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アランの『幸福論』を卓球にフル活用しよう!②/5

動作が情念を消し去る

「舞台に立つのを死ぬほどこわがっていたピアニストが、演奏し始めるやいなやたちまち直ってしまう」

【17.体操】

僕は元お笑い芸人なので、このピアニストの気持ちが分かります。

舞台袖にいるときは、めちゃくちゃ緊張します。

「ネタが飛んだらどうしよう…」

「噛んだらどうしよう…」

「スベったらどうしよう…」

そんな恐怖感で頭がいっぱいになります。

しかし、いざ舞台に立ってしまえば、夢中になってネタを進めていきます。

さっきまで頭を支配していた恐怖感が、きれいさっぱり消え去ります。



夢中になって体を動かせば、情念は消え去るのです。



卓球は、間が多いスポーツです。

一試合のうち、ラリーをしていない時間が大半です。

ラリー間の、体が止まっているときに、情念は復活します。



なので、緊張しているときは、常に体を動かしましょう。

足を動かしても良い。

手を動かしても良い。

表情筋を動かしても良い。

とにかく夢中になって、体を動かしましょう。


苦労に満足することで苦労に対抗する

「寒いな。身を切るようだ。これが健康にはいちばんだ。」
これに勝る態度はない

【20.気分】

苦労があるというのは、幸せな証拠です。

それが卓球に取り組む意義になりますからね。



なかなか技術が身に付かないときに、

「全然できない…」

と悲観するのではなく、

「これができるようになるまでは卓球を辞められないな。
よし、卓球を続けるぞ!」

と、苦労をポジティブに捉えるのです。



上達するから楽しいのではありません。

楽しいから上達するのです。

なので、苦労を楽しめる人は、必ず上達するのです。


人は悲劇のヒロインを演じたがる

「私たちはどんなことにも自己陶酔できます。
トランプに負けた自分に酔いしれる人を、私はかつて見たことがあります。」

【21.性格】

人間は、苦しいことを周りにアピールします。

「全然上達しない私を見て!
そして励まして!」

「スランプになった私を見て!
そして励まして!」

「ネットインを連発された、かわいそうな私を見て!
そして励まして!」

このように、悲劇のヒロインを演じたがります。



本当は、そこそこ上達してるし、多少ミスが多い程度だし、ネットインを数回しか食らっていません。

でも、注目を浴びるために、大げさに言います。



すると本当に、全然上達しないと思い込み、スランプだと思い込み、ネットインを連発されたと思い込むようになります。

そして思い込むと、悲劇は実現します。

上達しないと思い込んでいるから、努力する覚悟を持てなくなり、本当に上達しなくなります。

スランプだと思い込んでいるから、体が固くなり、本当にスランプになります。

そこまでネットインを連発されていないのに、連発されたと思い込んでいるから、投げやりになって適当に試合をします。



悲劇のヒロインを演じると、本当に悲劇が訪れるのです。



本当に大切なのは、自分を許すことです。

「いや、上達しないのは今だけなのかもしれない!」

「いや、スランプにしてはよく打ててる!」

「いや、ネットインを連発されてもそれを乗り越える力が俺にはあるはずだ!」

まずは、自分を許してあげましょう。


どんな気質も美しい

「どんな運命もそれをよいものにしようと欲するならば、よい運命となるのだ。」

【22.宿命】

卓球は特に、不運な気質というものがありません。

「センスが無い…」

「背が低い…」

こんなものは、弱い人間がこぼす愚痴に過ぎません。



センスは努力でカバーできます。

背が低いからこそピッチで勝負できます。



どんな気質も美しいものに変えらるのが、卓球というスポーツです。

その気質が、独自のプレースタイルを創り出すことだってあります。



丹羽孝希選手は、かなり小柄です。

体格には全く恵まれませんでした。

でも、それを言い訳にはしませんでした。

そして、パワーで劣るからこそ、相手のパワーを利用する「稲妻カウンター」というスタイルにたどり着いたのです。



自分の初期能力を嘆いても、何も変わりません。

「もっとセンスがあれば…」

なんて無駄に考えてないで、練習しましょう。

大切なのは過去ではなく、

「今、何をするか」

なのです。


予言があなたを苦しめる

「聞いてしまった言葉は、記憶にずっと留まり続けます。
そしてふとしたときに夢や想像の中に現れては、あなたを少しずつ不安にさせるのです。」

【25.予言】

「お前は9-9から勝てない。」

こんなアドバイスを、僕は聞いたことがあります。

しかし、これは悪い予言と同じです。

言うべきではありません。



「9-9から勝てない」

この言葉を聞いてしまうと、今後の試合で実際に9-9から負けたときに、

「言われた通り、やっぱり負けるんだ…」

と、負けが強く印象に残ります。



一方で、9-9から勝ったときは、特になんとも思わず、すぐに忘れてしまいます。



つまり、実際は勝ち負けが半々、あるいは勝つことの方が多くても、自分の脳内では、ほとんど負けているような印象になってしまうのです。

そして徐々に、9-9に対してアレルギー反応が起こり、体が固くなり、本当に9-9から勝てなくなってしまいます。



予言は当たるようになっているのです。



だったら、

「お前は9-9からが強い!」

「私は9-9からが強い!」

というような予言を、嘘でもした方が良いですよね。

きっと、嘘から出たまことになることでしょう。


周りのせいにする人は幸せになれない

「周りの事物や人びとの中にいつも言い訳を探している人間の姿をしたロボットなど、どうしようもないではないか。
そこにはどんなよろこびもない。」

【26.ヘラクレス】

相手のせいにする人は、幸せにもなれないし、強くもなれません。



「相手の球質が変で、全然ラリーにならない!」

こう文句を言う人がいます。

その球質に慣れる努力をしようとはせず、相手を批判することに一生懸命になります。

こういう人は、試合でもボールが合わなくて、すぐに負けます。



そうではなく、

「こういう球質の人と試合で当たっても大丈夫なように、慣れておこう!」

と考えるべきです。

そうやって努力すれば、試合での対応力がつき、勝ち上がれるようになります。



他にも、

「コースがバラバラで練習にならない!」

「ボールが遅くて練習にならない!」

「床が滑って練習にならない!」

「湿気があって練習にならない!」

こういうのも、同じです。

周りのせいにしても、成長はできません。



卓球の試合は、あなたが気持ちよくプレーするためにできてはいません。

相手も勝ちに来ている以上、思い通りになんてほとんどいきません。

そんなことも忘れて、思い通りの練習をしようとするのは、強くなる選手のやり方ではないのです。


求めないと、与えられない

「われわれの社会は、求めようとしない者には何ひとつ与えない。
辛抱強く、途中で放棄しないで求めようとしない者には、とぼくは言いたい。」

【28.人はみな、己が欲するものを得る】

新しい技術が身に付くかどうかは、本気でその技術を欲しているかどうかで決まります。

「絶対にチキータをマスターするんだ!」

と固く決意し、辛抱強く練習し続ける人は、必ずチキータができるようになります。



何も身に付かない人は、本気では欲していない人です。

すぐに諦める癖がついてしまっています。

何球か打ってみて、

「ちょっとムリそうだ。」

別の技術を何球か打ってみて、

「これもちょっとムリっぽい。」

そんな調子で、何かが身に付くわけがありませんよね。



技術習得に向けて、努力をコツコツと積み重ねる。

卓球というスポーツは、努力を正当に評価してくれるのです。



「努力してるのに、全然上手くならない…」

この発言は、ほとんど諦めている人の発言です。

本気で求めることを辞め、悲劇のヒロインを演じるようになってしまっているのです。



アランの『幸福論』を卓球にフル活用しよう!①/5
アランの『幸福論』を卓球にフル活用しよう!③/5

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