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コロナで家賃減額は?大家さんはどうしてるかのお金の流れをざっくり5/8

コロナウイルス下の緊急事態宣言がばっつり長引いた情勢ですが、そこで大きくのしかかってくるのが家賃。家賃減額をできねぇかというのは借り住まいのアリエッティ達には大きな関心ごとでございますな。

自宅待機時間の長さ的には、時間当たりの家賃は減ってるからええやないかとかトンチかまされても、毎月の支出で無条件で一番多い家賃がかかったらふざけんなとぶん殴られそうです。あっ、久保内です。

本日のニュースで、中小企業や個人事業主に家賃減額補助が月額最高50万円(個人事業主は月額最大25万円)の範囲で助成する検討について大筋に合意したと流れましたが、そのためには無担保融資を受けなければならず、その後に融資に補填する形で給付金が入る的な、「ん? もっかい言ってもらえる?」みたいな面倒な方法をとるみたいなので、申請もきっと面倒になってくれることと思います

まあ、それでもひとまず、息をしてるだけでかかってくる家賃について補助が出るというのはよい報道だと思いますが、そこでのコメントで、「大家も稼いでるから減額に応じろ」とかのコメントが結構な割合になっておりますね。

なんで、政府じゃなくて、大家がまず補償しなければいけないのかと憤る姿はYoutubeのもふもふ不動産さん(毎日見ています!)が「賃借人も大家も同じ経営者にもかかわらず、大家だけがしわ寄せを喰らうのはほんとにやめてほしい」と憤っていらっしゃるのを見ていただくとして、

で、そんな世間一般の「大家さん金持ちだから血を流せや」圧力に、どう対処してるの? と思い、別件でちょいと仕事もあったので知り合いの大家さん数名にお話を聞いたので、今日はそのことについて書こうと思う。

まず大家さんと言っても、先祖伝来の土地を相続してそのまま大家さんになって拡大志向はないタイプと、事業として不動産投資に取り組んでおり銀行借り入れで土地・建物を調達し、それを貸しているタイプの二つに分かれます。

同じ敷地内に老夫婦の大家さんが住んでいて、月末に払いに行く、マンションの最上階が大家さんの家とかは前者のパターンで、その中の結構な割合は年金+家賃収入で暮らしてたりします。まあ、このパターンは貯蓄の多寡にもよるけど、数か月減額では「ひどい目にあったなあ」って思うくらいで終わったりしますが、マンションに建て替えて10年未満とかだとガッツリローンが残っているので後者のようなのっぴきならなさが漂ってきます。肌感では、今借りて住んでるマンションやアパートが築12年以下なら、家賃交渉は厳しいかも……。 Twitterで、優しい大家さんが家賃減額に応じてくれたという美談が回ってきますけど、その登場人物である大家さんが、育ちのよさそうな老夫婦だったり老婦人だったりするのは、「いい大家さん」の一般的なイメージっていうだけでなく、それなりの理由があるという感じ。

で、問題は後者のほうで、ぱっと見、金を持ってそうないい時計してそうな職業不明のおっさん的な職業大家さん・不動産投資家のほうが、金の余剰が少なく、今のこの家賃減額への社会的要請というか圧力にかなりナイーブになっている模様。

彼らは、銀行から融資を受けて土地建物を買って、その返済をしながら、賃借人に家賃をもらうというビジネスモデルをしている。で、仮に家賃が0になった場合、収入がゼロなのに、返済は待ったなしということになるワケ。

ここで問題になるのは、『家賃-(銀行への返済+固定資産税+管理雑費)』がふつうどれくらい残るの? って話なんだけど、地方のアパートなんかで条件のいいものは利益率20%とかで回るものもあるっちゃあるけど、都心なんかは3%とかもザラ。大体は5%-12%とかの、商品がなくならないからこそできる!的な薄利で回しているのが普通だったりする。まあ8%あたりで考えると(都心部では5%いかないくらい?)1年のうち1か月空室だっただけでも、その部屋の収支はトントンか赤字になるというワケ。現在コロナの影響をもろに受けている人からすると絶対足りないし不満も残るだろう「二カ月間家賃半額」をやっちゃうと、もう大家は管理だけして手残り一銭も残らないというのが実態。

でも、コロナで賃借人が破綻とか夜逃げとかされたら、このご時世引っ越し需要もド低迷しているので、半年、一年とかの期間の空室だって十分あり得るし、逃げられたらかなり管理経費もかさむ……。夜逃げした人の残置物勝手に捨てたら訴訟して負けたりするし、保存しなきゃ……。

とはいえ、個人の裁量で家賃減額を飲まないと生き残れない程度の経済力の賃借人に手を差し伸べても、この後の冷え切った経済で生き残れる保証はない。結局破綻されるとしたら家賃減額分余計にとりっぱぐれただけになる。

というワケで、家賃減額への圧力が高まることに大変な警戒感をもっている大家が多かったですね。「個人的な信頼があって減額するのは、自分の責任だから分かるが、一方的に減額通知の手紙を送ってくるケースも聞き、そうなるとこちらも態度を硬化せずにはおれない」というのが数人のサンプルに過ぎませんが全体を漂うムードでございました。

というわけで、そんな大家さんズにどんな対策とってんの? ってきいたところ、「とりあえず管理会社に連絡して公的融資・補助のパンフ、お知らせを作って手紙で賃貸借人たちに送った」っていう人が。

これは、有益な情報を送るという体面を保ちながら、賃借人も大家も同じ被害者なのだから、補償は国に求めてねという無言の減額要求へのけん制としてなかなか優れているなと思いました。

ザッと話きいて、いつもは新製品のカメラが出たら即買ったり、引けもしないギターを集めまわったりしてる憎き妬むべき、俺よりいつも一歩先行く趣味友だちの大家もそれなりに大変で、銀行さんの顔色を窺って生きているんだなと優しい気持ちになりました。

今日はそんなところで。



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