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ネイビーギムレット

ジンを使った代表的なカクテル、ギムレット。好きな人も多いと思う。
しかし、私がこれまで紹介してきたカクテルより、確実に一段、作製の難易度が上がる。理由はシェイクが必要だからだ。素人がシェイカーを振ると、リズムが悪く、強度も弱いため、中途半端なギムレットが出来上がる。シェイクする意味合いは、急速に冷やして混ぜる、これに尽きる。効率よくシェイクすることによって、無駄に氷を溶かさず、ジンと果汁が一体と化し、キリッとした口当たりのギムレットが完成する。対して素人が作った中途半端なギムレットは、ジンの角が取れずアルコールの刺激が強いか、反対に氷が溶けすぎて水っぽく仕上がってしまう。どちらにしても、失敗作だ。

そこで私は、そのシェイクのテクニックを必要としないギムレットの作り方にたどり着いた。この方法で作れば、十分合格点を貰えるギムレットを、誰もが簡単に作ることが出来る。

先に断っておくが、私はシェイクの技術を有している。学生だった20代の頃、アルバイトでバーカウンターの中に立って以来、40代を半ばに差し掛かるこの歳まで、週に3回はシェイクしたカクテルを作り続けている。ギムレットを作ることも多い。

ポイント①、ジンを冷凍庫で冷やしておくこと、ライムは冷蔵庫で冷やしておくこと。
これだけで、シェイクの急速に冷やす、の必要性が省かれる。

ポイント②、シェイクの前に、ハンドミキサーであらかじめ材料を混ぜ合わせる。
シェイクして混ぜる際、実は最大のポイントは、完成するカクテル内部に、多くの気泡を含ませる事にある。スタアバー銀座のバーテンダー、岸氏も、このマイクロバブルを強く意識したシェイクを考案している。細かい気泡を多く含んだカクテルは、アルコールの刺激はオブラートに包まれ、驚くほど飲みやすくなる。岸氏は、四角いアルコールの中に、沢山の気泡を入れて膨らまし、四角を丸にするイメージ、と表現している。
このマイクロバブルを、100均のミキサーでかき混ぜることで発生させる。シェイクの技術はもちろん不要なり。
冷やして混ぜる、同時にマイクロバブルを含ませる。この工程をシェイク脱きでパスしてしまう。

100均で買える。

さて、実際の作り方。

ジン45ml
ライムジュース15ml
パウダーシュガー1ts
すべてシェイカーに入れる。え?シェイクしないんじゃないの?答えは、する。大丈夫。簡単。

ライムは生を絞って使う。瓶詰めのやつを使うと、味は一気に落ちる。
パウダーシュガーを使うのは、甘さが軽く、切れ味を残した仕上がりになるため。

ここで、ミキサー。マイクロバブルを含ませる意味もあるので、表面近くで回転させると効果的。30秒くらいで充分混ぜあう。

シェイカーに素早く氷を詰め、ストレーナー、キャップをしめて、シェイク!
えっ?嘘。やり方わからないよ、下手がやると味が落ちるって言ってたじゃん。
ご安心あれ。シェイカーを軽く持ったら(10本の指先で持つイメージ、手のひら全体で覆わない。手の熱をシェイカーに伝えないため)、素早く力強く上下に20回振る。以上。

キャップを外し、冷やしておいたカクテルグラスに一気に注ぐ。完成!
うちは、グラス類も冷蔵庫で冷やしてあります。冷凍庫で冷やすと、取り出した時に、指に張り付いて扱い辛い。冷蔵庫で充分冷えます。(取り出せば白く曇るくらいです)

さて、なぜ上下に力強く20回シェイクをしたのか。
グラスに注がれたギムレットの表層を見てください。細かく割れた氷が浮いてませんか?目的はこの氷です。好みにもよりますが、最初にギムレットを口に含んだ時、この氷があると冷たさが一層ダイレクトに伝わり、よりインパクトのある口当たりを表現できるのです。ミキサーだけで、充分にカクテルとしては完成しています。しかし当然、ミキサーで混ぜただけだとこの氷の副産物は産まれません。ぜひ、ご自身の舌で、細かい氷の有無での口当たりの違いを比較してみて下さい。

今回、ジンはプリマスを使用しました。
このジン、英国海軍御用達なんだとか。
だから、ネイビーギムレット。
美味しいですよ。本当に、下手なBARで飲むより美味しい。飲み過ぎには注意です。

あなたの夜が、素敵に色づきますように。

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