【厳選過去問】令和2年 企業経営理論【マーケティング論】

企業経営理論を攻略する上で重要な厳選過去問をピックアップします!
合っていたか、間違っていたかだけでなく、各選択肢の正誤のポイントを確実に整理してください。

今回は令和2年度のマーケティング論を取り上げます。

<戦略論>
第3問:業界の構造分析
第6問:垂直統合
第8問:イノベーション関連用語

<組織論>
第16問:組織管理システム
第19問:期待理論
第20問:職務特性モデル

<マーケティング>
第31問:デジタル・マーケティング
第37問(設問1):顧客満足
第37問(設問2):サービス・ドミナント・ロジック


第31問

デジタル・マーケティングに関する記述として、最も適切なものはどれか。

 

ア O2O戦略は、デジタル時代の消費者がオンラインとオフラインを行き来し、認知・検討と購買が分離する傾向があるという問題への企業による対応策の1つである。

イ クラウドソーシングにより製品開発を行おうとする企業が、そのために開設するネットコミュニティにおいては、参加者同士のコミュニケーションが活発に行われなければ、製品開発は成功しない。

ウ プラットフォーマーとは、異なる複数のユーザー・グループを結びつけ、交流させて価値を創出しつつ、同時にこれらのユーザー・グループに向けて自社の製品・サービスの販売も行う事業者を指す。

エ ユーザーにとってのプラットフォームの価値は、ユーザー間のネットワーク効果によって作り出されるものであり、プラットフォーム自体によって作られるものではないから、プラットフォームを切り替えても特にスイッチングコストは発生しない。

オ レンタルでは製品の貸し手は自社で保有する製品を貸し出すが、シェアリング・サービスは製品を所有するユーザー間をマッチングするだけであり、シェアリング・サービスの事業者が製品を所有することはない。



↓↓↓↓解答が表示されます↓↓↓↓



正解:ア

今年も「デジタル・マーケティング」が関連する出題が多くなることが予想されます。
今回の出題のうち、選択肢イの「共創」に関しては前回取り上げました。
【厳選過去問】令和3年 企業経営理論【マーケティング論】
https://note.com/tachibana_lec/n/nd25f989611ec

今回は選択肢ウ、エのプラットフォームについて簡単に解説します。
プラットフォームとは、異なるユーザーを結びつける基盤となる企業やサービスのことを指します。
イメージしやすいものだと、出品者と買い手をつなぐAmazonや楽天などのECサイトや、メルカリなどのフリマサイトが該当します。
物販に限らず、作品供給元と視聴者をつなぐSpotifyやApple musicなどの音楽配信サービスや、Netfrix・Amazonプライムなどの動画配信サービスも該当します。

このプラットフォームには「ツーサイドのネットワーク効果」が生じます。「ツーサイドのネットワーク効果」とは、プラットフォームの立場から見た場合、売り手と買い手の両側を仲介する形となり、片側のユーザーが増えるほど反対側のユーザーの便益も増し、それに伴いプラットフォームの価値が高まるという現象を指します。

Netfrixを例に例えると、売り手側の作品供給元が増え視聴できる作品の数が増えれば増えるほど、買い手側の消費者にとっても選択の幅が広がり、Netfrixの魅力が高まります。
反対に、買い手側のユーザーの登録数が増えれば増えるほど、売り手側の作品供給元もNetfrixに作品を出すことで視聴者の目見触れる機会が高まります。

そのため、プラットフォームでは、
①買い手・売り手のユーザーを増やし「ツーサイドのネットワーク効果」を生み出すこと
②他のプラットフォームへの流出を防ぐために「スイッチングコスト」を高めること
がポイントとなります。
②の「スイッチングコスト」を高めるためには、ポイントサービスを行ったり、プレイリストを利用できなくしたり、解約手続きを多段階なものにしたりといった手段があります。



第37問(設問1)

顧客満足に関する記述として、最も適切なものはどれか。

 

ア 企業の現場スタッフが顧客と接する瞬間における顧客満足を向上させ、好ましいブランド体験を安定的に提供するためには、顧客に接する最前線の現場スタッフの権限を高める一方、中間のマネジャーは現場スタッフを支援する役割を担う。

イ 新規顧客の獲得が難しい現況においては、不良顧客に対して最も多くの企業資源を配分し、彼らの顧客レベルを上げるべく積極的にサービスを展開し、サービスからの退出を防ぐべきである。

ウ 中程度に満足している顧客でも、簡単に他社へスイッチすることがなく、値引きに対する要求は少ないため、今日的な顧客満足戦略では、不満状態から満足状態への引き上げを極めて重視している。

エ 日本では高度経済成長期の頃から、企業は新規顧客の獲得よりも既存顧客維持の重要性を認識していた。



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正解:ア

顧客満足からの出題です。
顧客満足は、
・事前の期待 < 事後の評価 ⇒ 満足
・事前の期待 > 事後の評価 ⇒ 不満

の「期待不一致モデル」が基本となります。

本問の正解は選択肢アで、こちらはサービス・マーケティングでも問われやすい論点なので注意しましょう。
消費者がサービスと直接接する場面のことを「サービス・エンカウンター」といいます。サービス・マーケティングにおいて顧客満足度を高めるためには、そのような顧客と直接接する場面をマネジメントすることが重要で、「真実の瞬間」と形容されることもあります。

これはスカンジナビア航空の経営を立て直したJ.カールソンの言葉であり、顧客が1回のフライトで従業員と接する時間は平均15秒であり、この15秒が顧客満足度を決定づけるとした考え方です。
そのため、顧客と接する従業員の教育に注力したほか、権限委譲を通じて短い時間で顧客に素早く対応することを重視しました。

さらに、中間管理者や経営者はこれらの最前線の従業員を支援する役割を果たすべきとしています。通常のトップ、ミドル、ロワーという組織階層のピラミッドを反対にした「逆さまのピラミッド」という言葉で形容されます。



第37問(設問2)

文中の下線部②に関して、サービス・マーケティングにおいて注目されているサービス・ドミナント・ロジックに関する記述として、最も適切なものはどれか。

 

ア 近年のサービス・ドミナント・ロジックに基づく製品開発においては、他社の技術や部品を採用したり、生産や設計のアウトソーシングを進めたりして、製品の機能やデザイン面の価値を高めることを重視している。

イ サービス化の進展は、サービス・エンカウンターにおいて高度な顧客対応能力を有する従業員の必要性を高めている。しかしながら、売り手と買い手の協業によって生産される価値はサービス財より低いため、製造業においてはインターナル・マーケティングは必要ない。

ウ 製造業では、商品におけるモノとサービスを二極化対比することによって、モノとは異なるサービスの特性を明らかにし、サービスの部分で交換価値を最大化する方向を目指すべきである。

エ 製造業は、製品の使用価値を顧客が能動的に引き出せるようにモノとサービスを融合して価値提案を行うことが望ましい。例えば、顧客に対して、コト消費を加速させる製品の使用方法を教育するイベントを開催したり、その情報を積極的に発信したりすることなどである。



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正解:エ

今日的な論点で「サービス・ドミナント・ロジック」という考え方を押さえておきましょう。
この考え方を理解する上で、前回解説した「文脈価値」という考え方が重要になります。

復習になりますが、「文脈価値」とは製品やサービスの価値は、顧客がそれを使用・消費する場面に依存するというものです。例えば、スーパーのお惣菜もパックのまま食べるよりも、綺麗な器に盛りつけたほうが美味しく感じらたり、近所の花火大会も一人で見るより、家族や仲間と一緒に見たほうが楽しく感じれるというものです。

この「文脈価値」は、サービス財には「不可分性」(需要と供給が同時に行われる)があることから、サービス・マーケティングにおいて中心論点に据えられていました。
一方で、有形財においても、製品の価値は購入をした段階で決まるのではなく、使用・消費する場面に依存するという「文脈価値」があることから、有形財のマーケティングでも重要視すべきだという考え方に発展してきています。
そのため、例えば調理器具のメーカーであれば自社の調理器具を使用した料理動画をWebに公開するなど、製品の使用場面までをマーケティングの一部と捉えて実行することが重要視されています。

このように、サービス財の考え方を有形財に展開したことから「サービス・ドミナント・ロジック」「S-Dロジック」といわれています。



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次回は引き続き令和2年運営管理(生産管理)について取り上げます。
マーケティング論は、今日的な論点が増えておりますが、ここ2~3年で出題論点は大きく変わらず、絞りやすくなっています。
是非、基礎知識+こちらで紹介している内容を整理していただけたらと思います。


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