令和最新版のスポンジケーキ

スポンジケーキは素人が手を出してはならないものだと思っていた。

昔から今度こそは、と挑戦しては食感モチモチ柔らかめの干し芋的なカステラが出来上がっていたからだ。
一見良い風に表現したが、非常に不本意だ。

材料を測り、泡立て、オーブンを予熱し、手間ひまかけて焼き上がった後に出来上がる申し訳ないスポンジケーキを目指したものを前にした時の絶望感はなかなか心にくるものがある。
誰も責められない。ただただ己の未熟さを悔いて、頂きはするが手放しで美味しいく頂きましたとは断言できない食材達に心の中で謝るしかないのだ。誠に申し訳ない。

そんなトラウマでスポンジケーキだけは自作を避けていたのだが、なんとなく行ける気がして作ってみることにした。
この根拠のない楽観は次こそ当たりそうというギャンブルに通じる気がする。

クラシルのレシピを頼りに卵、小麦粉、バター、砂糖を混ぜ合わせる。こんなにシンプルだったか。
今回はとにかくハンドミキサーでの泡立てを注意してみることにした。
これまである程度混ぜて焼いたら化学反応的な何かでふわふわになることを期待していたが、焼く前からフワフワなのでは?という既成概念を覆す結論に至ったのだ。

途中あの、粉を加えてヘラでさっくりと混ぜ合わせます(謎)の工程もごまかしごまかしこなしつつ、体積に対して、良い感じにスカスカの生地が無事できあがった。

かくして型に流し込み、オーブンで焼き上げた令和最新版のスポンジケーキは、かなりカステラに近いものであった。
なんだまた失敗か、と思われるかもしれないが、自分的にはなかなか手応えのある結果だ。
干し芋状のカステラではなく、カステラに近いものが出来上がったのだから。そのまま食べても甘食として申し分ない。

今ひとつフワフワ感が足りない要因は思い当たる節があって、生地を落として10秒くらい形が残るまで泡立てる、とあったのだが10秒ってあまりに長くない…?と適当なところで切り上げてしまったのだ。
フワフワの生地を実現させるためにはそこまでせねばならないのだ。

そんなわけで次こそは令和最新改良版のスポンジケーキを作りたいと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?