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OBが語る!苦手って?自信って?

多摩美術大学生産デザイン学科テキスタイルデザイン合格/武蔵野美術大学空間演出デザイン学科現役合格 南

私は平面がとても苦手でした。なぜなら、らしさばかりを追い求めて自分の表現したいことが、素直に出せなかったからです。しかし、テキスタイルの平面だけは別でした。とてもカラフルな画面作りや、自由な形を作っていくそんな ところが、私にはぴったりでした。そこで画面に私の好きをすべて詰め込んでいきました。私の好きな色・私の好きな形・私の好きな表現を盛り込んだおかげで、最後は楽しんで作品を作れた気がします。実技が学科と違うところは、答えが一つだけではなくて、無限にあるところだと思います。 

試験まで一ヶ月となって焦った私は、それっぽい作品を作っては下段、作って は下段を繰り返して、何が正解なのかわからなくなってしまいした。そんなときに先生が「こういう作品を描けば受かる、という作品を描くのは一番評価されない」とアドバイスをしてくれました。その言葉を聞いたとき私はあまりその意味がわからなかったのです。しかし、実際に入試を行ったらその意味がよくわかりました。なぜなら、本当にみんなが同じような絵を描いていたのです。 答えがたくさんあるのに大多数の人がその科っぽく描こうとして、みんな同じような作品になっていたのです。では、どうしたら評価されるのかというと『私 はこう』と強く言い切ってしまうのです。私の作品は他の人とここが違う!! というのが、自分の作品の強い武器となっていくことをこの入試を通して学びました。このことは、どの学部でも言えるのではないでしょうか?特にテキスタイルの平面はいろいろな答え方ができるので、自分の中で、ここだけは譲れない!という強い自分の主張をどんな課題でも忘れないでください。 

私はタチビのみんなの、あたたかくどこか落ち着く雰囲気に何度も助けられました。わからないことがあったときには、先生たちがわかるまでやさしく おしえてくれました。相談をしたら、親身になってちゃんと話を聞いてもらいました。また、タチビ生はみんな仲が良く、入直の頃も緊張感はあったものの、 笑い合いながら制作に挑めました。特に印象に残っているのは授業が終わった あとに、私が仮装をしてはみんなを巻き込んで撮影会を開いたことです。受験が目の前に迫っているのに、そんなことをしてて大丈夫なの?と思うかもしれ ませんが、このことは当時の私のとても良い憩いの場となって、落ち込み気味の気分をリフレッシュすることができ、また次の日から頑張ることができました。 この受験を終えて私は入試は一人では乗り切れないということを強く感じました。


多摩美術大学デザイン学科プロダクト/武蔵野美術大学工業工芸デザイン学科現役合格 斎藤

多摩美のデッサンは構成課題でもあるので、 デッサンが大の苦手な私にとっては救われると ころがありました。なぜかというと、質感の差1 や明度対比、そして細部のコダワリを自分で設定できるからです。好きなものを描いていいというのも大きかったです。私は「架空のリアリ ズム”には自分で言うのもなんですが自信があ りました。ですから、過去問で想定の瓶を描いたときはわざと厚めのガラスで、金属製ロック つきの香辛料の瓶を描きました。なるべくマルチマテリアルでコントラストの強いモチーフを 描くことで魅力ある画面を作る狙いでした。私 は不器用なのでタッチありとタッチなしでもっ て質感を描き分けています。過去問の任意の箱ではマッチ箱はなるべくタッチを消してステッ ドラー H系うす塗り、手はタッチ全開でB系男 とH系を両用することで対比しました。ラべルみたいなコントラスト(黒字など)がはっきり出るものは、ハイユニ4Bを2度塗りして描 いていました。いつの間にか、こだわって描くのが楽しくなっていました。多摩美対策は終始楽しんでいました。

(中略)ボールベアリングというちっこい部品を不器用そうな太い指が持ってたら緊張感あっていいと思って描きまし た。私はこのパーツが何についていて、どのよ うに働いているかよく見ていたので描くことが できました。普段の観察は重要です。そして平面は、とにかくぶっ飛んだの描いてやろうと 思っていました。今回は"水"でしたから、水 のレンズ効果をやろうと思いました。これは風呂場で指から垂れる水を眺めてたことがあり、 水というテーマがあったらこれを描こうと思っ ていました。まさか本番で描くとは思いません でしたが、これも日頃の観察が役に立ちました。 

私は平面をやると常々立体構成を思い出しま す。立体は平面構成と聞かれていることが同じ で、モチーフをどう解釈しどうデザインするか、 それをどう説明するか、このあたりが聞かれて います。私はスポーツというモチーフで、F-1 をそっくりそのまま作って苦い思いをした経験 があります。これはそのまま作っちゃだめなん ですね。そのまま描いてもだめなんです。今回の平面は水が主役というより、水を通すことで 見える、植物の葉の裏側のトゲトゲがメインで した。ここに水の必然性を持ってきたことが勝因だと思います。工夫して独自の世界観が出せると面白くなってきます。皆さんもぜひ楽しんで絵を描いてください。


武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科合格 武蔵野美術大学 基礎デザイン学科合格 多摩美術大学グラフィックデザイン学科合格 多摩美術大学 情報デザイン学科合格 川野


私はずっと自分の絵に自信を持つことができなかった。自分の思う魅力をどう画面に打ち出せばいいのか、そもそも自分の思っている魅力が何なのかが理解できず、自分の絵に対して確信を持つことができなかった。そのために、現役のときも一浪のときもいつも人の顔色を窺うような表面的な作品ばかり 作っており、私の作品はよく「推しが足りないね」「もう一推しが欲しいね」  とばかり言われていた。作者本人が魅力を理解できていない作品が相手に魅力的に伝わるわけがないし、そんな作品が受かるわけもない。私の二浪は「自分の絵に自信を持つこと」これを目標にすることから始まった。

では、そのため にはどうしたらいいのか。私はまず人からの評価などを考えず、何かしら魅力 を見つけてそれをどうにかして画面に打ち出すことだけを考えた。こうして 徐々に、自分でやりたかったことを画面に出せるようになってきた。 しかし、入試直前、視デの平面がなかなか思うようにいかないことがあった。 私はとんでもない焦りを感じていた。そんな中、先生に「お前は他よりももう 一歩先を行け。何かもうひと工夫手を加える。」というアドバイスをもらった。 モチーフなりイメージなり、自分が「これくらいでいいか」と思っているものに、 あともうひと手間加えることで他人と違った作品を作り目立つこと。モヤモヤと悩んでいた私は、この言葉のおかげで道が開けた気がした。 試験当日。ムサビ視デ。デッサンのモチーフは黒い箸が一膳。例年と違い、組み合わせのモチーフではなかった。けれど落ち着いて、冷静に。

試験中、普段よく先生に言われていた「あなたは落ち着けば大丈夫だから。」という言葉を思 い出しては深呼吸をしていた。 試験が終わり、私は「楽しかった!」という気持ちでいっぱいだった。今まで、 現役のときも一浪のときも試験終わりにそんな気持ちを抱いたことは無かっ た。おそらく今回こんな気持ちになれたのも、評価を気にせずやりたいことをやりきれた自信があったからだと思う。



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