なぜ林由真氏はエイシンミコノスをサラブレッドオークションに出品したのか?

僕なりに考えてみた、なぜ出品したのか?
という理由のnoteです。

1.エイシンミコノスについて

エイシンミコノスとは、父マンハッタンカフェ、母オレゴンガール、母父Rubianoの牡馬。
2013年の4月23日に、北海道浦河郡浦河町にある栄進牧場で産まれている。
デビューは3歳になってからの2016年6月12日 阪神競馬場6R 3歳未勝利戦
初戦は13着(勝ち馬 シャケトラ)
その後、中京競馬場で行われたダート未勝利戦(7月3日)9着、小倉競馬場で行われたダート未勝利戦(7月31日)6着。この成績では中央競馬での勝ち上がりは厳しいと判断されたのか。ここで登録を抹消。地方競馬への移籍となった。
そして園田競馬場の森澤友貴厩舎へ移籍したエイシンミコノスは、初戦1番人気の支持に応え勝利(9月16日園田6R・C2)その後も結果を残し、2018年の8月には園田競馬場での重賞競走である摂津盃で3着。中央競馬で未勝利だった馬が園田のA級格付けになるまで成長した。
だが、2020年にもなるとその輝きも影を潜め、7月3日のレースでは10着。このレース後にサラブレッドオークションへ出品された。そして、税込287万1000円という価格で購入したのが林由真氏である。

2.林由真氏が購入したあと

林由真氏が購買したエイシンミコノスは、その後、名古屋競馬場・今津博之厩舎へ転入。初戦は3着(8月7日名古屋・11R)だったが、その後1月まで休みを挟んでいる。足元に不安があったのか、何らかの事情があったのかは分からないが、1月に復帰。復帰初戦はプラス40キロという太めが影響したか8着に終わるも、その後は4着(2月10日)が最高で、岩手競馬・水沢競馬場・板垣吉則厩舎に移籍するも結果が出ない。そして2度目のサラブレッドオークション上場に至った。税込124万3000円で購入したのは、大黒富美子氏である。
そして、園田競馬場へ移籍(岡田利一厩舎)し、現在に至る。

3.林由真氏が出品した理由

殺処分されてしまう引退馬に生きる道を。肥育場の馬たちを救い出したい というクラウドファンディングを行っている最中に、自身の所有馬であった、エイシンミコノスをサラブレッドオークションに出品した林由真氏。
その理由をTwitter、Facebookで公開していたが現時点では削除されている。だが、僕は削除される前にメモを取っていたので、その文章を書き起こしておきたい。

【個人的な事情で恐縮ですが、私は今いる馬たちの道筋を作ったら馬主を休業する予定です。何故なら馬主事業に掛かる経費そのものを引退馬支援に充てたいという考えが第一 にあります。この度、他の馬主様より『エイシンミコノスを競走馬として譲ってほしい』とのご連絡を頂きました。その中で私の考えをしっかりとお話をし、お譲り予定の馬主様もミコノスの余生まで考えて頂ける方だと思い取り引きに応じました。
当然ながらその後の様々な問題で思い通りに行かない可能性も十分にあるかと思います。その際、先方のオーナーには『もし手放さなければいけない事情が出て来た場合は真っ先にお声掛け下さい。責任を持ってミコノスの面倒を見させて頂きます』とお伝えし双方納得の上で話を進めております。
そして、サラブレッドオークションでの譲渡に至った経緯ですが、これに関しては個人売買よりも公的な機関を通して取り引きをする事により、支援者様への説明ができると判断をしオークションへ出品を致しました。
以上、今回の流れを大まかにご説明致しましたが、私の認識の甘さでこの様な事態となってしまいました事を深く反省しております。活動を応援して下さる方々には多大なご心配をお掛けしてしまい大変申し訳ございません。心より深くお詫び申し上げます。厚かましいお願いではございますが、ご理解を頂き今後とも応援して頂ければ幸いです。引き続きどうぞ宜しくお願い申し上げます。】

これを読んでどう思うのか。感じ方は色々あるでしょう。だが、僕には2点ほど分からない所があります。
「譲って欲しいという取り引きに応じたのに、サラブレッドオークションを介した理由」
「もし、譲って欲しいと言ったのが、現馬主の大黒富美子氏だとしたら、余生まで考えているか」
この2点です。

譲って欲しいと声を掛けられて、じゃあサラブレッドオークションで買ってください。というのは、その段階で取り引きに応じていません。売るという決意をしたのかもしれませんが。
馬業界的に言えば、馬主さんが牧場で馬を買おうとして、生産者が競りに出しますのでそこで買ってください。というケースと変わらない。要するに、この段階で嘘を付いているということになります。
また、声を掛けたのが大黒富美子氏であるという前提の話になりますが、余生まで考えて馬を所有しているか?そんな訳がありません。出走手当が狙いの馬主ですから。それは過去1年のデータが物語っています。

南関東・園田・金沢・岩手・佐賀などで馬を預託している大黒富美子氏、賞金より手当目的であることは、出走頭数と回数からも手当目的なのは、明白であると言っていいでしょう。勿論それを否定するわけではありません。そういう人がいるからこそ、在籍頭数が少ない競馬場でも多頭数のレースが組めます。
ただ、これだけの頭数を所有している馬主が、馬の余生を考えているかと言われたら違うでしょう。よって、林由真氏に声を掛けたという馬主と、実際にエイシンミコノスを買った大黒富美子氏は別人であると思います。
その為、オークションのシステム上、高値を付けた大黒富美子氏がエイシンミコノスを購買したということになります。
これは、林由真氏に声を掛けたとする馬主がオークションに参加していたとする場合です。ですが、エイシンミコノスがサラブレッドオークションに出品された際、最後まで同時に競っていたのは(同)JPN技研です。

言わずもがなですが、出走手当て狙いの馬主であるということは、過去1年のデータが明らかにしているでしょう。
よって、林由真氏に声を掛けたとする、エイシンミコノスの余生まで考えている馬主が、実際には、購買することが出来なかったということになります。

ということは、林由真氏がエイシンミコノスをサラブレッドオークションに出品した説明文の前半部分は、意味がほとんどありません。
後半部分のサラブレッドオークション出品に至った経緯も、「287万で買ったけど全然走らなかったし、肉にすればいいとこ20万だけど競走馬としてなら、もう少し高値で売れるから、サラブレッドオークションに出品しました」というのを、オブラートに包んで表現しているだけに過ぎないと僕は考えます。

4.結論

林由真氏がエイシンミコノスを購買した後、出走回数も少なく、活躍しなかったことから、早々に処分したかったのであろう、と考えます。ただ、時期は非常に悪い。肥育場から馬を買うと言って、クラウドファンディングでカネを集めている人が、裏ではサラブレッドオークションで所有馬を売却している。
自身の所有馬ですら、余生を見られない上に、肥育場から救ったとする馬の余生も保証されない。再度肥育場へ行く可能性も否定出来ない。(応援コメントを送ったTCC、山本高之代表がオンラインサロン・TCC馬の未来会議内での発言)

これが、引退馬保護なのか。支援なのか。
だとするならば、やらない方がマシであると思います。

ただ、再調教して乗馬クラブに売ります。後は知りません。という取り組みが「引退馬支援・保護」になるのはおかしい。
各新聞社も、肥育場から救うと謳うこの取り組みを紹介していますが、本当のところが見えていないと感じます。
継続的に乗馬を楽しむ人口が増えない限り、乗馬クラブも受け入れる馬の頭数を増やそうとはしませんし、そもそも乗馬は初期費用が高いというイメージがあります。もっと言えば、そこら辺の一般人が馬に触りたいと思っても、そこら辺に馬はなかなか居ません。
馬と人との距離を近付けること、そして最期まで責任を持つことが引退馬支援に繋がるのではないかと僕は思います。

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