見出し画像

The1975新譜【Being Funny in a Foreign Language】を聴いて..

待ちにまった5枚目のリリースです。
ここに至るまでのタイムラインをまとめます。


2022年6月....5枚目のアルバム『Being Funny in a Foreign Language』から最初のシングル「Part of the Band」が2022年7月7日にリリースされることが発表された。
アルバムのトラックリストが掲載されたポストカードがファンに送られたり、ロンドンにマシュー・ヒーリーのポスターの掲示がされるなどした。

アルバムは11曲収録予定であることも発表され、その曲数の少なさに驚いたファンも多かった。
これまで1stからすべて、15曲以上のボリュームのアルバムであり、前作に至っては22曲という大作であったため。

2022年7月7日... アルバムからの1st singleとなる【Part of the Band】がリリースされる。
フォーキーで優しい耳ざわりの楽曲に驚愕するファン多数。

2022年8月3日... アルバムより2ndとなる楽曲【Happiness】リリース。キラキラとしたポップネスをたたえた仕上がりに来たるべきアルバムの期待感はいやが上にも高まる。

8月20日/21日...  日本のSummerSonic2022 において、世界で初めて【Happiness】と、未発表であった【I'm in Love with You】が披露される。後者はSNSを通して、またたく間に世界中のファンにシェアされることとなる。

8月26日/28日...
サマソニの翌週には英国の巨大音楽フェスティバル•レディング/リーズフェス2022に、Rage Against The Machineの代役としてベッドライナー出演を果たす。

9月2日...  アルバムより、3rdとなる【I'm in Love with You】がリリース。

9月21〜22日... アルバムより4thとなる【All I Need to Hear】がリリースされる。
しっとりした曲調に驚きとともに更なる期待が高まる。


そして...
2022年10月14日..今作のリリースとなった。


Being Funny in a Foreign Language:

01 The 1975
02 Happiness
03 Looking for Somebody (To Love)
04 Part of the Band
05 Oh Caroline
06 I’m in Love With You
07 All I Need to Hear
08 Wintering
09 Human Too
10 About You
11 When We Are Together


すさまじいアルバムとなった。



The1975のデビュー時について、マシューのアイドル(偶像)ライクなキャラやバンドの醸し出す雰囲気から、軽いポップバンド然としたものを感じとり、一部には毛嫌いをするロックファンもいたかもしれない。それでも、飛び抜けて秀逸なポップネスをたたえた〝ロック〟バンドであった彼らが大衆にすぐに持て囃されだすのに時間はかからなかった。

秀逸EPの連打やラジオなどのヘビープレイで、一度きいたら耳から離れないその煌びやかさで1stアルバムがいきなり全英1位を獲得した(できた)のはその証左だろう。

2ndはアルバムのイメージカラーをピンクにし、どうぞ俺たちのことをアイドル視するならばそれはそれで構わないと(でもいわんばかりの)ゴスメイク仕様の宣材写真やリード曲で半ばセルフパロディを演じるかにもみえたが、アルバムの中身はといえば実に多彩な、そのあとのThe1975の多様さの足がかりになるようなキラキラした音づくり、果ては泣かせるシリアスなバラード曲すらも手中におさめ、絶対無二の独自の階段をのぼった。真骨頂は4曲目のA Change of Heartや、10曲目のSomebody Else、15曲目のParisなどのスロウバラッドであり明らかに1stからの間口を広げつつ、3rd〜4thで一気に花開くエレクトロ風味も散りばめながら、こんな曲も聴かせてくれるのかと聴く者を驚かせたと思う。

つづく3rdでは、最強すぎるポップネスはそのままに社会的な怒り•憤りを4曲目Love it if we made itや8曲目I like America,America likes meなどで炸裂させた。
およそ正統なロックバンドが一度は歩むであろう硬派な側面を垣間見せつつも、最終15曲目ではI Always Wanna Die(Sometimes)で、一気にフォーカスを自分自身にまで縮め、ファンが持つマシューへの儚いイメージ、生きづらそうにすら時折みえる(ステージ上で酒を浴びるように飲んだりする)キャラクターをも歌にしてしまうのだった。

この3rdで決定的となった彼らへの評価をさらに確たるものにしたのがコロナ禍の中2020年に生みおとされた、4thである。
前作で一気に表出した社会性は1曲目のThe1975でのポエトリーリーディング(10代の環境活動家グレタ•トゥーンベリによる)でいきなり極点を迎える。4分以上にも及ぶこの超挑発曲は、並のバンドがやればドン滑りの、お寒い結果を招きかねないが、3rdまでの彼らの歩みをつぶさに追うファンならば、そこに必然性以外の何者も感じなかっただろう。

2nd、3rd以上に多彩なアルバムとなった4thではPeopleで弾けるパンクネス以上に、エレクトロな曲群が舞いあがる。
ラス前の21曲目Don't Worryでは実父Tim Healyとのデュエット、最終22曲目Guysでは、これまでのバンドの歩み、バンドメイトにあてた恋文かとみまがうほどの愛情を歌詞に練り込み、エモーショナルさの嵐の中アルバムは幕となる。

そして今。


彼らは、

時代を追うことなく


自分たちの最強の持ち味である


ソングライティング


を駆使して、いい曲をいい曲のまま
奇をてらうことなく聴き手にとどける
ことを選んだ。


エレクトロはもうここにはなく今は必要はない。


そこにあるのは生音の響き。

ギター。

ベース。

ドラム。

キーボード。

サックス。

パーカッション。

そして

マシューのボーカル。


これらと、いいメロディさえあればThe1975はThe1975たりえる。


正統に、まっとうなる進化を遂げ、あらゆるバンドの中でもロックバンド然としてきた今の彼らを見ておもう。


ガチでカッコようなりましたなぁ(^_-) v


Oh Caroline

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?