富岳、富嶽
コンピューターの「富岳」が世界一になったとのニュースが飛び込んだ。喜ばしい限りである。どこかの議員さんがNo,2ではだめなんですか?と叫んでいたが、やはり世界一は誇れることである。
「富岳」と言えば「北斎」。2015年秋に、東京目白台にある細川家の永青文庫で開催された春画展に行ったことを思い出した。
日本の浮世絵の大半が海外に流出しており、これを1箇所に集めること、しかも春画だということ、日本では会場に困ったらしい。
当時、永青文庫の細川護煕さんが「春画は日本芸術の華のひとつ。既に無修正での出版物が流通しているのに本物が見られないのはおかしな話。タブーは破っていかなければならない。義侠心で(開催を)引き受けた」と新聞で読んだ事を記憶している。
展示は120点、内70点は大英博物館所有のものであった。会場は満員で海外の人、若い人も多く、肉筆、版画とも大迫力で、200年も前の浮世絵師たちの発想と構図とサービス精神の豊かさに驚いたものである。
この浮世絵の展覧会のキャッチコピーが「世界が先に驚いた」とあった。先ほどのコンピューターではないが、日本人が「日本の素晴らしさ」に気づかないことを情けなく思うのは私だけであろうか?
その後、シカゴ美術館、メトロポリタン美術館で実際の「北斎」を見た。特に「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」はサイズの小ささをものともしない大迫力であった。
ドビュッシーが音楽で、ゴッホ、モネ、セザンヌといった多くの画家、ガラスのガレが影響を受けた大画家だと知り、しばらく「北斎」にいれあげたものである。
この展覧会を主催した細川家ご当主は、ご自身で陶芸もやられる一代の文化人でもある。面識は一度か二度であったが、私を「北斎」へと導いてくださった大恩人であり感謝しかない。
そして、久し振りに「北斎」を思い出させてくれたコンピューター「富岳」の快挙に心からの「おめでとう」と「感謝」を!
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