どんな顔をして、働けばよかったのか。
がんばっても報われない。
たぶんほとんどの人がそう感じていると思う。
みんな自分の事で精いっぱいで、
言いたい事を言いやすい所にぶつけ、
文句を言いながらなんとか今日をやり過ごす。
働き始めた20代の頃、私が一番避けたかった状況だった。
今、30歳を超えてまんまとなりたくなったおじさんになりつつある。
最初に得た仕事は、輸出入される貨物の配送や通関を手配する会社の事務だった。
グローバルで専門的な知識もつきそうで楽しそうだと思ったのが、選んだきっかけだ。
「どうせ死ぬまで働くんだ、楽しまないと。」
そんな前向きな気持ちだってあった。
自主的に勉強もしたし、自ら進んで仕事を探した。
「何か僕に手伝える事はありませんか?」ってな具合にね。
今ならわかる。
非常に目障りな奴だったろう。
やることなら無限にある。
仕事はいつも引き受けてくれる人を探している。
悠長に教えている時間などない。
次から次へと発生し続ける問題を、誰かが解決しなくてはならない。
ニコニコしてられる内はプロではないのだ。
そんな苦労がわかり始めた頃、私はまだ最若手だった。
高齢化社会のしわ寄せはこんな所にも表れている。
気が付けば上司から、
「一番件数さばいてるね。」
「誰より早く来て、誰より遅く帰るなんて偉いな。」
なんてお褒めの言葉をいただけた。
期待のホープも、ついこの間までできそこないのフリーターだ。
すぐににほころびが出てくる。
メールの見落とし、手配のミス。
「どうしたら次はミスが起きないか考えろ。」
「マルチタスクのセミナーに行ってこい。」
ありがたいアドバイス感謝いたします。
デスクにもどると、折り返しのメモとFAXの山。
「なんですぐ折り返しの電話をくれないんですか?」
申し訳ございません、上司の貴重なアドバイスを聞きながら電話はちょっと。
勉強という名の元に、飲み会の手配にHPの更新のプロジェクト、
誰の担当でもないイレギュラーな炎上必死案件。
本当に勉強になります。
年配の方々にも大いに可愛がられて、本当に幸せです。
「飲み会は後回しにしていいから、やるべき事を優先して。」
「なんで飲み会来なかったんだ?こういうのが一番大切なんだぞ?」
「役職に様はつけないようにね、こういうのが大事だから。」
「色んな考えの人がいるからね、役職+様が安パイだよ。」
なるほど、TPOで使いわけないとですね。
「大丈夫疲れてない?困ったら相談してね?」
ありがとうございます、相談している間もメールと電話とFAXは止まりませんが。
これも勉強、先輩方はこういう苦労を乗り越えて今も働いていらっしゃる。
僕もいつかそんな先輩方のようにならないとですね。
いろんな苦労を乗り越えて、自分の仕事が面白くなる。
それが自分の身を救う。
定年控えた先輩の、助言はどこまで真実か?
会社はいつまで続くのか。
それでもあくまで前向きに、どんな時でもポジティブに。
それが正しい事なんですよね。
「まだまだいけそうだね。」
「意外に余裕だね。」
お褒めの言葉、感謝です。
そういう人間が、空いた時間で何するか知ってます?
ムキなって勉強ですよ。
資格に教養TOEIC.
逃げるための努力なら限界超えるなんて簡単ですね。
「がんばります!」
もう、心からそう言えないのが何よりキツいっす。
僕は本当に嘘つきです。
ここではないどこかを見て、努力しちゃってます。
最終出社日、最後まで笑顔と感謝の言葉はわすれないようにね。
笑顔のまま、死んでいく。
そんな人間もいるのだな。
去る者に時間をかけるほど、この世界も余裕はないですよね。
私もそこには同感です。
疲れれば疲れるほど、ビールってうまいんだよなあ。
鏡を見ると、ひどく疲れた人間が映っている。
ようやく皆様と同じ顔になれた気がします。
僕はどんな顔して働けばよかったんだろう。
未来に希望を持つ人に、どんな言葉をかければいいだろう。
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