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娘、11歳、バッサリ〜ヘアドネーション〜
娘は、小さい時からずっと髪を伸ばし続けて来た。何度髪を切ろうよ、と呼びかけても、なぜか決してうんと言わなかった。長い髪の方が、可愛く見えると信じて疑わなかったそうだ。
その娘が、急に髪を切ると言い出した。11歳にして、初の決断。
聞いてみると、どうやら先日、夢中で見ていたあるオーディション番組に出演していた女の子がとても可愛く、その子の髪が肩口程の長さだったそうだ。自分も髪を切ってみたくなったと言う。
妻が「それだけ長かったら、ヘアドネーションできるかもね」と娘に提案し、丁寧にその意味を説明すると、娘も素直に「それ、やりたい」と同意した。
母と娘、2人で調べて、ヘアドネーションを実施できる美容室を探し、予約。
そして、今日。
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娘は髪が伸びすぎて、入浴すると、髪がお湯の表面に広がり、まるで妖怪の様になっていた!もっとも、最近はもう一緒にお風呂に入ることもなくなったけど。
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まず最初に、髪を束ねる。本当に長いなあ。よく伸ばしたと思う。
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実際に切られた髪。本来であれば、ただのゴミが、少しでも、誰かのお役に立てたら。純粋にそう願う娘の成長を、嬉しく思う。
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一気に短くなった。
「とにかく軽い。すごく気に入った。切って良かった」
気に入ってくれたのなら、良かった良かった。
僕は、もう数年前から、髪を剃り上げてしまっている。もちろん、それは望んでそうしているのではない。勝手に薄くなり、選択肢は極限にまで少なくなった。その中での苦渋の選択が、シェイブドヘッド(剃髪)だったのだ。
今でこそ、他人の目は気にならなくなった。でも、薄くなりかけた頃、それはそれはストレスだった。何とかして、すがりたいと願った少なくなった髪も、無惨に、無力に抜け落ちていった。
男の僕ですら、コレだ。もし、これが、女性だったら、より多くのストレスを感じでしまったことだろうと想像する。
ヘアドネーションで、ウイッグを作り、それを装着することこそが、最善の解決策であるとは思わない。
髪がある、という圧倒的なマジョリティから見る、髪のない人に対する蔑みや偏見がなくならない限り、この問題の根本的解決にはつながらない、とも思う。
ただ、一方で、娘の髪が、少しでも楽しい気持ちになることの手助けになれば、そう願っている。
娘は、髪を切り、キラキラした目で生きている。
僕はそんな娘を、キラキラした目で見ている。髪が無いのも、楽でいいもんだ。
大好きなサウナに入るのに、これほど適した髪型もない。
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