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強い選手は、特別なことをやっているのではなく、普通のことをちょっと工夫してやっているだけです。│世阿弥の『風姿花伝』を卓球にフル活用しよう!⑦(終)
花伝第七 別紙口伝
そもそも因果とて
申楽の道を極め切ってしまえば、花といっても何か特別な芸があるわけではないと知ることになる。 あらゆる能を演じこなし、その演出を工夫し尽くして、どんな場合にも新鮮な感動を生む、そのための道理を悟るのでなくては、花は決して生まれることはない。
我々一般人からすると、プロの卓球選手は特別なことをやっているように見えます。
すごく難しい強打をやっているように見えます。
だから、我々一般人も、勝つためには難しいことをやらなきゃいけないように感じます。
しかし、実際にプロの卓球選手がやっているのは、主に「普通のこと」です。
強打をしているのは、態勢がしっかり作れているときだけです。
チャンスボールに対して、しっかりと攻撃の態勢が作れているから、強打ができるわけです。
ドライブが来ても、コースを読んでしっかりそこで待ち構えているから、カウンターができるわけです。
プロの卓球選手は、こうした態勢づくりが上手いから、たくさん強打ができるのです。
また、プロの卓球選手といえども、態勢が作れないことだってあります。
むしろ、態勢が作れないことの方が多いです。
そんなときは、チャンスボールが来ていても無理に強打はしません。
態勢が作りきれていないときは、軽く攻める程度にします。
態勢が全くできていないときは、繋ぎます。
プロの卓球選手は、「無理をしない」という判断が上手いから、ミスが少ないのです。
つまり、プロの卓球選手は、
「打てるボールだけ強打して、それ以外は繋ぐ」
という、ものすごく普通のことを、高いレベルでやっています。
しかし、プロの卓球選手の表面だけを見て、
「プロの卓球選手は強打をたくさんしている」
という部分だけをマネしても、上手くいきません。
態勢ができていないのに無理に強打をすれば、たまに入ることはあっても、安定して入ることはありません。
それで、
「試合で実力が発揮できない…」
と言われても、そんなギリギリのプレーが本番で上手く行くわけがないのです。
なので、
「自分の態勢を気にする」
ということを、普段の練習から常にやってください。
そして、態勢が作りきれていないなら、
「甘いボールが来ても無理に強打しない」
ということに慣れてください。
プロの選手の、無理のない普通のボールこそ、マネをしてください。
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