣なままだ。
今回も、彼が選んだアロマは『ブラックフォレスト』だ。「肩こりに効く香りです」と一言加えて、ゆっくりと柄杓からそのアロマ水を掛ける。このストーブに積まれたサウナストーンは香花石で、マグマが冷えたものを使用している。一気に蒸気が立つ。それは上昇気流に乗って天井に走り、上段からゆっくりと降りてくる。最上段に座る客から「熱っ!」と自然に言葉が漏れる。
玉の汗を下顎の髭から流しながら、タイタイさんのタオル捌きが始まった。このサウナ室は天井が高く、縦に長い。そのことを計算してか、タイタイさんのタオルは上下に大きく振られる。前回のデビュー戦に比べて、タオルを振る技術は格段にレベルアップしている。きっと、根っからの努力家なのだろう。アスリートの真骨頂。前半は、ゆったりとした撹拌に終始していた。
しかし後半、それは一変する。外反母趾気味に少し変形した、がっしりとした足。きっと何人もの相手を、マットに沈めて来たその足で、しっかりと床を踏みしめ、そこから、あの打撃にも通じる熱波!瞬間最大風速が、違う。熱波の瞬発力が、違う。流れる汗も、後ろに飛びそうになる。やはり、タイタイさんの熱波には、無駄なエンターテイナーは不要だ。
焼ける様な体験に、たまらず、サウナ室を飛び出した。
水風呂後、僕はデジャヴにも似た光景を目の当たりにした。あれだけはしゃいでいたタイタイさんの友人たちが、みな椅子に深く腰掛け、誰も話さないのだ。恍惚の表情。平塚での、デビュー後と一緒の情景だ。小田原でもまた、タイタイさんの熱波による、深いリラックスが、友人を、ここではないどこかへトランスさせる。これもまた、タイタイさんの真摯な熱波がもたらす多幸感だ。
パフォーマンスを終えたタイタイさんが浴室を退出する際、大きな拍手が起こった。皆から愛されている。付き合いの浅い僕でもそのことがわかり、嬉しくなって、僕も拍手で彼を見送った。

「平塚でも、毎週土曜日に熱波師を続けさせてもらっています。一応、タオル捌きの練習はしていますが、まだまだですね。今日は、友人たちが、完全ホームの雰囲気を作ってくれて、嬉しかったです」
これから、何か会得したいことは?僕がそう問うと、照れながらも「もう少し、トーク力をつけたいです」と答えてくれた。

7/23(日)にも、同じく小田原の万葉の湯で、タオルを振る。元格闘家の熱波を、あなたは受けたこと、ありますか。

帰り道、缶チューハイを片手に見上げた空に、小田原城のライトアップが妖しく揺れていた。彼の熱波の余韻がまだ続いていた。

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