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結局ヨガ哲学って何なの?(後編)

前編はこちら

昨日に引き続きガチなヨガ哲学のお話です。
昨日はインドで哲学が生まれた背景についてお話しました。今日は6つに別れた哲学の流派についてのお話です。



六派哲学

インドの哲学は以下の6つの流派に別れました。

①サーンキヤ学派
②ヨーガ学派
③ミーマンサー学派
④ヴェーダンタ学派
⑤ヴァイシェーシカ学派
⑥ニヤーヤ学派

昨日話したように「ヨガ哲学」という言葉は漠然としています。ですので、今日はヨガの世界でよく議題に挙げられる流派である①~④の哲学体系の特徴を簡単にご紹介します。



サーンキヤ学派とヨーガ学派

①サーンキヤ学派は、いわゆる魂と呼ぶにふさわしい普遍なる存在としての純粋意識「プルシャ」と、根本原質「プラクリティ」の2つを基本に立てる哲学体系をとります。この2つを混同することにより、プラクリティの3つの性質であるサットヴァ(純質)、ラジャス(激質)、タマス(暗質)のバランスが崩れ、その結果、現象世界が生みだされると考えられています。

つまり僕たちが今観ているこの世界やそれを認識している心や意識なんかも、全てプラクリティが創り出した現象世界ということなのです。
この苦に満ちた世界から解脱するためには、プルシャとプラクリティは全くもって交わらない別の次元のものなのだという識別智(ヴィヴェーカ・キャーティ)が必要だとしたのがこのサーンキヤ学派です。

②ヨーガ学派は、先ほどのサーンキヤ学派の基礎を取り入れた姉妹学派とも呼ばれます。ですが「イーシュヴァラ(自在神)」を認めるかどうかは異なっています。

ヨーガ学派は「イーシュヴァラ(自在神)」の存在を重視していて、ヨーガ学派の経典であるヨーガ・スートラでは「イーシュヴァラ(自在神)」についての記述が数多く見られます。

ヨーガとは心の働きの止滅を意味していて、瞑想や身体鍛錬によって解脱を目指すという、単に哲学という言葉では語りつくせない、ある意味独特なシステムなのです。



ミーマンサー学派とヴェーダンタ学派

③ミーマンサー学派は、昨日お話したヴェーダの儀式の解釈を徹底した学派です。僕たちが学んでいるヨガの世界観はヴェーダのような祭祀主義から生まれたことは間違いないのですが、その本質的部分はというと神秘主義の思想が詰まっています。そのため、ヴェーダの儀式を専門とするミーマンサー学派は馴染みが少なく、いわゆるヨガ哲学には属さないと考える方が一般的です。

④ヴェーダンタ学派は昨日お話したとおり「ヴェーダの終わりと知識のはじまり」を意味していて、インド哲学の発祥の存在と言っても良いでしょう。

宇宙原理「ブラフマン」と個体原理「アートマン」は本質的には一緒であるという、いわゆる「梵我一如」の思想がこのヴェーダンタ学派です。

ヨガでは「全て一つ」「繋がる」といったキーワードをよく耳にしますが、これはヴェーダンタの思想が由来なのです。

...

ということで今日は6つに別れたインド哲学の中から、いわゆるヨガ哲学に近い学派の解説をしました。
まあこんな専門的な内容を理解するよりも、今日1日を穏やかに過ごすことの方が大切ですので、ぜひ心穏やかに、深呼吸を入れながら過ごしてくださいね。

おわり

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