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「男の娘マンガの残念なラスト」3選

最近、男の娘に関する漫画を3種類ほど買った。

内容的にはどれも面白く、十分に満足したのだが、ただラスト、ラストが残念すぎる!

伏線はいつ回収されるのか
そんな無謀な計画が達成できるのか
主人公は一体誰と結ばれるのか

そんなことを思いながら読み進めても、ただむなしくページ数が減っていくだけ。最後のほうになると、「この残り少ないページでは、謎は解決しないよな......」と半ば絶望してしまう。

今回は、そんなちょっぴり残念な男の娘マンガを順番に紹介していく。


『美少女になったけど、ネトゲ廃人やってます。』

『美少女になったけど、ネトゲ廃人やってます。』

ブックオフで全巻まとめ売り(700円)されていたので購入。

元はラノベの作品らしいが、今回買ったのはコミカライズ版。

ストーリーを簡単に説明すると、ずっと好きだった女の子に告白するという大事な場面で、思いがけずウンコを漏らしてしまった主人公が、次の朝起きたら女の子になってしまったので、VRMMOで遊び倒すことを決意するというもの。

あまりにも定番の展開なので、この記事を読んでいるみなさんも、容易に情景が想像できたことだろう。

この漫画の面白いところは、(序盤を除けば)女の子の身体になった主人公が、外に出ずあえてネトゲをするところにある。

ネトゲといっても、"VR"MMOなので、自分の身体がそのままアバターとなる。その世界で主人公は、ゴミスキルと呼ばれている錬金術師を選択し、偶然出会った親友(もちろん主人公だとは気づいていない)と共にパーティーを組んで冒険をする。

パーティーには他にも2人の女性プレイヤーがおり、1人はのちに主人公たちのライバルとなる人物の妹であることが判明する。

もう1人は、なんとなく容貌が似ていることから、最初主人公が告白した女の子かと思ったのだが、最後まで正体は不明のままだった。いかにも重要人物っぽい感じだったのに、まさかの無関係な一般プレイヤーだったのである。登場人物の中で最も不遇なのは、最後まで何の役割も与えられなかった彼女かもしれない。

さて、主人公はゴミスキルと言われていた錬金術師を巧みに使用し、多くの重要アイテムを作り出す。「最弱と言われていたスキルが、実は最強だった」という展開は親の顔より見ているので、これ以上説明しなくてもよいだろう。

さらに主人公は、ゲーム内の偽りの空の上にある妖精界を発見し、まだ誰も発見していない最強NPCと出会い、激レア素材を手に入れまくる。だがその激レア素材も、仲間に「うわ、なんだそのポーション、めっちゃすげー!」と言わせる以外に、特に目立った活躍はしない。

その後、クランの名前が似ているという小学生みたいな理由で、強豪クランに目を付けられる。これがさっき言った、主人公たちのライバルである。

なんやかんやあって、そのクランに勝つことができたのだが、その時点で最終巻のほぼラスト。残りは10ページちょいである。

もうおわかりかと思うが、主人公が女体化した理由や、このあとどう生きていくのかといったことは全く明かされない。さらに、全編にわたって主人公はずっとゲームの中にいるので、一連のストーリーは1日に満たない時間で終わったということになる。

とはいえ、絶対に1時間や2時間ではないので、きっと主人公はまたウンコを漏らしていることだろう。

主人公がたどり着いた結論も、「ゲームやってるうちに、なんか辛い現実受け入れられたわ!ゲーム最高!」である。

明かされると思っていた謎は、全て宙ぶらりんのまま終わってしまった。

「これ女体化する意味あったか?」という言葉が舌の先まで出かかっているが、それを言ってはおしまいなので、次のマンガへと移ろう。

『女装コスプレイヤーと弟』

『女装コスプレイヤーと弟』

この作品もブックオフで(以下略)。

女装コスプレイヤーである主人公は、親の再婚で同居することになったフランス人の弟に、女装姿を見られてしまう。しかし弟は、彼女を別人だと思ったうえ、女装姿の主人公に恋をする。そんな勘違い弟と主人公の関係性を描いた、心温まるラブコメディーである。

この作品のおもしろいところは、弟を除いた主要な登場人物全員が、異性の恰好をしているところである。自然消滅した主人公の元カノ、ひそかに主人公に思いを寄せている同じく女装コスプレイヤーの友人、男の娘カフェの店長、全員が自分の性別とは違う恰好をしている。

基本的には、主人公、弟、友人、元カノの4人の関係を中心に物語が展開される。しかし、元カノは男装した自分に恋をしているので、この作品はBL敵な要素を多分に含んでいる(残りの3人は全員男)。

「フランス語しか喋れないイケメンの弟」という設定を上手く活かし、非常に萌えを感じさせる上質なおねショタ、ならぬ「おにショタ」を楽しむことができる。

漫画のキャラクターを模した恰好をするコスプレイヤーを、あえて漫画の中で描き、異性の恰好をしていることにも意味があるこの作品は、あらゆる意味で高い完成度を誇っている。

しかし、やはり問題はラストである。

ある日突然、服飾を学ぼうと思い立った主人公は、義母の提案でフランスに3年間留学することになる。弟はどうなるんだ、と思ったが、なんかいい感じに解釈してもらえたことにより、事なきを得る(兄とお姉さんが付き合っており、一緒にフランスに行くと勘違いした)。

勘の良い読者は、ここで打ち切りの匂いを感じたことだろう。予想通り、「3年後……」というテロップと共に、留学から帰ってきた主人公と、中学生になった弟が登場する。

女装がバレてしまう危険を感じた主人公は、もう女装しないことを決意するが、結局友達に流されて、また女装してしまう。そして、それを見た弟が、お姉さんが帰ってきたと騒ぎ、「今日だけ、今日だけだから……」という主人公のセリフを最後に、物語は結末を迎える。

そう、結局誰とも結ばれることなく、なんならいい関係になることもないまま、物語は終わってしまったのだ。もちろん、5等分の花嫁がラストで炎上したように、主人公が誰を選ぶかという問題は、非常にセンシティブである。

だが、付き合うとまではいかなくても、何かしらの変化があってほしかったな、と読者としては思ってしまう。結局、弟は騙されたまま過ごすことになってしまっているので、それはあまりにも不憫ではないだろうか。

『Lily』

『Lily』

今回紹介する漫画の中で、最も早く終了した漫画である。

ただ、その理由が作者の産休なので、仕方ないところはあるのだが、6年以上経っても再開されていない、なんとも悲しい作品である。

この物語の内容は、親が闇金から借りまくって作った1億円の借金を押し付けられた主人公(男)が、姉の助けを借りてメイドカフェを経営するというものである。そこで主人公は、女装して看板メイドとなる。

借金のカタに主人公を手に入れようとする長身イケメンの借金取りや、古武術の家に生まれて武術の達人の幼馴染、巨乳ドジっ子で裁縫上手の同級生、田舎育ちで方言が強く、甘いものが大好きな学校一の美人など、古き良き萌え漫画のキャラクターたちが多数登場する。

だが、この作品の魅力はなんといっても主人公の可愛さである。私が今まで見てきた男の娘の中でも、トップ3に入る素晴らしさだ。

ヤンキーっぽい人たちに連れられて乱暴されそうになるシーンや、一緒に働く女の子に可愛がられるなど、お決まりの展開があるのもうれしい。

ただやはり、やはりラストが残念なのだ。いや、この漫画に至ってはそもそもラストに到達していないので、この表現は適切ではないかもしれない。

一応どこで終わるか説明しておくと、一緒に働くメンバーを集めることができ、オープンの準備も整って、さあ経営がんばるぞ!というところで終わりを迎える。

おい!一番大事なところがねぇじゃねえか!

思わず急にキレるオタクになってしまうほどの、絶妙なまでの寸止めである。

さらに言うと、2巻のほとんどはスカウトした学校一の美人の話なので、主人公が活躍するのは実質1巻だけしかない。しょぼーん。

お気に入りの漫画だっただけに、続きを見たいという気持ちでいっぱいだが、見たい漫画が打ち切られる、これもまた人生なのだ。

まとめ

中途半端な終わり方をした男の娘マンガを集めてみたが、いかがだっただろうか。

読んでいるときは、「マジかよ……」と絶望してしまったが、こうして見返してみると、これも漫画の醍醐味なのではないかと、前向きに捉えられるようになった。

諦めというなかれ。オタクである以上、打ち切りは避けては通れない道なのだ。この荒波に耐えるには、自分の心を変えていくしかない。

この記事の内容とは関係ないが、「打ち切り学会」というおすすめのチャンネルがあるので、打ち切り漫画に興味がある人はぜひ見てほしい。


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