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箕輪厚介炎上。出版中止でギャラ支払いナシって、よくあるの?

はい、よくあります。そもそも、出版業界の慣習として、出版契約書が書面で結ばれるのは、出版確定後で印刷終わってからってことが大体です。さらに契約書もないままに出版される数もかなり多いんじゃないでしょうか。これでも、出版契約書を書面で残すことが増えたと思います。増加の原因としては、下請け法とかではなくて、電子書籍版を出版するために権利を確定しておきたい出版社の都合という面が強いのではないでしょうか。出版って、あくまで紙に印刷して書店流通するための権利でしかないので、原理的には出版契約だけしかしていない本の電子版を著者が自分で出しても出版社は拒む権利がないんですね。

自分自身も、文章を書くだけ書いて送付して「受け取りました」と言われても、そのまま企画がポシャッたり、レーベル自体がなくなったり、編集者が精神を壊して出版社を労働環境で訴え始めたりと、ちょっとその話後でしてくれない? となることはかなりあります。

これまで、新書を書きましょうと6回くらい持ちかけられ、3回くらい途中まで書いたりしましたがどれも実現していないんですよね……。いろいろあるんです。

このnoteに発作的に貼り付けているアイドル関連の文章も、校閲前・編集前の荒書きですが依頼されて単行本用に作業していたものです。「坂道登って出社するのがしんどいから出社拒否になったらしい」とか聞かされてもビックリするよね。まぁ面白くて爆笑したので、「爆笑したら負け」自分内ルールに則って、まあいいかなと引っ込めました。

逆に言うと、よくある話だからこそ、暴露したライターの女性は一貫してセクハラムーブにたいしてずっと耐えて受け流す返答をされていたわけです。3か月くらい他の仕事を減らして、必死で書いた原稿を一蹴してもなお、ふつうに飯を誘い、誘われたらありがとうございますとお礼を言うくらいの構造的な力の差がそこにはあります。ほんとになんとかならんか。

ちなみに、「支払わない!」と言われてもそうですかという必要はありません。契約は原則的に双方の合意があったとみなされる時から発生するので、実作業にかかった時間や経費などは請求できます。ま、支払わないと言っているから、内容証明や裁判ということになりますが。そうなると、業界内で力の強い人と会社を敵に回すということになるので、なかなか力の弱いライターが踏み切るにはパワーが必要です。正直、泣き寝入りする人のほうが多いんじゃないでしょうか。「次はちゃんと儲かる・売れる企画優先的に回すので……」という果たされない約束を胸に抱いて……。

自分のばあい、「あの企画没で」とすでに動いていた3冊を全てナシにすると言われて驚愕したことがあります。なにか怪しい気配を感じたため、版元編集者の直属の上司にメールと電話で聞いたところ、編集企画会議で決まっていないうちにGOを出しており、全部担当編集者の独断だったということが発覚したことがあります。その時はさすがにメールのやり取り全部と成果物と台割を送付して、社長が謝りに来る事態になりました。正座する自分より年上の社長さんみるの、つらかったなあ……。あ、その後倒産されて売掛金150万くらい飛びましたけど。こちらからはライターさんに支払いしたので、230万円くらいへこみましたかね……。

話はそれますけど、自分のライターデビュー当時のはじめての単著(名義は適当な〇〇委員会とか)が出版されたときのこと。すでに書籍販売後、販売部数・増刷部数を伏せて「契約書をそろそろ作ろうと思うんですが、この本は、買取でよかったですよね」と、当時はまだいたいけだった自分に提案。「印税なら初版全部売れて50万円くらい。買取なら80万円くらいかな」と聞いて買取を選択。その時にはすでに3刷りで、その後3万部を超えたと知ったのは半年後でした。あの出版社は重版情報など一切言ってこなかったな……。ちなみに酒の席で、「3万部売った本作ったけど、印税買取にしたから丸儲けで社長に褒められた」と俺の前で自慢していました。書いたの俺だって忘れてたんですね。これも爆笑したので許した

今日はこの辺で。

質問などありましたら久保内にマシュマロを投げつけてもらえると答えたり答えなかったりします。



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