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Orpheus - David Sylvian (1988)

石だらけの地面に踏ん張って立ち
強く吹きつける風に服をはためかせながら
いつもの悩みを心に抱え
新天地を目指す誘惑と 過去にしがみつく誘惑の狭間にいる
暗闇と薄明かりの合間を行き来する人生の景色と格闘し
その果てに耳にする恐怖の言葉を乗り越えようとするが
オルフェウスは仰向けになって眠り続け
その口を閉ざしたまま

日差しを受けて 私はのびのびと腕を伸ばす
この世界で触れる美しさは拒むことができない
階段を転げ落ちて次々と割れる瓶は
私が一顧だにしなかった大勢の人々
沈没船の底を砦のように覆うのは
悔いもなく貪ってきた愉楽
手にしていた持ちものは潮流に呑み込まれたが
オルフェウスはいまだ約束を破ることなく
私のそばにとどまる

教えてほしい、私の学びには終わりがないから
分かるだろう、この炎は決して絶えないことが
信じてほしい、こんな戯言を笑うのにも倦んだとき
私のオルフェウスが あの約束を唄にして聞かせるのだと

漕ぎ出す船に眠る人々は覚める気配がない
あなたも 天候も 私自身も希望を捨ててしまったけれど
私たちの身に降りかかった困難のすべては
生の燃料となり 課せられた荷となった
天国と地獄のせめぎ合いはまだまだ続くが
その途方もない泡沫 (うたかた) から
私たちを庇ってくれるのは
明日の安らぎを約束するオルフェウスの唄声

教えてほしい、私の学びには終わりがないから
分かるだろう、この炎は決して絶えないことが
どうか信じてほしい、こんな戯言を笑うのにも倦んだとき
私のオルフェウスが あの約束を唄にして聞かせるのだと

https://youtu.be/uY2IEXxEVvM?si=XLuUXj8FkwV9RmXi


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