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気になるシンガポールの日本酒事情

平日会社員の唎酒師です。
連日猛暑ですね。
外を出歩くに気になれないので、仕事がない週末はエアコンが効いた室内に引きこもっていますが、これはこれで何だか気が滅入ります。
早く涼しくなって週末の1日ぐらいは電車に乗って遠出をして、ゆっくり寺社仏閣を巡ったり山歩きをしたいです。

唎酒師として、今年4月より家から気軽に参加できる『日本酒ラボ at HOME』を立ち上げました。自分のできる範囲で月1回オンライン日本酒会をしたり、週1ペースで30分程度のライブ配信をしています。

先日、「気になる海外の日本酒事情」をテーマにオンライン日本酒会を開催しました。

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大阪、岡山、シンガポールからご参加いただき、

海外ではどのように日本酒が楽しまれているのか、
どんなタイプの日本酒が好まれているのか、
日本酒のどのような点に注目されているのか、

みなさんとざっくばらんにお話ししました。

シンガポールの日本酒事情

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写真はシンガポール人が経営する日本式居酒屋さんです。
まるで日本にいるようかのような内装で、メニューも徹底的に日本を再現しています。日本酒の種類も豊富で、食中酒に最適な日本酒が数多く並べられていました。

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シンガポールでは日本食ブームに追随して日本酒の人気が急上昇。
日本からの輸出金額は7番目に多いです(ちなみに1位はアメリカ合衆国、2位は中国)。国土面積が東京23区ほどで人口約563万人の小国ではありますが、日本酒が親しまれていることがうかがえます。

シンガポールで蕎麦レストランを経営し、日本酒の提供・販売もされている『Healthy Soba IKI』さん(以下、IKIさん)に今現在のシンガポールの日本酒事情をお聞きしました。

シンガポールの食事のスタイルは、「ごはんとお酒は別々にいただく」。日本のように同時にとることはなく、ごはんが終わったあとに場所を変えてお酒を飲むそうです。

しかし、日本食・日本酒到来により「お酒を飲みながらごはんを食べる、ごはんを食べながらお酒を飲む」日本の食事スタイルが受け入れられつつあります。日本酒が「食中酒」として浸透してきている証です。

価格面は、4合瓶(720ml)で約1万円(!)。そもそもシンガポールはお酒の税金が高く、国内では「お酒は高くて当たり前」です。日本酒は輸入をしなければならないので、税金に加えて流通経費がかかります。諸々考えると4合瓶で1万円は然るべき価格なのでしょう。

日本酒を取り扱うIKIさんが日本とシンガポールのマーケットを見て、常々思うことをシェアいただきました。

シンガポールでは日本酒は本当に高い。でも、好きな人は高くても飲み、ライフスタイルの一部となっている。技術・味ともに素晴らしい日本酒が日本で安く買えることがうらやましいと思う反面、何だか”もったいない”と感じている。

日本酒の価値。呑兵衛で冷蔵庫に常時日本酒を置き晩酌で飲んでいる身としては、できれば手に入りやすい価格で流通してほしいです。でも、これは自分の生活基準、モノサシでしか物を言っていない。

蔵人が重労働のすえに造り出した日本酒の価値のつけ方、伝え方をどのようにつけていくのか。唎酒師として重要課題です。 ホリエモンチャンネルのこちらの動画を視聴して、気を引き締めた次第です。

コロナの影響で、シンガポールの日本酒需要はますます上がっています。自由に旅行できない、日本へ行けない、5人以上集まっての外食はできないため(2020/08/22時点)、自宅で飲んだり少人数で日本酒を楽しむケースが増えているようです。

娯楽、リフレッシュの手段が外へ出向く「旅行」から、内で過ごす「家飲み、少人数の食事」にシフトしつつあるのではと思いました。

シンガポール人の日本酒の嗜好は数年前に比べると、とても幅広くなっています。香り高い大吟醸、純米吟醸だけでなく、生酛・山廃など様々な造り、味わいの日本酒が飲まれています。「フルーティー・甘い」だけでなく、「ドライなもの」、「旨味を感じるもの」と好みの味をリクエストするようになり、IKIさんの日本酒のラインアップも販売開始当初から随分変わったそうです。

シンガポール人が多様タイプの日本酒を飲むようになった今、IKIさんが次に注力するところは「ペアリング」です。食中酒としての日本酒の魅力を「ペアリング」を通して表現し、「新しい日本酒の楽しみ方」をシンガポールに提案したいとのこと。

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平日会社員の唎酒師は「ローカルフード」と日本酒のペアリングに挑戦したい!シンガポールの屋台「ホーカーズ」には、日本酒に合いそうなローカルフードがたくさんあります。次回シンガポールへ行くときはいくつか日本酒を持ち込み、いろいろ試してみたいと思います。

以上、シンガポールの日本酒事情でした。

海外で高まる日本酒需要、これからもしっかりチェックして唎酒師の活動の幅を国内にとどまらず海外にも広げてまいります。

がんばるぞー!


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