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ヘルシンキの図書館Oodiが日本にも欲しい居心地良さ

フィンランドの首都・ヘルシンキでいま人気のスポット、Oodi
ターミナルであるヘルシンキ中央駅から徒歩2分の好立地でありながら、快適な読書空間クリエイターにとってたまらない設備を備えた公共施設です。
これが無料で使えるというのだから、福祉国家フィンランド、さすが。

概要

**ヘルシンキ中央図書館 Oodi **

ヘルシンキ中央駅のすぐ隣、都会の真ん中にある市の図書館。全3フロアで、誰でも無料で入場できます。

2018年、フィンランドの独立100周年記念にオープンしました。

「Oodi」はフィンランド語で「頌歌(しょうか)」という意味です。「頌歌」は古代ギリシア劇で歌われる神の栄光や人の功績などをたたえる賛歌のことです。フィンランド人が独立100周年を祝福する気持ちや、文化や芸術を愛するフィンランド人への贈り物という意味を込めて名付けられました。 - Visit Finland / PR Times

なんと国際図書館連盟(IFLA)により2019年度の"Public Library of the Year"にも選ばれたそうです。

ではさっそく最上階からご案内。

3F 図書閲覧室

メインフロア。ここが本当に開放的で気持ちがいい。
丸一日ここでゆったり本を呼んで過ごすだけでも最高です。フィンランド語の本が読めなければ、PCで作業するも良し、自分の本を持参して読むだけでも気持ち良い。

本の所蔵は、日本の図書館をイメージして行くとやや少ない印象。そのぶんゆったりと陳列されています。
文化・芸術系が多く写真をめくるだけでも楽しい。

日本の本も少し。

緑が配置されていて、天井からの光も気持ちがいい。カフェがあるので軽食も食べられます。

両端は傾斜があり、ゆったり座ってくつろげる。
フィンランド人はパーソナルスペースの間隔が広いので、ぎゅうぎゅうに詰めては座りません。「1段につき1グループ」くらいの感覚で座ります。

反対側にはキッズコーナー。ボードゲームも置いてあるので、遊んで過ごす子供たちも。

本の貸し出しはセルフレジ(有人カウンターもあります)。

開放的ですが「静かな空間」という感じではありません。騒ぐ人こそいませんが、打ち合わせをしている人もいるし、天井も高いので話し声は響きます。ただ日本人の私からしたら、知らない言語のガヤガヤは頭に入ってこないので、集中して本を読むのにぴったりでした。

無料で入れて、ゆったりくつろげるソファやクッションがあって本読み放題、カフェでサンドッチなどの軽食も食べられる…もう本当にここだけで丸一日、充実の読書デーが楽しめます。夜まで開いているもんだから、観光そっちのけでのんびりしてしまう…魔の壺…。


2F クリエイターフロア

このフロアはクリエイター向けの設備が並び、どれも無料で使用できます。(印刷や製本などの追加サービスは有料。)

3Dプリンター

PCワークスペース。Adobeとペンタブが使えるPCもあります(Adobeアカウントは各自必要)。

ミシン、製本スペース。

巨大プリンターや裁断機も

録音スタジオ

自由に過ごせるワークスペース。

大小のミーティングルームもあり、打ち合わせ、習い事レッスン、セミナーなどそれぞれ色々な使い方をされています。ゲームルームも3部屋あり、人気のテレビゲームが遊べるので親子で利用されていました。


部屋や座席、設備を使用するには、サイトから予約が必要です

Varaamoというフィンランドの予約サイトから、利用したい設備・利用時間を選んで登録。現場のインフォメーションカウンターに行って、使い方やPCパスワード等を聞いて利用開始します。Oodi自体が人気なので、利用したい場合は必ず空きをチェックしてから。

英語が分かれば日本人の私でも予約できました。1Fに置いてある、予約不要のPCは使えなかったので(登録にSMSによるパスワード認証が必要なのですが、日本ナンバーでは弾かれてしまいました)、Varaamoから利用機器を探すことをオススメします。


3Dプリンターが稼働していると、通りすがりの人も興味津々。
全ての機器がオープンな場所にあるので(個室も全てガラス張り)、機器を使う様子に他の人も興味を持てて、制作の幅が広がっていきそうです。

このフロアは窓がなく天井も低いので、個人的には3F 図書室の自然光の差し込み緑のある開放感の方が好みです。籠もって黙々と作業したい方には2Fの方が心地良いかもしれません。


1F ロビー・カフェ・返却窓口

こちらがロビー。丸い回転ドアがエントランスです。こちらも一面の窓から自然光が入って気持ちがいい。

奥にはカフェもあります。シナモンロールがおいしかったです。

本の返却は機械で済むみたいです。さすがIT大国。


Oodiはなぜこんなに成功しているのか

あくまで私見ですが、これをこのまま日本で真似ても、大量の本と人でごった返して「開放的」とは程遠くなってしまうのでは…という気がしています。建物自体の美しさはもちろんのこと、図書館としての所蔵の網羅性ではなく、空間の居住性や設備の幅広さ、老若男女使えるアクセシビリティを優先したところにこの施設の成功のミソがあるように思います。

あとこれを言うと元も子もないですが、これだけの設備があっても程よい混み具合で気持ちよく利用できるのは、単純にヘルシンキの人口が少ないというのもあると思う(国の人口=兵庫県の人口と同じくらいです)。それにフィンランドの方は話し方がボソボソと静かですし、観光客も休憩所として利用するので、騒がしく喋る人がいません。各個室からの音漏れも気にならなかったです。そういう点でも「人が多くても騒々しい感じがしない」というのはあったのかも(現地の方からしたら「人が多くてうるさい!」と感じるのかもしれませんが…笑)。

各フロアのインフォメーションセンターのスタッフ配備が充分にされていることもポイントの一つではないかと思いました。ざっと見ただけでも館内の案内役、司書、クリエーティブ設備の補佐係、カフェスタッフ、観葉植物の水やり…など、結構な人件費がかかってるんじゃないかな…。(経営状況とかは見たことないので、そういう意味での「成功」しているかは測りかねます。)

まさに「文化や芸術を愛するフィンランド人への贈り物」であるこの施設に感謝して利用したいものです。

あと、個人的にはクリエーティブフロアに「テレビゲーム」が取り揃えられていたことに「いいな」と思いました。ソフトを買い揃えられないおうちだってあるし、ここのゲームルームを予約して家族で過ごす休日、素敵だな〜と。


開館時間・場所

開館時間: 月〜金 8〜22時、土・日 10~20時
住所: Töölönlahdenkatu 4, 00100 Helsinki
公式サイト: https://www.oodihelsinki.fi/en

なんと、空港行きの電車のホームへは直で歩いていけてしまいます(フィンランドの駅には改札がない)。ヘルシンキにご用の際、トランジットの際には、ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。

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