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FIRE後に重くのしかかる税金の負担

FIREを達成すると、ほとんどの場合収入は減少すると思いますが、税金と社会保険料は容赦なく請求されます。
前回の社会保険料に続き、FIRE後の税金について、私の体験を踏まえて書いていこうと思います。


FIRE後の税金の負担

所得税や住民税については、会社員時代は給与から天引きされていましたが、退職後は自分で納付しなければならなくなります。
所得税については、会社員時代に当年度分の税額が既に源泉徴収されており、翌年以降は所得に応じた税率となるため、それほどの負担感はありません。

しかし住民税は、前年の所得に対して課税され、翌年の6月に納付書が送付されて来るため、FIREの年に給与収入などが多かった場合、通知される金額の大きさに驚きます。
私は6月末で退職したので、次の年の住民税は、単純計算で会社員時代の半額くらいになると考えていましたが、株の売却益を確定申告したため、結構な金額となってしまいました。
収入が減少したFIRE後の身にとってはかなりの負担で、資金繰りに苦労しそうです。

配当金・分配金にかかる税金

私の場合、FIRE後の収入は、株やREIT(不動産投資信託)、インフラファンド、投資信託の配当金・分配金と、株やFXでの運用収益が中心となります。

配当金と分配金は、所得税・住民税約20%が強制的に徴収されます。
こちらについては、通常は証券会社で源泉徴収されているため、確定申告する必要はありません。

ただし、人によっては、源泉徴収された税額と、確定申告する場合の税額を比較し、源泉徴収された税額の方が多い場合には、超過した税額の還付を受けることが出来ます。
ただ、その際に配当金が所得として認識されてしまうため、国民健康保険料の負担額が上がってしまうというデメリットもあります。
配当金が源泉徴収されている場合は、確定申告の際に所得として申告する必要は無く、そのため、国民健康保険料の算出基礎となる所得に含まれないためです。

確定申告する所得を合法的に低く抑えることにより、国民健康保険料を低く抑えることが出来ます。
しかし、保険料が低くなるからといって、受けられる医療サービスが悪くなるわけではありません。
保険料は住んでいる自治体や、被保険者となる家族数によって変わってきますが、所得の10%から15%以上になる場合もあります。
受けられる内容が同じなのであれば、出来るだけ安くあげる方が合理的です。

ただし、新たにローンを組む場合やクレジットカードを作る場合などは、所得が多い方が有利な場合もあります。
FIREする場合、リタイア後の準備として、ローンやクレジットカードの整理をすることが一般的なため、新たな借り入れをする方は少ないと思いますが、注意は必要です。
一般的には、確定申告不要を選択する方がメリットが多いと思われますので、確定申告の時期に、自分自身にとってどちらが有利か良く調べて選択するのが良いでしょう。

株の運用益にかかる税金

株の売却益は、配当金や分配金と同じく一律約20%の税金がかかります。
株の売却益にかかる税金は、証券会社で「源泉徴収有り」か「源泉徴収無し」のどちらかを選択することになります。
「源泉徴収有り」を選択していると、確定申告しなくて良いため、配当金と同様に所得として認識されません。
そのため、上述のように、国民健康保険の算出基礎となる所得とみなされず、保険料の節約につながります。

ただし、株の損失を翌年に繰り越す場合などは、確定申告した方が税金の計算上有利になります。
しかし、翌年以降も確定申告しなければならなくなってしまうため、株式売却益が所得に計上されることにより、しばらくの間は国民健康保険料が高くなる可能性があります。
これは、個々人の状況によってケースバイケースなので、どのような方法を選択するのが最適かは良く検討する必要があります。

ちなみに私は、FIRE前は何も考えず「源泉徴収無し」を選択し、毎年確定申告していました。
しかし、FIRE後は、基本的に配当金・分配金目当ての運用をし、売却益も損失も大きくは出ない(出さない)運用を目指しているため、手間が少なく健康保険料を低く抑えられる「源泉徴収有り」に変更しました。

FX・商品先物の運用益にかかる税金

FXと商品先物で出た利益への課税は少し特殊で、「先物取引に係る雑所得等」に分類され、株式譲渡益と同様、他の所得と合算されず一律約20%の税率となります。
通常、雑所得は給与所得など他の所得と合算する総合課税で、合算した所得が多くなれば多くなるほど所得税率が上がる累進課税です。

しかし、FXと商品先物取引は、例外的に他の所得と合算せずに課税される「申告分離課税」になります。
「申告分離課税」では、給与所得や事業所得などと合算されず、どれだけ利益を出していたも、また給与や事業所得が多くても、FXと商品先物で出た利益にだけ約20%課税される仕組みです。

仮想通貨の運用益にかかる税金

一方、仮想通貨の取引で利益が出た場合は、一般の雑所得となり、FXと商品先物取引の例外が適用されず、総合課税となります。
総合課税では、仮想通貨の取引で得た利益を、給与所得や事業所得に合算し、累進課税されることになります。
給与が多いサラリーマンや事業所得が多い個人事業主などは、もともと所得税率が高いですが、雑所得が加わると、さらに高い税率が適用されてしまうことになります。

FIREした場合は、FIREの翌年以降に所得が一気に下がる方が多いと思いますので、仮想通貨の運用益にかかる所得税率は低くなります。
ただし、年の途中でFIREし、その年に多額の給与所得などがある場合には、総合課税で高い所得税率が適用されてしまうので注意が必要です。

仮想通貨は値動きが激しいので、機敏に売買して利益を稼がなければならない性質のものです。
しかし、税負担のことを考えれば、どれくらいの税率が適用されるかを念頭に置き、その年にどれだけ利益を出すのが最適か、よく考えて取引する必要があるでしょう。

私の場合、複数の仮想通貨を長期保有していますが、当面売却するつもりはありません。
現状(2024年6月現在)ビットコインをはじめとする仮想通貨は、高値圏で推移しており、今後もゆっくり上昇していくのではないかと予想しています。
将来的に仮想通貨を売却する場合は、一度に多額の利益を出してしまうと、その年の所得税率が跳ね上がってしまうので、税率を低く抑えるために数年間に分けて売却しようと考えています。

以上、様々な金融商品にかかる税負担について書いてきましたが、こちらは私がFIREした時に調べて実行した方法です。
FIRE前後の収入や社会保険の加入をどのようにするかは、個々人によって異なりますので、自分自身のケースに当てはめた場合、どのようになるか調べて、最適な方法で賢く負担を減らしていただくことをお勧めします。

シロツメクサ。花言葉は「幸運」「約束」「復讐」

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