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妄想ゴシップライターだらけのマスゴミ、信念はねぇのかよ、だぜ?5/21

 でた、純粋な悪意! マシュマロさんにとってこれくらいは受忍範囲ということなら、やってみましょう久保内ですけれども。

 ざっくり論点いくつかに分けてみますか。

1 ゴシップを書くライターは多いのか。 2 妄想で記事を書くライターは多いのか。 3 ライターにとって信念とはなにか。

Q ゴシップを書くライター多すぎない?

A 「ゴシップを書くライター」の時点ですげえ少数だよ! 妄想で、ってつくとめちゃめちゃ少ないと思いますよ!

 まあライターなんて言う不思議かつ少数かつ社会のどこにいるかよく分からない、その癖ネットではたくさん生息していて何となく偉そうな生き物見てると、反感を持つのは分かりますわ。別に理解したくもないけど何となくイラつくよね。そんな時に便利なのは、安いドラマに出てくる事件を嗅ぎまわるライター像と、マスゴミ幻想。あんな奴らが日本に10,000人とか20,000人とかいたらエライコトですよ。職業ライターの中でそれ系をやっている人は5%もいないと思います

 まず、ゴシップを取り扱う週刊誌って、そもそもすげえ少ないですよね。10誌あるかないか程度じゃないですか? で、その中にゴシップ担当のライターどれくらいいるかと聞かれれば多くて300人とかそういうオーダーなのではないでしょうか。その中で専業で食えているのは、さらに1/3で、100名とか……? 新聞記者もライターとするならもっと増えます(し、ゴシップ誌に情報提供&ライティングする中でそこそこの割合を新聞記者のお小遣い稼ぎが占めます)。こちらの週刊ゴシップ系ライターは、他のライター業界からも断絶したものがあるので、ちょっとだけかかわっていた10数年前の知識でしかありませんが、奴ら、マジで取材して裏取りしてますからね……。紙媒体は、一般人から見てクズなことをしていてもクズなりに真面目です。あんなに取材費少ないのに、ホントよくやりますわ……。日本を揺るがす大スクープをあげても、書いた本人大体2-30万円とかですからね。

 ゴシップ系週刊誌の仕組みとかギャラについては書くのめんどくさいので、ゴンザレス丸山さんのYoutubeでも見てください。続編には吉本芸人闇営業のスクープやったライターが出てきますよ! 金額感もわかるかと思います。

 ダレノガレさんの一件を質問主さんは言ってますよね。あの一件は、自分の妄想ですけど、このへんの週刊誌ライターが、裏取りはできてない新聞記者とかの飲み会とかからきいたウワサ話から仕入れてきたのではないかと感じます。で、Web記事なので裏取りする予算とチェック体制が緩くて、「とりあえず伏字にしておけば大丈夫でしょ(「噂の真相」系出版業界内慣習)」とやったのが、本人に突っ込まれた形だと推測します。

 結果的にその記述は間違いだったし、予算によるチェック機能の不完全さはあれど、一般的な用法での「妄想」ではないと思います。もちろん、ダレノガレさんには業界内慣習なんて知ったこっちゃないですから、あのようにガチンコに糾弾するのは当然だし、それで業界の認識が改まるのはいいことだと思います。

Q でもさ、妄想で記事を書くライター多くない?

A 妄想っていうのをいくつかに分ける必要があるかな。

1 故意にでたらめを書いてやろうとしているライター

 多くないよ! そもそも載せる媒体がないよ! 載せるとしたら紙面がその方針というか、思想や方針に合致していればOKという判断をするところだけだよ!

 じゃあ、思想や方針が狂っているところってどこだよってなると、「2ちゃん(今は5ちゃんか)ゴシップ系まとめWeb(バズればええやろ!)」、「ネトウヨ、極左、行きすぎた健康系(広告主が頭おかしい)など」。この場合も、ライターは掲載媒体の求めに応じるためにベストを尽くすという意味ではマジメです。

 まとめ記事系Webの倫理感までライター全般のせいにされても困りますねえ。その方々もライターには違いないですが、その段でいくと転売屋もビジネスマンです。自分は転売屋を否定するものではないけれど、転売屋を10年続けるうちにできてくる長年続けて恨まれない知恵のまとまりが「良識」というもので、生まれたての他人の赤ちゃんのうんこについて自分に責任を求められても……ちょっと……「立派なうんこですね」としか言いようがないですね……。もっと適当にいうなら、彼らの隆盛は、ライターの怠慢が生んだものではなくて、Googleのメカニズムの生んだ必然であり、Twitterのリツイートが生んだバケモノですよ。まとめブログを生む土壌はみんなの心の中にいる……(マジで適当になってきた)。

 で、掲載媒体の頭がおかしいケースだと、「アカヒ・ネトウヨ」の対立で相手を妄想だとののしるアレという今もっともビビッドで、妄想で片付られないアレでもっと根源的な問題です。

 もう1個挙げると、「占い」とか「女性とは…」、「男性とは…」、「ガンが消えた!」系。一番悪質なのが「ガンが消えた」系。これはそれを主張しているよくわからん医学博士の問題ですよね。そのインタビューして文章を起こすときの頭痛を考えると泣けます。「占い」系は、ファッション化された宗教なので、妄想というより共同幻想として、これまたほかの問題をはらんでおります。(WELQ問題も含む)

2 取材してないライターによるこたつ記事が間違っている

 これは反論できないな! しかも増えていると思う! 

 こちらも、月に20本やら30本やら書かないと生きていけない環境の中、特に編集・ライティング教育を施されることなく現場に突っ込まれた人が多くなってることがデカいと思います。

 こちらのケースでよく確認できるのが、固定観念や、間違った常識を鵜呑みにして、それを土台に立論すること。「子供の犯罪が増えているが……」、とかそういうの。

 また、紙媒体からWeb系の記事に主力がシフトするにしたがって目立つのは、「事実の伝達」から、「共感の伝播」へとライティングの軸足が変わっていっていること。

 共感させてバズらせて、親しみを抱いてほしい媒体が多いわけですね。書き口がコピーライティング的になっていっているといってもいい。「相手の心を動かす方法とは……?」とかnoteでもオススメされてるでしょ。

 共感されるには、「あなたと私は同じですよ」っていう言外のアピールが必要で、そのために固定化された常識を無批判に取り込むとか、ペルソナ(想定読者)という名の役職の決めつけ・性役割の固定化などが無意識化に行われやすいです。Twitterでの共感を求めるマンガの中にうすら気持ち悪いものが多いのはこれが原因です。

 ひとまず言えるのは、「『事実的に正しい』ことは、継続的な運用には保険的な価値はあるものの、その場その場ではコスト的に合わず良心まかせで経済的インセンティブがない。『共感を煽る』『バズらせる』ことには、経済的インセンティブがある」ため、固定観念におもねった「正しくない」記事が生まれる可能性は必然的に高まっているということでしょうか。

 現状、メディアの記事が間違っているときは話題になって糾弾される程度には、メディアの記事は普段はちゃんとしてるのは、そこで働く人たちがインセンティブがないにもかかわらず良心に基づいて仕事をされている結果だと思います。

 で、自浄作用ですが、ライターとか、ニュースサイトとか、メディアって許可制ではないのでね。その辺の山師が、できるだけ経済合理性にマッチしたサイトをやろう! と思ったら自動的にまとめ煽りブログになりますよね。「マスゴミなんてこんなもんだろ」って感じで、その下限を引き下げていく。まあわかります。それ以外の戦略でペイする方法は今のところ開発されていないですから。有料会員制とかも好奏しているところなんてほとんど聞きませんし、ブランディングしても売れるものはないですからPVに走るしかないですよね。

 メディアになると、人はお金払わず正確性を求めて、個人のYoutuberや、ごみビジネス本を出している人などのオンラインサロンに金を払う現在。

 これを、「メディアの信頼が揺らいでいるからだ。これからは個人の時代」とか言うのはクソ簡単ですが、その個人Youtuberや、ごみビジネス本作家などの運営する有料サロンの内実や出しているコンテンツの質こそ、「ゴシップで妄想を書く仕事」と言ってもいいレベルのものが多数ではあります。

 「マスゴミはクズ」っていうのは簡単ですが、「マスゴミはクズ!」と声高に叫んでいる人のコンテンツはマスゴミでなく単純にゴミではないか? と思うことが大事だと思いますよ。

 今日はこの辺で。1時間20分もかけちまったじゃねーか。

 ライター業界にかかわらず、よろず質問受付中。答えたり答えなかったりします。


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