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雑誌連載ライターでももう限界ってマジ?

どうも、最近自己啓発づいている久保内ですけれども。

ちょうどライター関連でこの記事が話題になっているので、自分もいっちょ噛みしようとおもっていたところ、ちょうどいい具合にマシュマロが来たのでこれ幸いに書いてみようと思います。

雑誌に連載を持つ著者だけど、もう限界かもしれない

10年選手、雑誌連載も持つライターで、単行本の著者でもあるという匿名による「もう限界」という魂の叫びめいた文章だ。今Webライターとしてやっている人からは見て比較的原稿単価が高いと思われる自分の周りも「ぜんぶ本当のことが書いているよ……」とざわつかせている。

しかも著者は、企画を出せば没にされることもないし、単行本も7500部程度刷ってもらえるとのこと。これは現在の出版事情では「かなり恵まれているほう」と言っていいはずだ。

■出版点数だけ増えて火の車営業の中小出版社

一昔前は単価が低く比較的部数を刷っていたライトノベルなどは、新人レベルで8000~1万2000部程度だったのが、今は4000部程度の声も聞くようになっているし、新書でも8000部スタートはあまり聞かないというのが現実だ。1万部以上の初版からヒットして3万部にいくのと、3000部からヒットして3万部達成するのでは、大体難易度が20倍くらい違う。株式投資で30万円スタートで1000万に増やすのと、100万から1000万に増やすのの難易度の違いに近いんじゃないか?

まず、最近の出版社は増刷に非常に慎重だ。発売前に予約でほぼ在庫がはけるレベルでないと、増刷GOとはなかなかならない。在庫リスクを嫌うためだ。2刷、3刷と、4刷と、今までは(とはいえ15年前くらいだが……)初版1万部だったものがそこまで達するために増刷を渋りまくる出版社が増刷に踏み切るほどの勢いを初期に見せないと3万部に到達するスタートラインにも立てない。

本を売ることで利益を出しているハズの出版社がなぜ売り物の本を増刷するのを渋るのか。理由はいくつかあるけれど、大きくいうと増刷分の経費がイレギュラーで、増刷をかけても一か月後に現在の勢いがあるのかさっぱりわからないということ。また、初期の勢いはあくまでSNSなどで普段本を読むコア層のみでウケていることを指すことが多く、そのパイが一万あるのかと言われると疑問符が付くということ。

大体日本中のある程度の規模の本屋に一冊は配本されるためには2万部以上必要なので、3000や4000部では、本屋でたまたま見かけてマスに受けるかどうかという判断が付きづらい。

そして一番の原因は、取次システムだ。出版社は、本を出版すると取次に卸して売ってもらうことで利益を手に入れるわけだが、完全に精算する前に、本の出版点数と部数に応じて取次から一時金を払い受ける。そこから精算時に「想像よりも売れなかったぞ」となったらその一時金から一部を返還したりするわけだ。

このシステムが一種のつなぎ金融のようなメカニズムになっていて、経営が芳しくない出版社(ほとんど)は、部数を絞って損する可能性を限界まで絞って、出版点数は増やす。そうすることで、平均すれば一時金の精算時に目減りを減らすように立ち回る。一時金を受け取ることで経営を回すということが常態化している。そこでは、本という商品は一時金を受け取るための人質のような役割になっている。

この時、好調でも増刷せずに完売すれば、精算時に目減りすることなく少しの増額も狙える。逆に増刷した場合、思うように売れなければ精算時に大量のお金を戻さねばならなくなるリスクが発生する。つまり増刷しない方が出版社のリスクが少ないのだ。イケイケの出版社が増刷を頑張りすぎて倒産したというケースも数年に一度業界の噂になったりする。

ということで、現在の出版を巡る金融システムのメカニズムに、増刷をするメリットがあまりないために、どんどん部数が削られ、出版点数だけ増えて、単行本を出せるほどの筆力や知識量があるはずの執筆者がどんどん貧乏になるというサイクルを生んでいる。でもこれ辞めたら、出版社ガンガン潰れちゃう。(さらに最近は取次もこのシステムヤベエってことで、出版点数も絞っている)

これらの執筆者の生活を支えていたはずの雑誌もどんどん潰れて、現存していても原稿料もガンガン減っている……。

「それでもまだ雑誌の原稿料のほうがWebメディアより高いことが多い」という意味の文章を前にこのnoteに書いたら、複数人のライターさんが「Webのほうが俺は高い」ってコメントしてたほどだ。

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(唐突にCM)講演家Youtuberの鴨頭さんの思想だとかについて書いたnoteも見て! がんばったから!はてブとかすると世界に貢献できます

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■そもそも専業ライターの最大到達点は1000万くらいだった(過去形)

とういうことで、一線級の雑誌・書籍ライターの年収が300万で上出来みたいな現状があるわけだけど、昔はちゃんと稼げていたかというと……へへへ……。ライターの景気良かった話ってだいたいバブルのころの話ですからね。気が付いたら30年以上前の話だよ!

そもそも、書いた原稿の雑誌掲載料だけで個人が稼げる限界値は現在は600~800万ってところではないか。昔の割と景気が今ほど悪くなかったころでも、重松清でもない限り1000万が物理的限界に近かったと思う。

うっすらした記憶で間違っていたらごめんだけど、間違った具体例。

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謝罪 飲み会だかどこかで読んだかくらいのあいまいな記憶で、面識もないい方の下世話な推測を掲載しておりました。ご本人からからご指摘を受け、何の根拠もなくお名前を挙げて間違いを流布したことを謝罪申し上げます。

今後は、30分で殴り書くなどとうそぶく愚は侵さず事実関係が必要な事項につきましてきちんとわかるものだけを書くように留意いたす所存です。

重ね重ね、ご迷惑をおかけして大変申し訳ございませんでした。

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って、他人の名前をあげておいて自分のことを書かないってのもフェアじゃないので書きますけど、ライター歴20年(いつの間にか!)の久保内で、雑誌掲載とWeb記事の純粋な原稿料で300万あるかないかくらいです。経費を引いた利益については考えたくない。新規営業はせずに、ご指名のあったときだけ書くという感じに現在は落ち着いている。自分では執筆量を絞っていると言い訳しているが、絞らなくても減っていってるのでは? という疑念は消えない。

それに、編集者としてのムック編集や、書籍とりまとめ。それにコピーライターとして各企業さまへのパンフや小冊子のページネーション、オウンドメディアの編集協力・毎月の会議に出席しての業界の現状や何やお話してコメントするお仕事を合わせてなんやかんや企業としての売り上げを立てているというのが現状だ。正直、利益の出る収入としてはコピーライター>編集>ライターという感じか。それと細々と大家さん業など。これまで、雑誌でコラム連載を通算で10本以上持っていたりしたんですけど、こんな感じですよ。

そして、そんな個人技でなんとかやってるわけだけど、それでも10年前の売り上げから見ておよそ半分か半分以下、従業員にも頭下げて辞めていただいたりしました。これでも、12-15年前は個人の執筆原稿料だけで800万くらいあったんですけどねえ……。あのお金いったいどこに行ったんだろう(倒産した出版社から受けた仕事の後始末などで消えたんだよ!)

あ、最近動画配信サポートサービスも始めようと思いますので、格安でウェビナーなんかの録画をしたい企業様などはお問い合わせくださいね(急に虚空に向かって営業)。元ネタの記事を書いた増田の方もこれで満足していただけましたでしょうか……。

で、一応編プロとしてやっている売り上げをひねり出しているものの、将来のことを考えるとマジで不安なのは、やっぱり否定できない。自分の年齢だと、そろそろなにがしかの先生扱いされないとマズいよなあとおもいつつ、先生扱いを目指すと、先生として定着して成功するまで5年は無記名書名で稼いでいる売り上げの半額以上を捨てて、名前の出る書籍に取り組み続けなければいけない。でもそれで成功するかはわからない。

普通に雑誌で生計を立てているライターにとって、その選択はとりずらい。400万のうち半額を捨てて、さらに経費をぶち込んで、世間に認められるまで本を書き続けるとか仙人じゃないと無理だもの。なので、ライターとして大成するには、ライター業界で金を稼いでいないことが大事、とかトンチみたいなことになる。あとは、実家が太いかどうかとか。……アニメーターかな?

hehehe……。というわけで、野放図に自分の現状などを書き散らかして今日は終わります。これからちょっとコロナの持続化給付金の申請しなきゃいけないので!!

ちゅことで、久保内に何か質問がある方は、マシュマロを投げてみてください。30分で書ききるために、書かなくていいことまで書き飛ばしますよ!

あと、久保内のライター業界周りの繰り言は以下からいろいろ読めます。無駄にリアルと煤けた顔をした同業者から死んだ目でご好評いただいております。



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