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『光る君へ』第二回「めぐりあい」 2024/1/14放送

本日は第二回の感想です。冒頭のシーンは裳着から始まりました。「裳着」とは女性にと

っての成人式にあたる儀式です。服に「裳」を付けることが名前の由来です。この儀式を経

ると一人前の大人となり、結婚も出来るようになるのです。大体12~14歳頃にやったそ

うです。ちなみに、男性にとっての成人式は「初冠」という儀式です。烏帽子を被るように

なるんですね。ドラマを見ていると成人男性か否かは明白ですよね。

今回面白かったのは、まひろが父為時に隠れてやっていた仕事です。ドラマの中では「代

筆屋」をやっていました。史実には全く無いフィクションですが、のちの紫式部に大きく影

響を与える設定でしょう。この仕事の中で様々な人の恋文を代筆していました。もともと和

歌の素養があったようで、自宅で和歌の写経をするシーンも描かれていました。この和歌の

素養を活かして、代筆屋をする中で、様々な人々の機微に触れて、『源氏物語』に多くの人

物を個性豊かなキャラクターとして、そして恋のやりとりなどを書くことができるように

なったのだ。と、つなげていくのでしょうね。

他にも、皇子を生んだにもかかわらず、円融天皇の寵愛を受けられなくなってしまった詮

子も描かれていました。政治が関わるとはいえ、皇子がいるのに他の妻遵子が后となるのは

詮子にとって辛いものがありますよね。自分のやりたいことを見つけて生き生きとしてい

るまひろと対照的に、当時の宮中の女性たちの生きづらさも垣間見えたような気がします。

それでは最後に作中に出てきた2首の和歌を解説しておきます。

1つ目はまひろが写していた和歌、「人の親の心は闇にあらねども子を思ふ道に惑ひぬる

かな」ですね。意味は、「親心は闇ではないけれど、子供を思うとあれこれ迷い、困惑して

しまうのだな」というものです。いろんな解釈が出来そうですが、まだ親ではないのでまだ

くみ取りきれないのかもしれないな、、と思っています。皆さんはどう考えますか??ちな

みに、この和歌は紫式部の曾祖父にあたる藤原兼輔が読んだ歌です。紫式部もこの和歌をも

のすごく気に入っていたようで、『源氏物語』の中ではなんと 26 回も引用しています。

2つ目の和歌は、まひろが代筆屋として働いている時に「夕顔」をテーマに読んだ歌です。

くずし字で書かれておりパッとは読めないのですが、このようにありました。「寄りてこそ

それかとも見めたそかれにほのぼの見つる花の夕顔」 この和歌実は、『源氏物語』の夕顔の

巻で、光源氏が夕顔と呼ばれる女性に対して送った和歌です。夕顔という女性は『源氏物語』

の中で印象的なキャラクターなのですが、その理由は光源氏と一夜を過ごした直後原因不

明の死を迎えてしまうからです。犯人は当時光源氏と付き合っていた「六条御息所」という

人物だと言われていますが、他にも諸説あった誰だか分かっていないらしいです。この夕顔

の場面もとても有名なシーンなので、今回は『源氏物語』のモチーフをこんな風に隠したよ

うですね。

大河ドラマというと史的な側面が強いですが、今回は文学的な視点からも楽しめるドラ

マになっているのかなと思います。難しいけど『源氏物語』も読んでみてはいかかでしょ

う!

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