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虎徹 大阪裏なんば

自分の住んでる土地のよく行く酒場の安心感もとても好きだけど、よその土地によく行く店があるのもなかなかいい。向こうも“初めてじゃないよな感“があり、こちらも店内を見渡すようなことはない。知ったかぶりはしないけど、こないだのやつまた食べようとか、なんとなく過ごし方を知ってますよという雰囲気は出しちゃう。

大阪、裏なんばの裏路地にある立ち呑み屋“虎徹“。ほどほどにほっといてくれて、自意識の高さを隠してくれる薄暗さと、いい大人なので美味しいものを少しずつ。そんなお店だ。

“ひとりで呑みたい方のための酒場です。お二人様まででご利用願います。 独酌 虎徹“

おもての張り紙にやらた人は多いだろうな。我々は守られている。

1人で行って、よかったと言うので連れて行ってもらったのが最初。カウンターに10人くらいと後ろに1つ小さなテーブルがある。いかにも美味しいものが出てきそうな清潔感と黙々と働くお店の人。来ているお客さんもこの店のお客さんという感じで、楽しそうで大人しい。初めて行った時は後ろのテーブルで立って呑んだ。たしか赤かぶの酢漬けと、お刺身と焼き椎茸とか。さっぱりとした素材の味ばかり。こういうのが1番好きだ。

ハートランドビールの瓶をわけて呑む。ここはグラスではなく湯呑みで出てくる。しっぽりしてるな。この日は何軒か立ち呑み屋をはしごした最後だったので、貧血になった。立ち呑み屋で初めて座りたくなった恥ずかしい記憶。

ここはトイレの造りがとってもいい。ちょっと屈んで奥へ入っていき秘密の小部屋に行き着く。トイレ史上1、2を争うほど良い。散々呑んで、ふと一人になるあの空間はなんとも。一回リセットされる気がして、重要だなぁと思う。
お店全体木で出来ていて、なんかツヤツヤしてて、いい。全部いい。
音楽は鳴ってたかどうか忘れた。けどテレビはなかった。ここはあったら違和感あるな。

貧血気味で悔しかったので再訪。今度はカウンターで呑めた。最初はまたハートランドビールでやって、そのあとは苺の果実酒のようなものを呑んだ。スッキリおいしい。“焼きカブの柚子味噌“がとても美味しかったと言うので、それをまた頼んだ。美味しいけど前の方が美味しかったという。カブには二度、旬がある。ネギぬたも頼んだ。ごろっとしたタイプだった。同じ名前の料理でも、お店によって全然違うなぁといつも思う。あれはあそこ。というのが頭の中に黙っていくつもある。

お店のお姉さんは綺麗で、雰囲気もあってレトロで背が高い。でも少し荒くたい。面白いので目で追ってしまう。たぶん常連になっても、好きな距離感でいてくれそう。そういうところもありがたい。

裏路地にあって薄暗くて大人しかいなくて美味しい。
その上ひとりかふたりでしか入れないなんて、なんていいんだろう。

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