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優しい嘘であっても許されない【嘘についての考察】

 本日はエイプリルフールということで、テーマは「嘘」です。

 嘘はいけないこと、というのは常識ですが、優しい嘘であればついても良いと思う人もいるかと思います。

 今回は、嘘は何故いけないのか優しい嘘でもいけないのは何故なのか優しい嘘よりも良い選択肢について、私の考察を書いてきます。

 人間関係には必ずついて回る嘘について知ってもらうことで、それを人生に活かしてもらい、良好な人間関係構築の一助にしてもらえれば幸いです。


1.嘘は何故いけないことなのか

①嘘がいけない理由

 多くの人は、子供の頃に家庭や学校で、嘘はいけないことだと、半ば世間の常識として教えられてきたか思います。その理由について考えたことのある人はあまり多くないかもしれません。

 私が考える、嘘がいけない本質的な理由は以下の通りです。

本来あるべき姿を歪ませてしまうから

筆者の考え

 あるべき姿を歪ませるとは、嘘をつくことで、相手に事実を誤認させ、事実を知っていれば取らない判断や行動に誘導し、嘘が無ければ生じなかった状態を作り出してしまうことです。

 これがいけない理由は、相手が正しい選択をすることを妨げ、相手に害を与えているためです。相手の自主性を損なうことと、相手に害をなすから、嘘はいけないことなのです。

 嘘がいけない理由として、信用を失ったり、刑法によって裁かれたりすることだと思う方もいるかもしれません。しかし、それらは、嘘がいけない直接的な理由ではありません。

 嘘が、本来あるべき姿を歪ませるという点で悪いことであるのが原因で、それを行う人が信用を失ったり、法で裁かれたりするのです。つまり、原因と結果の関係ということです。

②嘘の類型

 一口に嘘と言っても、その目的によっていくつかの種類に分類されます。分類の仕方は人によって様々でしょうが、私は大きく4つに分類しました。

  1. 自分の利益のための嘘

  2. 自分を守るための嘘

  3. 相手に害を与えるための嘘

  4. 相手を守るための嘘

 1.は、相手を騙して不当な利益を得るための嘘です。いわゆる詐欺です。

 2.は、事実を告げると自分が不利益を被るため、事実を正しく伝えなかったり、隠したりすることで、不利益を回避するための嘘です。ごまかしや秘匿による保身がこれに該当します。

 3.は、相手を騙して相手が損をする方向に仕向けるような嘘です。この類型は余り身近ではないかもしれませんが、物語などでよくある、恨みのある相手を破滅させるためにつくような嘘です。

 4.は、事実を伝えると相手を傷つけたり、関係が悪化したりする可能性があるため、敢えて事実を伝えない嘘です。

 この「4.相手を守るための嘘」こそ、いわゆる優しい嘘に該当します

2.優しい嘘とは何か

①優しい嘘と他の嘘の違い

 前述の嘘の4類型の中で、優しい嘘が他と異なる点があります。それは、1~3の嘘が自分が利益を得たり損害を回避する、或いは相手に害を与えることが目的であるのに対して、優しい嘘は相手の害を減らそうとすることが目的であることです。

 優しい嘘と思われる例をいくつか挙げてみます。

  • 仕事で失敗をした同僚に対して、大丈夫ではないと思いつつも、大丈夫だと元気付ける

  • 才能がないと落ち込む友人に対して、才能があると思ってはいないけれど、才能があるから頑張れと励ます

  • 上手くできていない人に対して、上手だと思っていないけれど、上手ですねと言う

  • 相手の行動に対して、本当は不快に思っているけど、大丈夫だと言う

 前章で、嘘がいけない理由は事実を誤認させることであるべき姿を歪ませ、相手に害を与えることだと書きました。

 上述の例は、一見すると相手への気遣いや配慮、互いの関係の維持のためなど、事実を誤認させ、あるべき姿を歪ませていても、相手に害を与えているようには見えません。故に、相手に与える害を減らす優しい嘘は許されてもよさそうに見えるのですが、私は、優しい嘘も相手に害を与える許されるべきでない嘘であると考えています。

②優しい嘘が許されない理由

 優しい嘘は、一見すると相手を思いやっているように見えますが、それは表面上だけで、実際には相手に害を与えているのです。

 なぜなら、優しい嘘を信じた相手は、事実を誤認したままとなり、あるべき姿から歪まされたまま進み続けることになるからです。その結果、今よりも悪い方向に進んでしまいます。それを助長したのは、紛れもなく優しい嘘なのです。

 優しい嘘とは、相手を思いやっているように見えて、実際は相手と真剣に向き合うのを避け、楽な道を進むための行動ともいえます。優しい嘘というよりは、自分と相手に甘い、甘やかしの嘘という方が正しいかもしれません。

 例えば、社会人になって会社に馴染めない人に対して、何の根拠もなく、ただその場しのぎのために、大丈夫だから頑張れと優しい嘘をついたとします。これを信じて頑張った結果、やはり馴染めずに無理が祟って精神的に病んでしまった場合、そうなってしまった原因の一端は、優しい嘘をついた人にあります。

 この例は極端だとは思いますが、優しい嘘というのは、相手がこのようになってしまう可能性も覚悟のうえで使うべきものだということです。本来であれば、容易に使うべきものではないということです。

③許される優しい嘘は限定的

 強いて優しい嘘が許される状況が存在するとすれば、優しい嘘をつかなければ、相手が自ら命を絶ってしまいかねないような場合に限られるのではないでしょうか。

 相手にとっては、死よりも悪い状態はないので、それを回避させるための嘘は許されると考えます。それでも、いつか噓がばれたときの相手に与える絶望や、それが自分への恨みに変わる可能性を覚悟のうえで使うべきだと思います。

 他の類型の嘘は言うまでもありませんが、優しい嘘であっても、このくらいのケースでなければ極力使うべきでない、というのが私の考えです。

3.優しい嘘より真摯な助言を

 結論として、私は優しい嘘をつくよりも、事実を伝えて、それに基づいて真摯な助言を行うべきだと考えます。

 相手が大切な人なのであれば、相手に事実を認識してもらった上で真剣に向き合って、自分ができる助言やサポートをしてあげる方が、より相手を思いやった行動と言えます。

 もし、自分の手には負えなかったとしても、力になってくれそうな人を紹介することはできるかもしれません。それができない場合でも、いい加減な回答をするくらいなら、素直に「自分には分からない」、「力になれなくて申し訳ない」と言う方が、自分の思いも相手に伝わるように思います。

 嘘がいけない理由は、相手をあるべき姿から歪ませてしまうからです。それならば、歪みとは対極の真っ直ぐな態度で対応をすることは、多くの場合正しいのではないかと思っています

4.終わりに

 自分でも理想的なことを書いているという自覚はあります。しかし、理想を描かなければ理想に近づくことすらできない、というのが私の考えなので、思い切って、嘘は基本的に全て悪いですよ、優しい嘘でさえも許されませんよ、という理論を展開しました。

 しかし、現実問題として、優しい嘘をつきたい全ての場面で、相手に事実を伝えた上で真摯に向き合うのも、中々に大変なことになるだろうとも思っています。使える時間も体力・気力にも限度がありますし、事実を伝えることで逆恨みをするような相手もいるでしょう。

 よって、より現実的な対応としては、重要でない相手に対しては、優しい嘘を用いることで穏便に事を済ませ、自分が大切に思っている相手に対しては、優しい嘘は用いずに真摯に向き合う、ということかと思います。

 もし今まで、自分が大切に思う相手に対しても、優しい嘘を用いていた方がいれば、これを機に、真摯に向き合うことも一つの選択肢として考えて頂ければ幸いです。


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