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「ベルばら心理学」マリー・アントワネットのアンダーグラウンドを検証してみた。

こんにちは!

心理カウンセラー/ボタニカルジュエリー作家の橘奈緒美です。


突然ですが、「ベルサイユのばら」はお好きですか?
というのも先日、六本木ヒルズで開催中の『ベルサイユのばら展〜ベルばらは永遠に〜』を見に行って来たのです。


展示内容は、180点の原画、撮影可能なキャラクターのパネル、宝塚の衣装など見どころいっぱい。

オスカルはやっぱり凛々しく美しいし、マリー・アントワネットはこれでもか!というくらい、目の中の星からドレスまで、どこもかしこもキラキラでした🌹✨

というわけで今回から数回に分けて「ベルばら心理学」と題して、『ベルサイユのばら』の登場人物がそれぞれにどんな心理的問題を抱えていて、なぜ悲劇のラストを避けられなかったのか?ということを検証してみたいと思います。(勝手に笑)

『ベルサイユのばら』ってどんなストーリー?

都会の景色にミスマッチだけど美しいオスカルのパネル

すでにご存知の方も多い内容ですが、全然知らないよ!という方のために、少しだけストーリーを紹介しますね。
知っている方は次のタイトルまで飛ばしてください。

『ベルサイユのばら』は、女の子として生まれながら、男子として育てられたオスカル・フランソワ・ド・ジャルジェが主人公。

オスカルは容姿端麗で、知性と気品、男と対等に渡り合える強さも持ち合わせています。
もうこの時点で自立しすぎ問題がデフォルトですね笑

父は軍人としての教育を施し、オスカルはフランスに嫁いできた14歳のマリー・アントワネットの護衛として使えることになりました。

オスカルとマリー・アントワネットの二人は年が同じこともあり、フランス革命前の華々しい宮廷での青春時代をともに過ごすことになります。

物語の中心はオスカルとマリー・アントワネットの二人ですが、その周りの登場人物もそれぞれに魅力的で、みんな情熱的!
ここでちょっとだけご紹介します。

フェルゼン
マリー・アントワネットの愛人フェルゼンは宮廷中の女性の憧れの的で、オスカルの初恋の相手でもあります。
革命のさなか、国王一家を亡命させようと奔走した人物でもあります。

アンドレ
オスカルの幼馴染アンドレは、オスカルの乳母の孫。オスカルを影に日向にと支え続けますが、身分違いの恋で苦しみます。

ベルナール
辛い生い立ちから貴族を憎み、新聞記者でありながら「黒い騎士」として貴族から宝石などを盗む義賊。
オスカルが捕縛するも平民の実情を知り、近衛連隊長、貴族という身分を捨てて民衆側に立つきっかけにもなる人物。

他にも紹介したい登場人物はたくさんいるけど、長くなるのでこのあたりで。
フランス革命前後のドラマチックな世界観にどっぷり浸れるので、興味がある方はぜひ読んでみてくださいね。

マリー・アントワネットはなぜアンダーグラウンドを作る必要があったのか

マリー・アントワネットと夫のぽっちゃりルイ16世

登場人物の心理描写が細かいのもこの漫画の特徴です。

今回はオスカル。。ではなく、もう一人の主役といっても過言ではないマリー・アントワネットのアンダーグラウンドに切り込んでみたいと思います。

アンダーグラウンドとは、表の社会では表現できない自分を裏の社会(浮気、ギャンブル、お酒、買い物など依存的なこと)で表現すること。

なぜマリー・アントワネットにはアンダーグラウンドが必要だったのでしょうか?

もともと、マリー・アントワネットの幼少期は末娘だったこともあってのびのびと育ち、素直な性格で勉強嫌い。

でも大人になってからの彼女を心理学的に見ると、
孤独感と依存心が強く、アンダーグラウンドの問題を抱えている女性に見えます。


マリー・アントワネットは、ブロンドの髪と透き通るような白い肌、その天真爛漫さで周囲から愛されて育ちました。

オーストリアの女帝、マリア・テレジアの娘という肩書がなければ、もっと穏やかに暮らせたかもしれません。

まだ初恋も知らない女の子は、14歳でフランスの王太子(後のルイ16世)に嫁ぎます。
結婚から4年後にルイ15世が崩御、夫のルイ16世が19歳、マリー・アントワネット18歳という若さでフランス国王、王妃となりました。

余談ですが、この頃フランスはアメリカ独立戦争への介入などで財政が悪くなっていたのもあり、そもそもフランス市民の不満は徐々に溜まっていて、王政の限界には近いタイミングだったのだと思います。

でもまだ若く美しいマリー・アントワネットにしてみれば、宮廷の外の出来事にはあまり関心がなかったのでしょう。

それは彼女が愚かだったからというわけではなく、母からは政治に口出ししないように、とたしなめられていたからかもしれませんし、宮廷内での立場の確立をするだけで手一杯だったということもありそうです。


そして頼りない印象のルイ16世ですが、彼は結婚後7年間も子作りの問題を放置していました。
身体的な問題もあったようですが、漫画の中でも描かれているように、美しい妻を前にして男性としての自信がなかったというのもあったようです。

そして、マリー・アントワネット自身は母からも宮廷内からも「子どもを早く」というプレッシャーにさらされる中、内気で自信がなく、子どもを作ることにも積極的にならない夫に対する不満が募っていきます。

嫁いできた義務をなかなか果たせないこと、夫が自分と向き合おうとしないことは、彼女のプライドを傷つけました。

祖国を守るために嫁いだのに、子どもができなくては役に立てない。

そんなプレッシャーと傷ついた女性性がアンダーグラウンドに入っていく最初の理由だったのではないでしょうか。

夫もいるけど恋人もいる問題、買い物依存、賭博中毒とアンダーグラウンドを極めていく

宝塚のオスカルとマリー・アントワネットの衣装

そんな中、ある舞踏会でスウェーデンから来ていたフェルゼンと運命的な出会いを果たし、二人は恋に落ちます。

初めての本当の恋で、マリー・アントワネットは女性として愛される喜びを知り、フェルゼンに夢中になっていきます。

宮廷内ではあっという間に噂の的になり、より孤独感を強めていった彼女が享楽的な生活に入っていく原因にもなりました。

とはいえこの頃には子どもを産んでいたので、王妃としての義務は果たしたというプライドもあったでしょうし、だからこそ夫のルイ16世も二人の仲に気づきながら黙認していたと思われる描写があります。

このころ、お気に入りの取り巻きだけを集めてお茶会を開いたり贅沢三昧をしていますが、そのなかでも特にマリー・アントワネットに「天使のように美しい」と言わしめたポリニャック夫人は側近のような存在でした。

実はこの取り巻きたちがマリー・アントワネットの浪費の一旦を担っていたという一面もあります。

没落した貴族だったポリニャック夫人が金銭的な理由で宮廷を去りたいというと、マリー・アントワネットは下賜金を与えたり、特別扱いをしたのです。
自分が利用されていることにも気づかず、財政状況の悪い中で贅沢な暮らしをやめられなかった。

宝石で飾りたて、高価な買い物をして、自分にへつらう者たちとだけ付き合い劇場や舞踏会で朝まで遊ぶのをやめられない。

彼女は寂しさを埋めるためにどんどんアンダーグラウンドにハマっていき、強い依存心でそこから抜けられなくなっていきます。

王妃はあからさまなえこひいきをすると、平民だけではなく貴族からも嫌われ始めていきました。

そんな中でも自分に寄り添ってくれる(ように見える)ポリニャック夫人には特に依存していき、そそのかされるまま贅沢をしたり、賭博に手を出して借金がかさむと国費に手を付けたりしていました。

この頃には、かつて信頼関係のあったオスカルがたしなめても聞く耳を持てません。

でもポリニャック夫人はマリー・アントワネットが思っているよりもしたたかな女性で、革命が始まると自分は下賜された金品を持ってさっさと逃げてしまうんです。

取り巻きたちが去っていく中で、マリー・アントワネットと国王一家を最後まで助けようとしたのが、恋人のフェルゼン。

彼との時間はマリー・アントワネットにとっては本当の愛を感じられる時間だったので隠し切ることもできず、以前から宮廷では公然のこととなっていました。

オスカルから「噂が広がっているから行動に気をつけてほしい」というような進言をされたときも「あなたに女の心を求めるのは無理なことだったのでしょうか」と言い放ちます。

これはオスカルも傷ついたよね。でもこの時点では本当に女心がわからなかったので仕方ないのですな。。

誇りと自分軸を取り戻したアンダーグラウンドからの卒業

こんなにキラキラしてたのにね

そんなわけでフェルゼンとの恋に夢中になっていたマリー・アントワネットでしたが、革命の足音は止まることなく進み続け、国王一家はとうとう亡命を決意します。

ルイ16世ののんびりぶりが亡命失敗の原因ともいわれていますが、亡命の途中でフェルゼンを遠ざけて自分たちだけで行こうとしたのは、妻の愛人に最後まで頼りたくないという嫉妬心もあったように描かれていて、妻への愛がまったくなかったわけではありませんでした。

フェルゼンはマリー・アントワネットだけでも助けようとしたのですが、そこで彼女はフェルゼンへの思いを持ったまま、フランス王妃として、母としての誇りを取り戻し、その申し入れを断るんですね。

味方のいない孤独感から、周りに流されるようにアンダーグラウンドを作っていた彼女が、やっと自分自身を取り戻した瞬間のように感じました。

そして逃亡途中の村で正体がバレてしまい、その後の悲劇の結末は皆さんご存知のとおりです。

漫画の中では、「共和国バンザイ!」と叫ぶ市民の前で断頭台に立つマリー・アントワネットの「見るがいい、マリア・テレジアの娘の死に方を」という強い心の声が書かれています。

そしてフェルゼンへの気持ちは、「いつまでも私を忘れないで。いつか天国でお会いしましょう」と書かれています。

マリー・アントワネットが強さと優しさを取り戻した瞬間に居る場所が断頭台だったというのは悲劇ですが、もしもう少し前に気づけていたなら。

そして孤独感から周りに流されることなく、信頼するオスカルや国民の声に少しでも耳を傾けていたら、結末は違っていたかもしれません。

とはいえ、アンダーグラウンドから解き放たれる瞬間も、やっぱりフェルゼンへの愛だけは変わらなかった。

アンダーグラウンドは必要だからできるもので、無理やり依存心や執着心を断ち切ることはできません。

ただ、作り上げたアンダーグラウンドから、傷ついた部分に目を向けるのではなく、愛の学びをすくい上げて次に進むことができたとき、本当に大切なことだけが残り、覚悟が決まる。

マリー・アントワネットの覚悟は、最後までフランス王妃であること、そして正式に結ばれることがなくてもフェルゼンを愛し抜くことでした。

そんな彼女の生き様を「わがままな王妃だった」「享楽的で堕落した女だった」とみることもできるし、「愛を貫いた」「家族を見捨てなかった」とみることもできます。

私は、誰に強制されることなく心はフェルゼンに捧げたまま、王妃の誇りという自分軸を取り戻した、強く優しく、そして弱い女性だったのだと思っています。

皆さんの目にはどう映るでしょうか?

今回は、マリー・アントワネットのアンダーグラウンドについて書いてみました。

次を書くかはこの記事がスベっていなかったら考えます汗


読んでくださって、ありがとうございました!
橘奈緒美でした。



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