【厳選過去問】令和3年 企業経営理論【マーケティング論】

企業経営理論を攻略する上で重要な厳選過去問をピックアップします!
合っていたか、間違っていたかだけでなく、各選択肢の正誤のポイントを確実に整理してください。

前回に引き続き、今回は令和3年度のマーケティング論を取り上げます。

<戦略論>
第2問:PPM
第7問:競争戦略
第12問:情報財の特性

<組織論>
第15問:戦略と組織
第17問:組織コミットメント
第22問:両利き組織

<マーケティング>
第30問:製品戦略(共創)
第38問(設問1):顧客価値
第38問(設問2):顧客ロイヤルティ


第30問

近年は、企業(メーカー)と消費者が共に製品開発を行う共創(co-creation)が多くの企業によって導入されている。このことに関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 企業が企業外部のアイデアを取り入れながら価値を創造するオープン・イノベーションでは、企業は一貫して自社内のアイデアが外部に出ることがないように留意する必要がある。

イ 企業は共創によって新奇性の高い製品を開発できる可能性があるものの、当該製品を購入する消費者から見た場合は、共創によって開発された製品は企業が開発した製品より信頼性が劣ると感じる傾向がある。このため企業は、その製品が共創によって開発されたという事実を伏せて発売することが望ましい。

ウ 共創によって消費者と共に製品開発を行おうとする企業が増えつつある現状に対抗して、伝統的な方法により自社内の経営資源のみに基づいて製品開発を行う方が優れた製品を開発できると考える企業もあり、このような企業の考え方や行動様式は一般に「シーズ志向」と呼ばれることが多い。

エ 伝統的な製品開発では、企業が意思決定を行うために、専門的な知識を有していたり、製品の特殊な使い方を提案したりするなどの先進的消費者を対象とした市場調査が実施される場合が多かった。これに対して共創においては、一般に市場の平均的消費者に関するビッグデータが用いられる。



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正解:ウ

製品戦略における「共創(Co-creation)」も近年頻出です。
特徴は下記の通りです。
ターゲット:
 リード・ユーザー
メリット:
 ①品質が高い
 ②信頼性が高い

まずターゲットは、伝統的な商品開発が「平均的な消費者」をターゲットとしていたのに対して、共創ではその道に詳しい「先進的な消費者」を対象としてニーズを先取りします。
以前は、不特定多数にアンケートを撒くなどが主要なニーズ収集方法でしたが、近年はSNSなどを活用しながらセグメントに効果的にアプローチできるようになったことが影響しています。

メリットは共創により顧客ニーズに適合した製品を開発できる可能性が高まるため品質が高まります。
また、「顧客とともに作った」という事実自体が、消費者からの共感を生みやすく、信頼性が高まります。このような効果を「ラベル効果」といいます。



第38問(設問1)

顧客リレーションシップの構築に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア ある顧客が東京から大阪までの移動においてA社の航空サービスしか利用しないという場合、この顧客におけるA社の顧客シェアは100%となる。この場合の顧客シェアは、東京-大阪便を提供する全航空サービスに占めるA社の利用割合を意味しており、マーケティング上、新幹線や夜行バスなどの異なる手段も含む移動サービスに占めるA社の利用割合を考える必要はない。

イ インターネット通販と実店舗とで同一製品を扱う場合、製品の機能や美しさといったベネフィット面は同じであるのに対し、購入に要する時間や労力といったコスト面はインターネット通販において大幅に低下する。これにより、インターネット通販はあらゆる顧客に対し高い顧客価値を実現する。

ウ 企業の既存顧客および潜在顧客の生涯価値を総計したものは顧客生涯価値と呼ばれ、企業の顧客基盤がどれほどの将来価値を持っているかを測る指標となる。当然のことながら、ロイヤルな顧客が高所得であるほど顧客生涯価値は上昇する。

エ 顧客価値とは、ある顧客が自社にとってどの程度利益をもたらす顧客であるか、すなわち優良顧客であるかを表すものであり、企業は高い顧客価値を創造することによって、当該顧客の生涯価値を高めることができる。

オ 顧客満足は、製品の購入前あるいは使用前に抱いた期待と製品使用後の実際に得られたパフォーマンスとの差によって決定されるが、製品の使用前に抱く期待が直接的に満足度に影響を及ぼすことも指摘されている。この場合、事前に製品パフォーマンスやベネフィットの評価がしにくいなど消費経験の曖昧さが高いほど、期待が直接的に満足度へ及ぼす影響は大きくなる。



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正解:オ

顧客価値についても頻出論点です。
製品やサービスについて顧客が感じる価値は下記式によって算出されます。

「顧客価値=総知覚ベネフィット÷総知覚コスト」

つまり、運営管理のVEで学ぶ価値と同様に、顧客価値を高めるためには、”顧客が感じる便益を高めるか””顧客が感じるコストを下げるか”の2つの方向性があります。

注意したいのは、「コスト」とは金銭的コストのみを指しません。買い物に対する時間的なめんどくささや、身体的な疲れなども該当します。

また価値には、”機能的”なものだけでなく”情緒的””経験的””文脈的””社会的”なものがあります。
”情緒的”とはデザインのカッコよさや可愛らしさなど感覚的なものが該当し、”経験的”とは製品やサービスから得られる感動や体験などが該当します。
”文脈的”とは、製品やサービスの使用場面から感じられる価値が該当し、例えば同じ花火大会であっても、家族や恋人と見るほうが一人で見るより楽しく感じられたり、同じお惣菜でもパックではなく綺麗な器に盛ったほうが美味しく感じられたりすることを指します。

これらのベネフィットとコストのバランスが大切になります。例えば、ネット販売はリアル店舗での販売と比較して、顧客の時間的コストや身体的コストを低下させますが、反対に試用体験から得られる経験的ベネフィットが訴求しにくくなります。



第38問(設問2)

顧客ロイヤルティに関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 顧客価値と顧客満足が企業によって実現されることを通してその企業のブランドにロイヤルティを形成した顧客には、真のロイヤルティを有する顧客と見せかけのロイヤルティを有する顧客が含まれる。

イ 自社製品を顧客に販売するときの収益性分析を行う場合、対象となる顧客は購買履歴が蓄積された顧客であり、真のロイヤルティを有する顧客と潜在的ロイヤルティを有する顧客が含まれる。

ウ 新規顧客の獲得を目指す企業にとって、潜在的ロイヤルティを有する顧客セグメントは、製品購入の手段や状況が改善されれば有望な市場となり得るため、企業は潜在的ロイヤルティを有するすべての顧客をリスト化し、一人一人に積極的に勧誘を行うべきである。

エ 見せかけのロイヤルティを有する赤字顧客には、特定のサービス提供を控えるなどして最低限の収益水準を確保することが望ましい。あるいは、サービス手数料などの値上げによって退出を促すことも重要である。



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正解:エ

顧客ロイヤルティも頻出論点です。
ロイヤルティとは、顧客の忠誠心のことを指しますが、大前提押さえなければいけないことは、”心理的ロイヤルティ””行動的ロイヤルティ”必ずしも一致しないということです。

心理的ロイヤルティ:心理面からくる当該ブランドへの愛着
行動的ロイヤルティ:実際の購買行動

企業は、自社へのロイヤルティが高い顧客に効果的にマーケティングを展開することが有効ですが、そのようなロイヤル・ユーザーを見極めることは簡単ではありません

例えば、リピート購買をしている顧客の中にも惰性で何となく購入しているだけで、そのブランドに対する忠誠心はないことも多いです。
このような、行動的ロイヤルティは高くても、心理的ロイヤルティの低い顧客を「見せかけのロイヤルティ」といいます。

反対に、そのブランドに対して忠誠心はありますが、価格が高いなどの理由で実際に購買行動がとれていない人を「潜在的ロイヤルティ」の顧客といいます。

もう一点注意したいのが、近年の関係性マーケティングはシビアな考え方になっているということです。

企業の利益の80%は売上上位20%の優良顧客がもたらしているという「20:80の法則」は有名ですが、近年はこれに加えて「20:80:30の法則」が提唱されています。これは、企業が利益を確保していくためには、優良顧客の選別だけでなく、30%の不良顧客の退出を促すべきだとする考え方です。


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次回は令和3年運営管理について取り上げます。
企業経営理論と運営管理で60点を安定してクリアできるようになると、試験全体でも60点をクリアしやすくなりますので、頑張りましょう!


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