ライターが逃げた! 編集者が病んだ! ダイアル119を回せ! 6/27
やっと校了を終えた瞬間、次の案件がコロナで飛んで薄めになっていることに気づいて震え始めた久保内です。ご依頼待っていますね。
で、以前noteに適当に「インタビュー.mp3の拡張子をtxtに変えただけで、原稿ができたと納品してきたライター」の話をしたら、各種メッセンジャーアプリやTwitterのDMで来るわ来るわ、「それ誰ですか!」の山、山、山。
ついでに、「じゃあ、お前の体験した面白い体験教えろよ」と聞いたところ、皆さんとっても素直にいろいろタメになる経験を教えてくれました。でも、「あ、今僕顔の半分がマヒして動かないんですよ。飲み物飲んだら左からだらだら垂れてくるんですけど、どうしましょうか」っていうのは辞めろ。
ということで、「ヒェッ」っとなったイイ話を、誰からの口からは秘めつついくつか紹介していきたい!
1 シンプルにライターが逃げた時どうすんの?
まずはチュートリアルから。締め切りが過ぎても、原稿が来ない。これはなんていうか通常業務のウチで、Twitterでも覗いたら楽しそうに会話したりRTしたりしているライターを確認できるケースが8割。
「そんな時は、原稿を送ってこないライターのすべての発言に『いいね』マークを黙々とつけますね」
で、残り2割はSNSを確認しても生命反応が確認できない場合。電話をして出るのがそのうち半分。まあ大体風邪だったり、原稿にマジで詰まっていてわけわかんなくなったりしてる。相手と話せるので、善後策を講じます。
最後は電話にも出ないケース。こうなると、「え? 俺が確認しに行くの? 原稿が欲しいだけなのに?」と悩むことになる。こっちも締め切りで忙しいのに、他人の生き死ににかかわり合いたいとは思えないッ! でも知らない仲でもない! でも早く状況を確認して、原稿を他の人に頼みなおすか、徹夜で自分で何とかするかを決めなきゃならないッ!
相手とそう親しくない場合は、4通ほどメールを出して留守電を2個ほど残した後に、「残念ですが、他の方に……」と断りを入れることになるんだけど、そういう決断をしたときに限って、メール出すか出さないかの時に「お待たせしました!」とマジで待たせた上に妙に荒い原稿が送られてくる。
妙に荒いけど2-3時間みっちり赤を入れるか、断りを入れてこちらで修正したものを正としていいと言質をとればなんとかいけなくもないかな? と悩むくらいの微妙なブツが。
これが原稿数個頼んでいるレベルじゃなく、ムックで32pとかラフまで頼んでいる場合、他の人に頼む時間的余裕などほとんどなくなっている。そうなると、「風邪大変ですよね」という体裁をとって、ウイダーインゼリーとポカリスエットを買って、ライターのマンションに行って様子を見に行く羽目になる。寝たいのはこっちだわ! と思いながら。
もうそこまで行くと、編集の心の中は「居ないでくれ」が8割だ。なぜなら! もしいても! 原稿ができているとか! ある程度手を付けている可能性など! ないのだから! もししていれば、メールしてくるのだから!
うっかり居たばあい、見つかってしまったからにはそのライターと共に善後策を考えたり、下手したら病院にご一緒して介護までしなくちゃいけなくなる。「居ないでくれ。せめて、電話を止められているくらいでいてくれ」と祈りながら呼び鈴を鳴らすことになる……。どう転んでもそのドアの向こうにはさらなる面倒しか転がっていない。
そして、呼び鈴を鳴らした後のことについては……本当に様々なことが待ち受けているので、ここではすべてのことに共通する一点のみ書いておきたい。
発注した編集者の睡眠時間が死ぬ。
2 逃げないけど、こっちが逃げ出したくなる編集者
全然ラフも原稿も送ってこないので、「そろそろ間に合わないですよ」と催促したら、「すみません、毎日わんぽ(犬の散歩のこと)しなくちゃならなくて」と言い訳される
3 なぜか差しだしてくる名刺が「mensa」のもの。
mensa は 上位 2 %の IQ (知能指数) を持つ人達が参加する国際グループ。声優の小岩井ことり先生が加入されたことで有名な組織。
でも、初対面の顔合わせのときにmensaの名刺をまず渡してくるのはどうなのか。その後、mensaがどんなに凄いかを20分ほど拝聴する羽目に……!
4 一緒に何冊も本を作ったはずなのに一度もあったことのない編集者
打ち合わせしましょう→すみませんメンタルの調子が→校了お疲れさまです、打ち上げやりましょう→すみませんnメンタルの調子が。
締めきり終わった瞬間に熱が出ることなら自分もよくあります。気を張っていたんですね。幽霊説が出たらしいです。
5 躁鬱のボクを止めてくださいとメールしてくる編集者
ムックを受注し、一部をフリー編集者に任せたケース。インタビュー5人の候補出しと、打診・ギャラ交渉・実施から原稿納品までを発注。
候補者を15人ほどメールしてきてくれたので、8人選出し、頭から交渉して5人確定させてくださいと指示したところ、依頼から3日で6人のOKを取り付けてくる。120%の達成率は優秀!
いや、なんで一人多いんだよと確認したら、いつの間にか打診候補が25人を超え、すでに12名にメールで打診済だと判明。そのことを書いたメールに「やりたいテーマだったので、本気出してます!」と誇らしげに書かれている……! 予算もテーマも紙面も有限! どうすんだよ!
とにかく打診は辞めろとメールして、事情を聴いて「どうも様子が変だ」とその後の実務は、引き取ることに。
普通はそこでどうにかなるところだけど彼は止まらない。二日後にさらに「追加で四人OKでました!」とのメールが……! さすがに実務引き取ったのに何してんだよ!!! さらに「僕は今、躁状態なので、迷惑ならとめてください!」って書いてるー! すでにとめた! 超止めたし、取り上げたよー!!
結果、その本は予算感に見合わない豪華インタビュー記事が満載で、非常に版元受けが良くなったとのこと。
4 坂道がつらくて出社できないから、会議に出席出来ないので企画中の本の可否を検討する段階にないという編集者。
いました。
5 副業が忙しいからなぜかバイトを個人裁量で雇って代わりに出社させる版元編集者
いました。そこの社長は「あの机に座ってる若者は誰だろう?」と思いながら二週間見守ったそうです。
6 家だと作業できないといい、泊まり込みで作業をしに来たら、事務所の窓の桟に飲みかけのコカ・コーラを毎日三本づつ並べていくライター
締め切りが終わっても五日間帰りませんでした。
7 久保内さん、.mp3を.txtにして納品してきたエピソード笑いました! ところで、これを見てみてください。うちはもうちょっとマシで、インタビューのmp3と、拡張子が内容はtxtのフォーマットに合致したものを送ってくれましたよ。
ええと、この後面白い画像が送られてきたんですが、「無料だと怖いから有料部分に貼ってくれ」とのリクエスト。課金手段にこまっていたとこ・・・ 仕方ないなあ! 有料です! あるのは画像1枚だけ! もの好きだけどうぞ!
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