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『GINON』GIN SOUR レモンの大ヒットを予想

吉瀬美智子さんが、CMキャラクターを務めるアサヒの新商品『GINON』ジノン。
ジンサワーとある。2024年4月に発売された。
カクテルの世界で、サワーは「酸味のある」ことを意味し、正確性において、日本で広く認識されているものとは異なる。ベースの酒とレモン、砂糖をシェイクして作る。炭酸は使わない。
対して、日本でサワーと言えば、果汁と炭酸の入った、くらいの意味合いだろうか。
〇〇ハイボールと一緒?と思う方も多いと思う。確かに、日本では明確に線引きされていない印象を受ける。
ハイボールとは本来、炭酸割りのことを指す。チューハイはもちろん焼酎ハイボールの略だ。ただし、こちらもかなり誤った使われ方がしている様で、例えばウーロンハイや緑茶ハイには炭酸は使われていない。正式にはウーロン茶割り、緑茶割りが正しい。
いずれにせよ、それらは缶入り飲料として販売されていることが多い。RTDと呼ばれる商品群だ。READY TO DRINKの略で、開けたらすぐにそのまま飲めるお手軽さを一番の売りにしている。当然、GINONもこのジャンルに属する。
余談はさておき、さっそく、飲んでみる。

一気にいく。こういった飲み物は、一口舐めて、舌で転がして、そんないやらしいテイスティングはしない。なぜなら、誰もそんな飲み方をしないからだ。味だけでなく、喉を通り、胃に放り込む時に受ける刺激もまた、評価の対象となる。
飲んで、最初の印象は、甘くない、だ。
他一般的な缶チューハイと比較して、甘み、香り、どれもが計画的に抑えられている。
あー、これはヒットするな、そう直感した。ここまで甘さを抑えて爽やかさを追求したものであれば、他との差別化は明らかだ。最初の一杯目として、さらに食中酒として優秀。和洋中、食事の内容も選ばない。これだけでいい、そう言う人も出てくると思う。
レモンピールやレモングラスをあらかじめ漬け込んだジンを、この商品のために作り出したとのこと。その酒をベースにして、炭酸割りを作っている。なるほど、後付け的な無駄な香りがしないのは、そういった理由からか。納得。

こちら、姉妹品として味違いも発売されている。グレープフルーツだ。こちらも、面白いと思った。
ジンのトップブランドである、イギリスのビーフィーターでは、工場見学の客をもてなすジントニックに、レモンでもライムでもなく、グレープフルーツを添えると聞いたことがある。きっと、ジンに使用されているその他のボタニカルと相性がいいのだろう。その日の気分で飲み分ける、そんなこともできそうだ。

ここからは、アレンジ編。
僕は元バーテンダー。もしひと手間加えることを許されるのであれば、もちろん、缶のまま飲んだりしないし、グラスに注ぐだけでもない。美味さの最大化の努力を怠らない。
今回はレモンスライスとローズマリーを添えてみた。商品本来の味を変えてしまわぬ様、レモンも絞らず、フレッシュな香りを少しだけ補うイメージ。やはり僅かだが感じる香料的な香りを、フレッシュレモンの爽やかさにうまく転換させる狙い。ローズマリーは、清い香りで輪郭を引き締める効果。
狙い通り、飲んだ後の鼻から抜ける香りを、爽やかで少しだけ奥深いものに昇華させることができた。完璧だ。

普段僕は、もちろん冷凍庫に入っているジンをベースに、果物を絞り、炭酸をゆっくりと注いで丁寧に作るものを飲む。でも、それらを切らしている場合、冷蔵庫に一本GINONを忍ばせておけば、十分代用できるな、そう思った。希望小売価格、税込で168円にして、このクオリティ。発売から2ヶ月、売り上げも好調だと言う。納得。
氷をグラスいっぱいに入れ、注いだGINONを一気に飲む。この夏、きっと何本かお世話になることだろう。

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