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ハロー! サムライの伝説について書いたもの一部公開するよプロジェクト5/5

仕事が忙しくてとてもありがたい久保内なのですが、妙にこのnote好評をいただいているので続けたいのはヤマヤマ。でも書いてる時間がねぇ、ってことで、今日も没になったモーヲタ関連原稿の山から一つ二つ見繕って掲載することにする。

今日は伝説のモーヲタ有馬先生、通称サムライの特集! サムライ先生は今はえっと遠くの世界にちょっと旅に出てらっしゃる、、、のかな? って感じですが……。

他にも探したら、アンコウの骨で、悪魔をモチーフにしたヘルメット作成してかぶって黒マントをなびかせて自転車で爆走した話、とか、音楽友だちという名の後見人に、家賃がないとお金を借りたその足で、なぜか中古のトランペットを買って、即見つかる話だとかいろいろあるんですけど。

以下に貼る原稿にはどれがサムライのことか明示はされていないが、まぁ分かるよね(訂正加筆するのめんどくさい)。って、ちょっと漁るだけでこんだけ出てくんの!? とりあえず極一部ですがどうぞ!


■2006年 ハロー!プロジェクト「たこ焼きトランプ」事件

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 「つんくPが関わっているたこ焼き屋が、秋葉原にできたんですよ。改築期間中のビルの一角で現ボークス秋葉原ホビー天国ですね。ガラガラポンの抽選で、絵柄がモーニング娘。とBerryz工房のトランプが当たるっていうキャンペーンがあったんです。全国で一店舗だけ、それがメンバー別の絵柄で限定30個。いそいで仲間内で集まって、ミーティングですよ(笑)(T氏)」当時限定80枚の「代々木限定写真」に1枚数万円の値段がついていたころである。この限定30のトランプをオークションなどで入手する場合いくらかかるのかなど、戦略会議が行われたそうだ。
 「500円買いものすると抽選券が1枚。800円のたこ焼きセットは特別に2枚抽選券がもらえるという形だったので、ひたすらみんなでたこ焼きを食べるという方針に。会議参加メンバーには20代から40代までいましたけど、仲良しヲタグループっていう感じで、最初は和やかなものでした。実際に始まると、仲間内に無職(サムライ・追記・当時を知る人からの情報で、ケータイに塗装をする夜勤バイトにちょいちょいいってたとのこと。そうそう! 筆者が当時最新だったWindowsCE搭載の高機能PHS『W-ZERO3』を持っていたら、「あ、その塗装したの俺」と言われて嫌な気分になったことを思い出した。)がいたのでその人が朝から晩までガラガラを見張って大体ガラガラに何個はずれが入っていて、あたりが何個かを割り出し、ハズレのカウントをして十分当選確率が上がったと確認してからたこ焼きを買うという戦略で。情報収集しながらタイミングを見計らって回したり、トレードを依頼するという方法で初週から大きな戦果があって。そこで得たノウハウで、2週目、3週目と違うメンバーのトランプをゲットしていきましたね。他には、一般人がたまたまたこ焼きを食べてトランプが当たったら飛んで行って交渉してゲットする。人によってはグループごとにコンプリートしたいっていう人もいましたし。人気のあるメンバーのトランプは、翌週以降のトレード材料にもなりますから。まあ、そんな感じで2ヶ月くらいたこ焼きをずっと食べていたのかな。少なくとも一日1パックは食べていました。なかには持ち帰りで複数買って冷凍庫に突っ込むっていう人もいましたね。普通の人の一生分くらい食べたと思います(笑)(T氏)」
 2ヶ月同じ食事を続けるなんて、スーパーサイズ・ミー、もしくは置き換えダイエットかという勢いだが、終わったあとで勝利の美酒に酔ったのでは?
 「トランプ抽選会の第2弾が発表されたんですよ。そもそも、ロット30とかでそんな限定グッズは作らないだろうという話はしていたので、想定していたことではあったんですが、第2弾ではBerryzのトランプがサイン入りになると……。まあ、それでもどうにか順調に身内ではトランプを確保していったんですが、途中でトラブルがあって(T氏)」
 数か月たこ焼きを食べ続けるだけで一般人には十分トラブルだが……。
 「まあ、よくある金銭的な問題というか。いちばん現場に張り付いている無職の方の収入がないぶん、ほかの人が打ち上げ代を支払ったりしているので、その累積とかいろいろとあって揉めちゃって。まあ、無職の人が未入手の人に自慢したりするのもよくないとは思うんですけど。僕は貧乏ヲタだったので出来る範囲で手堅く集めていっただけだったんですけど、ひとまわり上のオトナ二人の喧嘩を仲裁するのは面倒でしたよ、ホントに(笑)。『たかが3万くらいのトランプで人間関係を壊すなんて』という意見もわかるんですが、それを言ってる本人の財布に3万円入ってないという……。他山の石じゃないですけど、仲間内でもできるだけそういう借りは作らないようにしようと思いましたね。(T氏)」

■2006年 GoogleMapもないのに聖地を探し当てるサムライ

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 「だって、場所がわかったから行くぞって言われたら行くしかないじゃないですか?」Tは筆者にこう言った。06年の3月から始まった「Berryz工房コンサートツアー2006春 ~にょきにょきチャンピオン!~」で売られていたビデオで、メンバーがどこかのハウススタジオに行ってカレーを作ったり庭でバトミントンをしたり、山で追いかけっこをする映像を見て「ここは行きたいよね」という意見でまとまった二人は、ほかに「地理ヲタ」を自称する“ヲタモダチ”(ヲタの友人のことをこう呼んだ。オタクになるくらいだから、アイドル以外にも謎の知識を持っている人も多い)から烏帽子岩の形をたよりに、千葉の外房にある太東らしいと鑑定。まだGoogle Mapもなければ、ファンサイトに情報が寄せられもしてない頃の話だ。

「その前から、レインボーブリッジを渡るロケバスの方向から千葉のほうだろうとは目星がついていましたけど、これで決心が固まりました」という。画像検索でアタリをつけて、間違いないと判断したそうだ。

 1時間半ほど電車に揺られて、太東駅に着いた二人を待っていたのは、海の気配も潮の香りもしない農村。「駅前にあるデカイ地図を見て、海があるっていうのは認識できるんですけど、周りには民家と山、畑しか見えなくて不安でした。でも、方向は把握できたので、歩き始めたんです」。

 電車で来るくらいだから、もちろん車などは持っていないのだが、免許もなくてレンタカーは使えない。そのうえ、キャッシング→バイト代で返済の自転車操業を繰り返していた貧乏学生のTと、それよりお金のないサムライのふたりには、タクシーを使う予算はない。

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「とりあえず、砂浜まで降りて海に向かって叫んだんですよ。Berryzがやってたから。そうしたんですけど、ちょうどその日は海が荒れてて、いきなりひざ上まで波がザッパーンって。まだスタジオを探さないといけないし、命の次の次くらいに写真は大事でしたからね。濡らさないようにバンザイの姿勢ですよ。もう、為す術はありませんでした

 首尾よく海まで来たものの、二人はそこからスタジオを見つけるまで、水浸しのまましばらく歩きまわることになったという。「スタジオっぽい建物や、住宅地になっている区画が海岸沿いに広がっていたので、そっちに歩いて行ったんです。結果的にはハズレで、全然見つからない。しかも、ズボンはびしょ濡れ。さらに2時間くらい歩いてから、海沿いにレストランがあったから昼食がてら入って作戦会議をしたんです。注文したのは、Berryz工房がビデオの中で作っていたからという理由でカレーでした。」

 その作戦会議とは、とにかく写真をもう一度しっかり見直すことだった……。だが、そこでTがものすごい発見をしたという。

電線ですよ! ちょうど写真の数枚に、上り坂と上に続いていく電線が見えたんです。海に着く前に、さらに山を登る分かれ道があったから、そっちのほうに行きましょうと話して、戻っていくことにしたんです」
 いろんな意味で灯台下暗しというか、その「電線沿いに山を登る」という提案があたっていたらしく、徐々に(数週間前に発売されたDVDや写真で)見慣れた景色が広がっていったという。「近づいていくにしたがって、二人で確信めいたものは生まれていきましたね。ここ、鬼ごっこで駆け下りてたところとそっくりだ! 間違いない! って。

「着いたら、もちろんスタジオの人に話をするわけですよ。中には利用者がいるから、建物の中は見せられないけど、中庭までなら入っていいと言ってもらって、写真を数枚撮らせてもらいました。

写真とパンフレットを見てここに来たって話したら驚いていましたよ。撮影スタジオはどこだとか、どこにも書いてないですからね。で、パンフレットの見本はもらっていないっていうから、サムライさんがオーナーに渡してました。」

 ここ以外にも、サムライはほかの場所でも、写真集を渡していたという。「現地の人に迷惑をかけない、っていうのは鉄則ですから。それに、こうやって現物を渡すことで、なかに入れてもらうとかの交渉もしやすくなるのでギブ・アンド・テイクができてるっていうんですかね。聖地巡礼のコツだって話してくれましたよ。まあ、そのとき渡したパンフレット買ったのは僕なんですけど

 こうして目的を達成した二人は、別の映像に出てきた湖が近くにあるかもしれないと話をして、さらに3時間近く見知らぬ土地を山道やヤブを歩きまわって東京に戻ったそうだ。

「今はもうそんな時間も体力もなくなってしまいましたけど、やっぱり体を動かして自分で見つけるっていうのはすごく達成感があるんですよ。ここに行けばこれが見られるとわかって行くのも楽しいですけど、それ以上に思い入れができるし、苦労話もネタになりますから(笑)。だから、意味不明に熱かったあの頃を思い出すと、すごく懐かしいなって思います。少し寂しい気持ちはありますけどね」

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自分がサムライとの思い出で一番印象深かったのは「パソコンが壊れた」と言われて修理を手伝うことになって彼の家にいったら、廊下に本棚が置かれていてしかも決壊。デブの自分だと中に入れなかったこと。そして、なんとか本を崩しながら内部に潜入したら、部屋の真ん中に置かれているベッドのシーツがなぜか工事現場にあるブルーシート。「これなら汗でも汚れない」と言われて、恐る恐る座ったら、沈みこんだベッドの傾斜にそって、噛んだ爪の破片と髪の毛が自分の元へザラザラとブルーシートを転がって殺到してきたこと。それから、壊れたパソコンのCD-ROMドライブを開けてみたら、高速で回転するアリが登場! あったかく、ドライブを開けっ放しでお菓子を食べ続けたおかげで、パソコン内部にアリ塚が爆誕しておりました。

でも最強に印象深いのは、玄関のドアを閉めずに自宅で寝ているとき、なぜかシャワーの音で目覚めたんですよ。で、バスルームから長髪の人間の後ろ姿が。眼鏡をつけてない寝ぼけた頭で、「俺、彼女いなかったよね……」とぼんやり考えながら声を掛けたら、それがサムライ

「あ、いたんだ」と言ってましたよ。居たんだってどういうことだよ! 風呂を借りる以前のいくつかのハードルを一切無視した清々しい返答は今も忘れられません。


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