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朝ドラみたいな世界に誘われた

大阪から、四国は香川の高松、愛媛の松山に日帰りで行った。
元々休日出勤の代休で金曜日が休みだったこともあり、小旅行に行きたかったのがきっかけだが、結局所定の休日であるところの土曜日に行くことにした。
あれこれ考えているうちに謎の着地をすることがよくある。

香川ではうどん、愛媛では道後温泉くらいしか予定せず、弾丸旅行と言ってもそれでも少し薄すぎるかなと思っていたところ、妻が、それぞれの街に行きたい本屋があると言った。

彼女は少し前から同人誌やzine-違いがあるのかないのかよくわからないが-なども取り扱っている個人でやっているような本屋にはまっている。
それに影響されて、私も本屋シカクさんに足を運んだ、というのはあるのだが。

そんなわけで、高松では本屋ルヌガンガさん、松山では本の轍さんに行った。

開店直後に入ったルヌガンガさんでは、もしかして開店お待たせしてしまいましたか、と言った旨のお気遣いの声をかけていただいた。

せっかくなので香川関連の本を買おうと、岡本仁さんという方の「ぼくの香川案内。」という本を購入。
マガジンハウスでBRUTUSやクウネルに携わっていた方とのことで、パラパラとめくるだけでも眩しい。
お会計時、これは少し前に出た本で、幻のお店(今はもうない)もたくさん紹介されているんですよ、と教えてくれた。
無くなってもういけない、ということではなく、こんなお店もあったという記憶が知られる、というポジティブなイメージを与えられたのが印象に残った。

周囲には色んな飲食店があるようで、店を出た瞬間ニンニクの香ばしい匂いが漂い、また数歩歩くとインドネパール系のスパイスの香り、すぐそばではうどんだしにホッとさせられた。

10時過ぎの商店街では妙に軽快なBGMが流れており、「なんだか街が始まった感じするね」と妻が言った。

ぱたぱたと高松駅に戻り特急電車に乗り、お昼過ぎに松山に着いた。
車内アナウンスはかなり高い頻度で寝過ごしへの注意喚起をしていた。それなりの寝過ごし実績があってこその取り組みなのだろう。

本の轍さんは、さきほどよりこじんまりとした可愛らしいお店で、コーヒーを出しているようだった。
店主とおぼしきの男性と、常連のお客さんなのか、ご婦人が女流作家についての話をしていた。

noteで読んだことのある、古賀及子さんのサイン本があったので手に取ってみる。
サインと共に一言「さしざんめえ」とあり、すしざんめえ..すしざんまい?と呟くと店主さんがすしざんまい、ですよねぇと合いの手を入れてくれた。

せっかくなのでその「おくれ毛で風を切れ」と、もう一点ジャケ買いで「わたしを空腹にしないほうがいい」というくどうれいんさんの本を購入した。
店に来られる方ほとんど買われるんじゃないかな、と言っていた。
まんまと買ってしまったのでわかる。なんとなくタイトルから、”絶対共感”が展開されている感じだ。

そうこうしているうちに道後温泉周辺に着いた頃には空港行きの時間も迫り、入浴は断念。
以前は行ったことがあるので割とさっぱり諦められた。

なかなかの過密スケジュールではあったが、振り返るととても良い時間を過ごせた。
今回訪れたどちらの店でも、なんとなく手に取ったそれぞれの本について、小さな情報をさりげなく添えてくれることで、知らない本を買っただけ、で終わってしまうことを、少し特別な体験に変えてくれたように思う。
初めてだけど顔馴染みのような書店さんから、朝ドラみたいな世界に誘われた弾丸旅行だった。

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